消防点検コラム

自動火災報知設備の警戒区域とは?原則や例外を解説

みなさんは自動火災報知設備のことを調べている際に「警戒区域」という言葉を耳にしたことはありませんか?

自動火災報知設備における警戒区域は、建物を複数の警戒区域に区分し、火災が発生した場所を特定しやすくしたり、建物全体を抜け漏れなく確実に警戒したりするために必要な区分けと言えます。

一方、自動火災報知設備の警戒区域を巡っては、消防法による規定こそあるものの、様々な構造の建物に対して、一律に規定を当てはめることは難しいともされています。

このような事情から多くの「例外」が発生しやすい自動火災報知設備の警戒区域について、その原則や例外、さらには警戒区域が増えることによる影響などを、消防点検のプロが初心者にもわかりやすく解説します。


【目次】

1. 自動火災報知設備の警戒区域とは
2. 警戒区域を設定する際の原則
3. 警戒区域設定の具体例
4. 警戒区域が増えることで生じる影響
5. 警戒区域が少ないことで生じる影響
6. 自動火災報知設備の警戒区域設定は入念な話し合いを
7. まとめ

1. 自動火災報知設備の警戒区域とは

自動火災報知設備に関連する警戒区域とは、消防法では「火災の発生した区域を他の区域と区別して認識する事ができる最小単位の区域」と定義されています。

ごく簡単に言えば、建物内を面積や長さなどを基準にして区切った区画となります。仮に、ひとつの建物内で5つの警戒区域に区分された場合、自動火災報知設備の制御盤とも言える、火災受信機上では「警戒区域1・警戒区域2・警戒区域3…」のように区分けされたエリアごとに、異常を監視できるようになります。

もし、警戒区域1で火災を感知したような場合には、火災受信機上の警戒区域1の表示窓が異常を警告するため、警戒区域1内で火災が発生したことを認識可能です。

自動火災報知設備の警戒区域は、基本的には警戒区域ごとに煙感知器や熱感知器を設置し、火災を警戒することになります。

警戒区域は、火災の早期発見や早期対応のためには欠かせないもので、とくに大規模施設や高層建築物などにおいては有用性が高いと言えます。

一方、警戒区域の設定方法は、一定の基準こそありますが、建物の構造や間取りなどが千差万別であるため、一律して適用させることは難しく、多くの例外が適用されることが特徴と言えます。

自動火災報知設備の警戒区域を理解するためには、警戒区域の設定に関する原則と、例外のパターンを知っておくことが大切です。

2. 警戒区域を設定する際の原則

自動火災報知設備の警戒区域を設定することは、ごく簡単に言えば「建物内を区分けする」と言えます。

区分け(警戒区域の設定)する際には「面積」と「長さ」2つの基準を用いることが原則的な考え方です。

警戒区域の設定では、以下3つを原則として覚えておきましょう。

・ひとつの警戒区域の面積は600平方メートル以下(主要出入口から内部を見通せる場合は1,000平方メートル以下)
・ひとつの警戒区域の一辺の長さは50メートル以下(光電式分離型感知器を設置する場合には100メートル以下)
・防火対象物の2以上の階にわたらないこと(500平方メートル以下で階段がある場合は例外)

このように、自動火災報知設備の警戒区域設定は、原則として、ひとつの警戒区域の面積は600平方メートル以下、長さは50メートル以下、そして2以上の階をまたぐことはできません。

しかし、覚えておきたい例外として、警戒区域の面積は、工場や倉庫、展示場のように広く見渡せるような建物では1,000平方メートル以下、長さは光電式分離型感知器を設置する場合は100メートル以下、そして面積が500平方メートル以下で階段があれば、階をまたぐことも可能になる例外規定があります。

自動火災報知設備の警戒区域設定については、原則に従うと警戒区域の数が多くなることもありますが、例外規定をしっかり把握しておくことで、警戒区域の数を少なく収めることも可能です。

このことから、警戒区域設定は原則だけで区分けしようとするのではなく、いかに例外規定を考慮するかが大切になります。

3. 警戒区域設定の具体例

自動火災報知設備の警戒区域設定の具体例を見てみましょう。先述したように、警戒区域設定は「面積」と「長さ」の原則、そして「例外規定」を考慮することがポイントです。

ここでは、警戒区域設定の基本を理解することを目的にするため、建物の用途など、その他の条件は除外して考えます。

具体例1

以下のような建物の場合、最小警戒区域は6つになります。

・地下1階、地上4階建てビル
・各フロアの面積はそれぞれ600平方メートル以下
・建物の一辺の長さは50メートル以下
・エレベーター1基

警戒区域の算定ロジックとしては「地下1階、地上4階建てビル(合計5フロア)」で、なおかつ「面積が600平方メートル以下」と「長さ50メートル以下」であるため、原則にあてはめると、この時点で5つの警戒区域であることがわかります。

