消防点検コラム

自動火災報知設備と連動するものは何がある?

自動火災報知設備は他の装置と連動しているの?や、自動火災報知設備はどのような設備と連動できるの?といった疑問を持ったことがある人は多いのではないでしょうか。

自動火災報知設備は、火災発生をいち早く感知し周囲に報知するもので、11階を超える高層ビルや大型施設、そして特別養護老人ホーム等の施設に設置が義務付けられています。

そしてすべての住宅に住宅用火災警報器を取り付けることが義務とされました。住宅用火災警報器は、火災により発生する煙を感知し、音や音声により警報を発して火災の発生を知らせてくれる機器です。電池切れになると、作動しないので気を付けましょう。

一方、自動火災報知設備単体だけでなく、緊急事態において自動的に消防へ通報される火災通報装置などと連動させることで、火災などの異常事態により迅速に対処可能になるため、様々な装置と連動させて使うこともあります。

この記事では「自動火災報知設備と連動するもの」などについて、消防点検のプロが分かりやすく解説します。


【目次】

1. 自動火災報知設備の基本的な構成
2. 自動火災報知設備と連動する主なもの
3. 自動火災報知設備の受信機と連動制御盤の違い
4. 連動制御盤の使用パターン
5. まとめ

1. 自動火災報知設備の基本的な構成

自動火災報知設備と連動させて使用するケースを知る前に、自動火災報知設備の基本的な構成を理解することが大切です。

一般的な自動火災報知設備は、主に以下のような単体装置の組み合わせで構成されています。

・受信機
・感知器
・発信機
・表示灯
・地区音響装置

それぞれを詳しく解説します。

受信機

自動火災報知設備の心臓部とも言えるのが「受信機(火災受信機)」です。一般的に、受信機は中央管理室や防災センターといった場所に設置され、ビルの管理人や防災管理者が常時監視できるようになっています。

受信機は自動火災報知設備の制御盤のような役割があり、火災を感知した際に感知器から発せられる信号を受信し、自動的に火災放送を開始する流れを制御します。

また、受信機は、建物のどの区画または部屋で火災を感知したかの確認や、誤作動だった際の復旧、試験機能、放送機能などを備えているものもあります。(メーカーによって異なる)

感知器

自動火災報知設備を構成する装置のひとつが「感知器」です。感知器は、建物の廊下や階段、部屋といった場所の天井部に設置されており、その多くは煙または熱を感知することで作動します。

煙を感知して作動するものを「煙感知器」、熱を感知して作動するものを「熱感知器」と呼び、一般的には煙感知器の方が多く設置されている傾向があるようです。(熱感知器は厨房などに設置されることが多い)

いずれの感知器も、感知器内部が規定以上の煙量または温度に達した時点で作動する仕組みになっており、作動時には受信機へ電気信号が送られるようになっています。

発信機

自動火災報知設備を構成する装置のひとつ「発信機」とは、一般的に非常ベルのボタンとして認識されているもののことです。

自動火災報知設備は、原則として感知器が煙や熱を感知することで作動する仕組みですが、感知器が作動するよりも先に、人が火災を発見した際には、発信機(非常ベルのボタン)を押して火災発生を報知することになります。

発信機から発せられる火災信号は、電気信号として受信機に届き、自動的に火災放送などが始まる仕組みです。

表示灯

「表示灯」は発信機の場所を明確に示すためのもので、ほとんどの場合は発信機とセットになっています。

表示灯そのものが信号を発したり、火災を報知したりすることはありませんが、非常時であっても、周囲に発信機の存在を知らせる重要な役割があります。

地区音響装置

自動火災報知設備を構成する装置のひとつが「地区音響装置」です。地区音響装置は、一般的に非常ベルとして知られているもののことで、火災確定時にけたたましい音で周囲に異常を知らせます。

地区音響装置は、発信機および表示灯と一緒になっていることが多く、建物内の廊下の壁に設置されることがほとんどです。

発信機、表示灯、そして地区音響装置の3つが一緒になったものを「総合盤」または「機器収納箱」と呼ぶこともありますが、いずれも同じ設備を指しています。

2. 自動火災報知設備と連動する主なもの

自動火災報知設備の基本的な構成が理解できたところで、自動火災報知設備と連動させて使用する装置についても合わせて知っておきましょう。

自動火災報知設備と連動させて使用する装置には、主に以下のようなものがあります。

・連動制御盤
・火災通報装置

それぞれを詳しく解説します。

連動制御盤

「連動制御盤(連動制御器)」は、防火扉や防火シャッター、防火ダンパー、そして排煙口といった設備を制御するためのものです。

連動制御盤は、これらの防排煙設備を制御する役割があり、非常時の防火および防煙を目的にしています。

自動火災報知設備と連動させたうえで連動制御盤が作動する際の仕組みや流れは、以下のようになります。

・感知器または発信機の作動
・受信機および連動制御盤が火災信号を受信
・連動制御盤が防排煙設備の開閉などを制御するレリーズに信号送信
・レリーズの解除
・防排煙設備が作動

