消防点検コラム

消防点検

2024.04.25

知っておきたい「消防設備点検の罰則」について

建物のオーナーや管理者のみなさまが、消防法について曖昧に理解していることのひとつが「消防設備点検の罰則」ではないでしょうか。

消防設備点検の重要性は理解している一方で、どのようなことをすると罰則対象となるのかや、どの程度の罰則を受けるかについてまでは考える機会は少ないかもしれません。

そこでこの記事では、消防点検のプロが「消防設備点検の罰則」について、初心者にもわかりやすく解説します。


【目次】

1. 消防設備点検とは
2. 罰則の対象となりやすいケース
3. 消防設備点検に違反した際の罰則
4. 消防設備点検で罰則を受けるまでの流れ
5. 消防設備点検は罰則が強化された/a>
6. 消防法に関連する罰則規定一覧
7. まとめ

1. 消防設備点検とは

消防設備点検とは、防火対象物内に設置してある消防用設備が、正常に作動するかどうかを定期的に点検および報告する、消防法で定められている一連の作業のことです。

具体的には、消火器、誘導灯、スプリンクラー設備、そして自動火災報知設備などが対象となり、点検後は建物の区分ごとに定められた期間内(1年または3年に1回)に管轄の消防署へ報告します。

消防設備点検は、対象となる防火対象物で火災が発生した際であっても、消防用設備等が正常に機能するように、日頃から備えておくことを目的にしています。

消防設備点検については、消防法第17条の3の3で以下のように定められています。

“第十七条第一項の防火対象物(政令で定めるものを除く。)の関係者は、当該防火対象物における消防用設備等又は特殊消防用設備等(第八条の二の二第一項の防火対象物にあつては、消防用設備等又は特殊消防用設備等の機能)について、総務省令で定めるところにより、定期に、当該防火対象物のうち政令で定めるものにあつては消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させ、その他のものにあつては自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。”

このように、消防設備点検は法律で細かく規定されています。次では、消防設備点検の罰則対象となりやすいポイントを中心に解説していきます。

引用:消防法第17条の3の3

点検の種類と周期

消防設備点検は大きく2種類に分けられています。ひとつは「機器点検」そしてもうひとつが「総合点検」です。

「機器点検」は6ヶ月に1回の周期で実施しなければなりません。具体的には、消防ポンプの作動点検、消防用設備等の外観点検、設置状況の確認などです。

「総合点検」は1年に1回の周期が義務付けられています。自動火災報知設備などをはじめとする消防用設備すべてが正常に作動するか否かを、実際に使用して点検します。

つまり、消防用設備点検は「最低でも6ヶ月に1回」は実施しなければならないということです。

点検頻度を理解しておらず、結果的に点検未実施となり、罰則対象になってしまうかもしれないため、点検の種類と周期はよく覚えておきましょう。

参考:消防庁,消防設備点検パンフレット

点検実施者

消防設備点検を実施する者は、対象となる防火対象物が以下の条件に該当する場合は「消防設備士」または「消防設備点検有資格者」に限定され、該当しない場合は無資格者でもよいとされています。

・延べ面積1,000平方メートル以上の建物
・地下又は3階以上の階に特定用途(物品販売店舗、ホテル、病院、飲食店など不特定多数の人が出入りする事業所等)があり、かつ、屋内階段が1か所のみの建物

一方、東京消防庁は点検について、専門的な知識や安全を考慮し、有資格者が実施することを推奨しており、不備や事故がないよう消防点検のプロに依頼するのが通例になっています。

「自分でやればいいと思っていた」や「依頼した業者が無資格だった」といったことが罰則につながる可能性があるので注意が必要です。

参考:東京消防庁,消防用設備等点検報告制度

点検結果の報告頻度

消防設備点検は管轄の消防署へ定期的に報告しなければなりません。報告頻度は1年に1回または3年に1回のいずれかで、対象となる防火対象物が「特定用途(特定防火対象物)」か「非特定用途(非特定防火対象物)」かによって変わります。

ごく簡単に言うならば「特定用途(特定防火対象物)」は不特定多数の人が出入りする映画館や百貨店、ホテル、老人ホームなどが該当し、「非特定用途(非特定防火対象物)」は人の出入りが限られている共同住宅、学校、工場などです。

「特定用途(特定防火対象物)」は1年に1回、「非特定用途(非特定防火対象物)」は3年に1回の頻度で点検結果を報告書で提出します。

点検を実施しても報告を怠った、あるいは報告頻度を間違えたといったミスで、罰則対象になるかもしれませんので、気を付けましょう。

参考:消防庁,消防設備点検パンフレット

2. 罰則の対象となりやすいケース

消防設備点検において罰則対象になりやすいのは以下のケースです。

・点検未実施
・虚偽報告
・措置命令違反

上記について詳しく解説します。

点検未実施

消防設備点検の罰則対象で最も多いとされているのが「点検未実施」です。6ヶ月に1回の機器点検、あるいは1年に1回の総合点検を実施していないことが該当します。

点検未実施に至るケースでは「非特定防火対象物だから点検しなくていいと思っていた」や「全階で点検していない」、さらには「一部の消防用設備しか点検していない」などが起こりやすいでしょう。

