消防点検コラム

火災報知器

2023.07.26

アルソックなどの火災報知器は自動火災報知設備と違うの?

アルソックやセコムといった警備会社は、独自の火災報知器を設置して建物利用者や住宅居住者の安全を守っていることをご存知でしょうか。

実際に、アルソックやセコムなどを利用している人のなかには、各社のロゴが入った火災警報器を目にしたことがある人もいるかもしれません。

一方、警備会社の物とは別に、通常の火災報知器や火災感知器が設置されていることも多いはずです。

これらはお互いに干渉したり、非常時にでも正常に機能するのでしょうか?この記事では、アルソックなどの火災報知器は、一般的な自動火災報知設備とどのような違いがあるのかや、注意すべき点などについて、消防設備点検のプロがわかりやすく解説します。


【目次】

1. 警備会社の火災報知器
2. 通常の火災報知器
3. 警備会社の火災報知器と通常の火災報知器の違い
4. アルソックなどの警備会社が使う火災報知器の仕組み
5. 住宅用火災警報器の設置義務
6. 警備会社の火災報知器を作動させてしまった場合
7. まとめ

1. 警備会社の火災報知器

アルソックなどの警備会社が使用している火災報知器は、消防法で規定されている自動火災報知設備の物とは異なる、独自のものです。

火災報知器と言っても、これらは感知器や受信機、そして音響装置など、様々な装置の集合体であるため、特定の装置だけを指しているとは限りません。

ただし、一般的には、火災報知器と言うと「火災感知器」や「火災警報器」のことを指していると考えてよいでしょう。

アルソックなどの警備会社が使用する火災報知器は「住宅用火災警報器」や「火災センサー」などと呼ばれますが、その機能や役割、そして目的は一般的な自動火災報知設備と同じです。

警備会社が使用する火災報知器は、セキュリティ受信機と呼ばれる制御盤のような物と連動させることにより、火災報知器の作動と同時に警備員が出動する仕組みになっています。(ただし、警報器単体で使用することが多い)

 

2. 通常の火災報知器

アルソックなどの警備会社が使用する火災報知器とは別に、消防法で規定されている火災報知器は、正しくは自動火災報知設備と言います。

自動火災報知設備は、煙または熱感知器、火災受信機(制御盤)、地区音響装置(非常ベル)、発信機(非常ベルのボタン)など、複数の装置によって構成されています。

自動火災報知設備は、必ずしもすべての建物に設置義務があるとは限りません。消防法では、11階建て以上の建物、病院、老人ホームなどは例外なく設置義務を規定しており、この他にも300平方メートル以上の飲食店や物販店なども設置義務を課しています。

自動火災報知設備の設置基準は複雑であるため、一概に示すことは難しいものの、原則として「火災発生時に甚大な被害が想定される」建物と考えるとよいでしょう。

自動火災報知設備は、警備会社の物とは異なり、罰則を伴う法的な強制力があるため、設置義務の対象に当てはまる場合は、いかなる理由があっても設置しなければいけません。

3. 警備会社の火災報知器と通常の火災報知器の違い

アルソックなどの警備会社が使用する火災報知器と、消防法で規定されている自動火災報知設備にはどのような違いがあるのでしょうか。

これら2つの間には、主に以下のような違いがあります。

・警備会社の物は任意に対し、自動火災報知設備は法的な設置義務を伴う
・警備会社の物は消防設備ではないが、自動火災報知設備は消防設備
・警備会社の物は点検義務はないが、自動火災報知設備は点検義務が課せられる
・火災確定時、警備会社の物は警備員が出動し、自動火災報知設備は消防が出動する

このように、警備会社の物と自動火災報知設備の物には「任意か義務か」という大きな違いがある他に「点検義務の有無」といったことにも違いがあります。

このような違いから「警備会社の火災報知器はあくまでも任意で追加設置するもの」と言えるでしょう。

4. アルソックなどの警備会社が使う火災報知器の仕組み

アルソックやセコムといった警備会社が使用する火災報知器の仕組みは、原則として自動火災報知設備と同じような仕組みになっています。

警備会社の火災報知器は、大きく分けて2つの使用方法に分けられます。ひとつ目が、セキュリティ受信機等と連動させて使用するパターン、そしてもうひとつが単体で使用するパターンです。

それぞれの使用法や仕組みについて解説します。

セキュリティ受信機(コントローラ)と連動している場合

アルソックなどの警備会社が使用する火災報知器は、セキュリティ受信機またはコントローラと呼ばれる制御盤と連動させて使用することもあります。

具体的には、大型住宅や中規模ビル、中小企業などが採用していることが多いようです。この場合、建物内に設置されている煙感知器や熱感知器が作動すると、セキュリティ受信機へ火災信号が送られ、同時にセキュリティ受信機から警備会社の緊急窓口(アルソックならガードセンター、セコムならセコムコントロールセンター)へ異常信号が送られ、最も近くにいる警備員が駆け付ける仕組みになっています。