このように、連動制御盤は「防排煙設備の制御」を目的としたもので、それらを作動させるための起点が、自動火災報知設備を構成する設備である感知器や発信機という仕組みです。

ちなみに、自動火災報知設備は「消防法」で規定されているのに対し、連動制御盤(連動制御器)は「建築基準法」で規定されています。

ふたつは連動させて使用することがほとんどですが、それぞれの基準を定める法律が異なることを知っておくとよいでしょう。

参考:防火区画に用いる防火設備等の構造方法を定める件、国土交通省

火災通報装置

自動火災報知設備と連動されて使用する設備には「火災通報装置」もあります。火災通報装置は、自動火災通報装置や省略して火通(かつう)などと呼ばれることがありますが、同じものを指しています。

火災通報装置は、自動火災報知設備と連動させることで、火災発生時にあらかじめ登録していた住所や施設名で異常が起きたことを管轄の消防機関に自動的に通報する装置です。(手動も可能)

火災通報装置が自動火災報知設備と連動していることで、迅速な消防への連絡や救助要請ができるようになります。

厳密には、一旦消防機関へ通報された後、それを受けた消防機関が折り返しの連絡「逆信」することで、双方が事態を把握できるようになっています。(必ずしも逆信が成功するとは限らないため、この場合は消防車や救急車が出動する仕組み)

とりわけ、病院や養護老人ホーム、障害者施設をはじめ、ホテルや旅館などは設置が義務付けられており、避難が困難な人が多い施設や、火災による人命被害が大きくなることが想定される建物は例外なく設置してあると言えます。

昨今では、自動火災報知設備と火災通報装置の連動を原則義務化する流れがあり、自動火災報知設備が設置されている建物の多くは、火災通報装置も備えていることが多くなっています。

参考:自動火災報知設備と火災通報装置の連動の原則義務化に向けた検討、総務省消防庁

3. 自動火災報知設備の受信機と連動制御盤の違い

自動火災報知設備には様々な装置を連動させて使用することになりますが、頻繁に混乱が生じることが「自動火災報知設備の受信機と連動制御盤の違い」です。

自動火災報知設備の受信機と連動制御盤には以下のような違いがありますので、覚えておきましょう。

・自動火災報知設備の受信機は火災発生を感知および報知するためのもの
・連動制御盤は防排煙設備の制御するもの
・自動火災報知設備は消防法による規定が適用される
・連動制御盤は建築基準法による規定が適用される

ふたつの基本的な違いは、自動火災報知設備は「火災の感知と報知」であるのに対し、連動制御盤は「防排煙設備の制御」であることです。

4. 連動制御盤の使用パターン

連動制御盤は防排煙設備の制御を目的にした設備ですが、建物によっては必ずしも自動火災報知設備と連動しているとは限りません。

連動していないケースには様々な事情が考えられます。例えば、建物内の増築や改装、使用用途の変更などが生じ、新たに防火扉や防火シャッターを追加せざるを得なかった結果として、連動制御盤を後付けしたことなどがあるでしょう。

このように、自動火災報知設備と連動制御盤が連動しないケースがあることを踏まえ、連動制御盤には以下のような使用パターンがあることも知っておくと役に立つかもしれません。

・単一回線
・複数回線
・複合式

単一回線

「単一回線」の連動制御盤は、防火扉や排煙口といった防排煙設備を、自動火災報知設備と連動することなく、有で制御するための制御盤です。

自動火災報知設備と連動させる必要がないような、建物のごく一部に防排煙設備を後付けしたような時に使用することが多いものです。

複数回線

「複数回線」の連動制御盤は、複数個所に及ぶ防排煙設備をひとつで制御できるものです。例えば、建物の1階に防火扉、2階に防火シャッター、3階に排煙口などがある場合、それぞれを作動させるためには3回線必要になります。

これらの複数回線を1台の連動制御盤で制御できるようになるのが「複数回線」の連動制御盤です。

複合式

「複合式」の連動制御盤は、自動火災報知設備と連動して使用する際に用いられます。一般的には「複合式火災受信機」や「防災監視盤」などと呼ばれますが、同一の物を指しています。

自動火災報知設備の制御と、防排煙設備の制御をひとつのパネルで制御できるもので、昨今の主流と言えるでしょう。

建物によっては、自動火災報知設備、防排煙設備、そしてガス漏れをまとめて制御するケースもあります。

大型建造物の場合は、ほぼ例外なく複合式が採用されており、自動火災報知設備、防排煙設備、そしてガスを一括して管理しています。

5. まとめ

自動火災報知設備と連動して使用する装置には、防排煙設備などを制御する連動制御盤や火災通報装置などがあることが分かったと思います。

自動火災報知設備と周辺装置を連動させることで「一元管理」と「迅速な対応」が実現することから、自動火災報知設備の役割がとても大きいと言えるでしょう。

自動火災報知設備の設置や連動については、消防点検のプロに相談するようにしてください。

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