虚偽報告

「虚偽報告」も罰則対象となりやすいケースです。例えば、報告周期を迎えた時にだけ点検を実施して報告するケースや、器具の不具合を隠蔽する、さらには有資格者であることを偽るといったことが当てはまります。

非特定防火対象物の場合、報告周期は3年に1度であることから、3年に1回だけ点検し、その他の期間の点検結果を問題なしと偽造するケースが典型的です。

措置命令違反

消防用設備点検では、事後の「措置命令違反(設置命令違反)」もあることに注意してください。具体的には、点検および報告後に、消防署から受けた指導に従わないことが該当します。

例えば、規定された消火器の数を満たしていないのに放置しているケースや、設置が義務付けられている消防用設備を設置しないでいるといったことが挙げられます。

3. 消防設備点検に違反した際の罰則

消防用設備点検の罰則は以下のようなものがあります。

・消防用設備等の設置命令違反
・消防用設備等の維持管理義務違反
・消防用設備等点検報告義務違反

それぞれ解説します。

消防用設備等の設置命令違反

「消防用設備等の設置命令違反」は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象です。これは消防法第41条で規定されています。

具体的には、消火器などの消防用設備を設置しないことや、火災予防や消防活動の障害となる物を取り除かなかった場合などが該当し、消防法第5条3の1に違反したとみなされます。

適切な消防用設備点検が実施されていれば回避できることですが、設置義務基準を理解できていなかったり、業者任せにしていたりすると、知らぬ間に違反していたということも起こり得ます。

参考:消防法,第5条の3

消防用設備等の維持管理義務違反

消防設備点検の罰則として「消防用設備等の維持管理義務違反」もあります。消防法第44条12において、30万円以下の罰金または拘留になると規定されています。

例えば、老朽化した消火器をそのままにしていることや、誘導灯の電池切れ、さらには自動火災報知設備の電気故障などを修理せずに使い続けることなどがあり、消防法第17条の4の1および2に違反したとみなされます。

ごく簡単に言えば「消防用設備が正常に機能するための措置を怠る」ことで罰せられるということです。

参考:消防法,消防法第17条の4の1および2

消防用設備等点検報告義務違反

「消防用設備等点検報告義務違反」は、消防法第44条11において、30万円以下の罰金または拘留になると規定されています。

具体的には、消防用設備点検そのものを実施していない、周期を守っていない、報告書を偽る、さらには点検結果を周期に沿って報告しないことなどが挙げられ、消防法第8条2の2の1に違反したとみなされます。

これは、消防用設備点検の違反または罰則対象の典型的なケースと言えるでしょう。対象となる防火対象物のオーナーと消防点検を実施した業者の間で「責任転嫁」が生じやすいので注意してください。

参考:消防法,消防法第8条2の2の1

4. 消防設備点検で罰則を受けるまでの流れ

消防設備点検において違反が発覚した場合、以下の流れを辿ることが一般的です。

・消防署による立入検査
・是正指導
・警告
・設置維持命令
・使用停止命令
・刑事告発

消防設備点検で違反があった場合、即時罰則ということは考えにくいでしょう。まずは、所轄の消防署による「立入検査」と「指導」が入り「命令」に変わった後に「罰則」となります。

「立入検査」を受けた時点でイエローカードを受けたと考え、速やかに指導または是正措置に対処するようにしてください。

5. 消防設備点検は罰則が強化された

2002年、消防法違反に対する罰則が強化され、罰金の上限が1億円になりました。対象となる防火対象物の事業主(オーナーや管理権原者)は、違反した際の罰則が1億円になる可能性があります。

これは、法人業務における違反行為があった場合、違反した者および事業主を共に罰する「両罰規定」というものです。

例えば、消防法第5条で規定されている「防火対象物に対する措置命令(改修・移転・除去・使用禁止・停止・制限等)」に従わなかった場合に適用されるかもしれません。

法人格が消防法に違反すると最高1億円という重たい罰則が適用される可能性があることを覚えておきましょう。

参考:消防法,第5条

6. 消防法に関連する罰則規定一覧

消防用設備点検をはじめとし、様々な違反行為に対する罰則があることも知っておいてください。

一般財団法人日本消防設備安全センター(違反是正支援センター)がまとめた「消防法の命令違反概要・罰則規定一覧」では、消防法違反の概要と罰則が紹介されています。

参照:一般財団法人日本消防設備安全センター,消防法の命令違反概要・罰則規定一覧

7. まとめ

消防設備点検に違反すると罰則を受ける可能性があります。とくに、点検未実施、虚偽報告、そして措置命令違反などがポイントとなるため、これらに関連する消防法を理解することが求められます。

一方、複雑な消防法や、防火対象物の条件を理解することは困難に感じるかもしれません。そのような際は、実績が豊富な消防点検のプロに相談し、消防法に違反しないようアドバイスしてもらいましょう。

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