また、警備会社の窓口に異常信号が送られた際、火災であることが確定した時点で、警備会社が消防や救急、そしてあらかじめ登録していた緊急連絡先(家族や関係者など)に連絡し、異常事態を知らせるようになっています。

住宅用火災警報器を単体で使用する場合

アルソックなどの警備会社の火災報知器には、単体で機能する「住宅用火災警報器」という物もあります。

住宅用火災警報器は、一般住宅向けの物で、規定以上の煙または熱を感知すると、警報音と光(ランプ)で火災発生を知らせます。

住宅用火災警報器は、セキュリティ受信機やコントローラと連動させない限り、本体が警報を発するだけにとどまります。

部屋数が多い大型の住宅などにおいては、住宅用火災警報器を複数台設置し、それぞれを無線で繋ぎ、どこか一ヶ所で作動すると、すべての機器が一斉に警報する仕組みになっています。(1階の異常を2階や3階でも認識できる)

住宅用火災警報器を単体で使用する場合、たとえ警報器が作動しても警備員が駆け付けることはありません。

あくまでも、建物内にいる人に対して異常を報知することが目的であり、警備員や消防、救急への連絡は自身で行うことが前提であることに注意しなければいけません。

5. 住宅用火災警報器の設置義務

アルソックやセコムなどの警備会社が提供する火災報知器を設置するのは、原則として任意扱いですが、実は住宅用火災警報器は消防法によって設置が義務付けられています。

2006年に改正された消防法では、すべての新築物件については「住宅用防災機器を設置し、及び維持しなければならない。」と規定されています。

また、既存の住宅(中古住宅)についても、猶予期間を経た2011年以降、すべての市区町村で住宅用火災警報器の設置が義務付けられています。

住宅用火災警報器の設置は、消防法によって義務付けられたことから、全国の設置率は83.1%にまで上昇した一方で、罰則規定が設けられていないため、対応していない住宅があるのも実情です。

参考:消防法第九条の二

住宅用火災警報器の設置基準

アルソックなどの警備会社が提供する火災報知器や、市販されている住宅用火災警報器などは、住宅の以下の部分に設置する必要があります。

・寝室
・寝室に繋がる階段
・台所
・その他の居室(自治体の火災予防条例に依存)

住宅用火災警報器を設置する場所で気を付けたい点としては「寝室」と「階段」が挙げられます。

寝室は、居住者が寝る部屋のことを指しており、子ども部屋で子どもが寝ているような場合も設置しなければいけません。

また、寝室がある部屋に繋がる階段部分にも同様に設置する必要があります。寝室と階段に設置しなければいけない理由は、住宅火災による被害が発生した場合、その多くは「就寝時の火災」そして「逃げ遅れ」が原因であるためです。

とくに、高齢者や子どもは逃げ遅れることが懸念されるため、住宅用火災警報器の設置が重要な役割を果たす訳です。

合わせて覚えておきたいこととして、各自治体によってさらなる厳しい設置基準が規定されている可能性があるということです。

これは自治体ごとに異なる火災予防条例によるもので、自治体によっては台所や押入れといった場所にも住宅用火災警報器を設置しなければならないと定めていることもあります。

先述したように、住宅用火災警報器の設置は義務であるものの、違反した際の罰則規定がないため、実質的には任意として解釈されがちです。

そのため、住宅の新築や改築、譲渡や売買契約の際には、住宅用火災警報器の設置がなされているかをよく確認する必要があります。

不動産会社や建築会社が設置義務について理解していないことも十分に考えられますので、建築確認申請や重要事項説明書(その他重要な事項)などの書面で、しっかり確認するようにしましょう。

6. 警備会社の火災報知器を作動させてしまった場合

消防設備点検の際、アルソックなどの警備会社が設置している火災報知器を誤って作動させてしまうことがあります。

これは点検を実施する消防設備士が、自動火災報知設備の感知器と警備会社の感知器を見誤って試験してしまうことで起こり得る事象です。

俗に言う「あぶり試験(点検時に感知器を手動で作動させる試験)」において、警備会社の感知器を作動させてしまうと、場合によっては警備会社の警備員が駆け付けてしまいます。

このようなことがないように、消防設備点検の際には「警備会社の火災報知器もある」旨を伝えること、そして万が一誤作動させてしまった場合の連絡方法などを徹底しておきましょう。

消防設備点検の際に限らず、誤作動が起きた際の対処法についてもあらかじめよく把握しておくことをおすすめします。

7. まとめ

アルソックなどの火災報知器は、消防法で規定される自動火災報知設備とはまったく異なる、独立した火災警報装置です。

その目的や作動方式などは共通していますが、混同しないように注意しましょう。これらの設置や点検、導入については消防点検のプロに相談することが得策です。

 

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