そして「エレベーター1基」の部分は、竪穴区画としてひとつの警戒区域になるため、合計6つの警戒区域といったように判定します。

具体例2

以下のような場合、最小警戒区域は11です。

・地下1階、地上4階建てビル
・各フロアの面積はそれぞれ1,000平方メートル
・建物の一辺の長さは50メートル以下
・エレベーター1基

具体例1と比較すると、各フロアの面積が原則である600平方メートルを超えています。つまり、各フロアで2つの警戒区域ができることになります。(この時点で10の警戒区域)

加えて、エレベーター1基を竪穴区画として、ひとつの警戒区域にしなければならないため、合計で11の警戒区域が算定できます。

具体例3

以下のようなケースは、最小警戒区域は11です。

・地下1階、地上4階建てビル
・各フロアの面積はそれぞれ600平方メートル以下
・建物の一辺の長さは60メートル
・エレベーター1基

このケースは、各フロアの面積は600平方メートル以下ですが、建物の長さが原則である50メートルを超えているため。各フロアで2以上の警戒区域を設定しなければいけません。(この時点で10の警戒区域)

エレベーターの警戒区域がひとつ加わって、合計11の警戒区域となります。

具体例4

以下の例では、最小警戒区域は4です。

・地下1階、地上4階建てビル(階段有)
・各フロアの面積はそれぞれ500平方メートル以下
・建物の一辺の長さは50メートル以下
・エレベーター1基

上記の場合、原則で紹介した「防火対象物の2以上の階にわたらないこと(500平方メートル以下で階段がある場合は例外)」の例外部分に適用することが分かると思います。

各フロアの面積が500平方メートル以下のため、ひとつの警戒区域で2以上の階をまたぐことが可能になります。

よって、警戒区域の内訳は、地階で1、地上1階と地上2階で1、地上3階と地上4階で1、そしてエレベーターで1の合計4つとなります。

具体例1から4は、最もシンプルな警戒区域設定のやり方であるため、現実的でないかもしれませんが、警戒区域設定の基本中の基本として覚えておきましょう。

4. 警戒区域が増えることで生じる影響

自動火災報知設備の警戒区域設定の結果、警戒区域が多くなるとどのような影響が生じるのか、また、警戒区域は可能な限り少ない方がいいと考えられている理由について解説します。

警戒区域が多いと、主に以下のような影響が生じるとされています。

・煙感知器や熱感知器の設置個数が増える
・設置工事や設備のコストが増える
・警戒区域の数に適用した自動火災報知設備を導入しなければいけない
・設備の定期点検コストが増える
・機材トラブルの可能性が上がる

このように、警戒区域が増えることで、必然的に設置にかかわるコストや、将来的な点検コストの負担が増加する影響が生じます。

具体的には、煙または熱感知器の機材コストおよび設置コスト、さらには回線数に応じた自動火災報知設備の受信機にかかるコストなどが大きく影響します。

警戒区域の数が5以内(5回線以内)であれば「P型2級5回線」の受信機を、警戒区域が5以上(5回線以上)だと「P型1級8回線」以上の受信機を設置しなければいけません。

これらの価格差は、メーカーや契約内容、製品機能によって異なるものの、希望小売価格では3倍程度違います。

警戒区域を正しく設定することで、火災時の早期対応が可能になり、人命の安全確保が増す一方、建物のオーナーや管理者にとってコストがかさむことは否めません。

このような事情から、合法的に対処できる範囲で、警戒区域の数は最小限に抑えた方がよいと考えられています。

5. 警戒区域が少ないことで生じる影響

警戒区域が少ないと、設備にかかわるコストが節約できる反面、火災箇所の特定に時間を要する可能性が高まるため、人命の安全に影響が生じることが否定できません。

例えば、具体例4で紹介したように、ひとつの警戒区域で2以上の階をまたぐ場合、「何階で火災が起きたのか」が、瞬時に把握できない可能性があります。

火災箇所の特定に時間を要することは、避難や消火活動にも影響を及ぼすかもしれませんので、必ずしも警戒区域を少なくすることがよいという訳ではないことに十分注意しましょう。

6. 自動火災報知設備の警戒区域設定は入念な話し合いを

自動火災報知設備を新規で設置する場合などにおいて、警戒区域設定は欠かせない作業です。警戒区域設定の規定は明確に示されているものの、建物内の構造によっては、必ずしも規定通りにすべきでないケースもあるかもしれません。

そのため、警戒区域を設定する際には、所轄の消防署や消防点検のプロなどに相談し、様々な意見を取り入れることが大切です。

7. まとめ

自動火災報知設備の警戒区域は、規定されている面積や長さといった基準を用いて、建物内を区切る重要な作業です。

警戒区域設定については、必ずしも規定通りにすることが最善とは限らない側面もあるため、所轄の消防署や消防点検のプロに相談し、十分な協議のうえで設定するようにしてください。

 

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