消防点検コラム

消防用設備

2023.01.27

縁の下の力持ち。スプリンクラー設備に重要な圧力タンクについて解説!

冬場は寒さを凌ぐために、暖房器具やポットを使用する機会が増加し、結果的に火災も大幅に増加します。

さらに、設備の経年劣化や電源プラグの不適切使用などによっても火災が発生します。

実は我々は火災の危険性と常に隣合わせですが、安心してください。建物にはスプリンクラー設備がついています。

建物内で火災が発生するとスプリンクラーが作動して、初期消火を行います。

映画などの作品でもスプリンクラーが作動している描写は多く使われており、想像もつきやすいでしょう。

しかしスプリンクラーがどんな原理で動いているかをご存知の方は、そこまで多くはないのではないでしょうか。

今回はそんなスプリンクラーの裏側についてご紹介します。

スプリンクラーの原理

スプリンクラーの裏側を説明する前に、まずは簡単にスプリンクラーがどのように作動するのかについて解説します。

火災発生。スプリンクラーヘッドから放水開始!

廊下などの天井に設置されているものは厳密にはスプリンクラーヘッドと呼ばれており、消防設備に関連したものを総称してスプリンクラー設備と呼んでいます。

消防設備に該当しない、庭の芝生に散水するものや道端の雪を溶かすためのものがスプリンクラーと呼ばれているんです。

スプリンクラーヘッドにも種類があり、湿式と呼ばれているものは配管からスプリンクラーヘッドまで常に満水状態。

そのため廊下などで火災を感知すると、天井に設置されているスプリンクラーヘッドの弁が熱によって溶けて、すぐに放水が始まります。

屋外や寒冷地ではスプリンクラーヘッドまで水が入っていると、凍結して破裂する危険性があるため、スプリンクラーヘッドが水で満たされていない乾式というものが使用されています。

湿式はすぐに放水が開始されますが、乾式や湿式の配管内の水がなくなった場合はどうするのでしょうか。

ここが圧力タンクの出番。スプリンクラーの裏側です。

スプリンクラーヘッドに水を供給。圧力タンク始動!

湿式ではまず、スプリンクラーヘッドの弁がなくなったことによる、配管内圧の減少によって放水が開始されます。

配管には、圧力タンクから与えられた圧力で水圧が加えられており、配管と圧力タンクの間には貯水槽の制御弁と流水検知装置があります。

火災を検知してヘッドが開き、流水が始まると、流水検知装置が作動して圧力タンクの水圧が減少していきます。

圧力タンクの減圧が始まると、圧力スイッチが起動。

圧力スイッチにより、スプリンクラーポンプが作動して水源から追加の水が供給されていきます。

このシステムにより、絶え間なく、放水を続けることができるんです。

ちなみにスプリンクラーの放水は勝手に止まることはなく、鎮火できたとしても放水され続けます。

放水を止めるためには貯水槽側の制御弁を人の手によって止める必要があります。

火事じゃないのに水が止まらない…圧力タンクの誤作動

圧力タンクがあるからこそ、持続的な放水が可能になります。

圧力タンクの減圧が確認できると勝手に放水が開始されるとお伝えしました。

つまり、スプリンクラーヘッドの弁が正常に機能していなかったり、配管が割れたりしていると圧力タンクもそれに伴い、減圧されスプリンクラーポンプが作動してしまうかもしれません。

これが圧力タンクの誤作動です。

スプリンクラー設備の誤作動は、水が滴っていて、目視で原因が確認できるものもありますが、実際にはどこかで圧力漏れが発生したことによる誤作動が非常に多いです。

圧力漏れはどこかで水漏れが発生していたり、弁が壊れて水が逆流している際に起こります。

ここでは圧力漏れしている箇所の探し方やその原因について解説します。

 

圧力漏れの一時的な対処方法

圧力漏れが発生するとポンプが作動してしまうので早急に対処しなければいけません。

多少の漏れの場合は止まる可能性もありますが、もし止まらないのであれば、圧力スイッチの設定圧力を下げられれば、圧力漏れによるポンプの作動は止められる可能性があります。

圧力スイッチが認める圧力まで下がったらポンプが作動するという仕組みだからです。

しかし、あくまで応急処置であり、そのまま設定圧力を下げてしまうと有事の際にうまく作動しなくなる可能性もあります。

定期的な検査が重要です。

圧力漏れの原因

配管漏れだった場合は簡単です。

天井から水が漏れていたらそこの配管になにか不具合が出ています。

しかし、天井には漏れが確認できなく、スプリンクラー設備内部が原因だった場合は大変です。

原因が特定できない限り圧力が低下している状態なのでポンプが作動し、水が逆流し続けます。

簡単に考えられる原因は以下のとおりです。

フート弁の漏れ

フート弁とは水槽の中にある弁で、水槽から水を汲み上げる際に逆流を防ぐためのものです。

フート弁が腐食したり、損傷したりしていると水槽が満水になりあふれることも。

厳密にはフート弁の故障だけでは配管内の圧力を低下させる原因にはなりませんが、フート弁も圧力漏れの原因箇所と一緒に壊れている可能性があるんです。

立ち上がり管のチャッキバルブ漏れ

チャッキバルブは逆止弁とも呼ばれ、水の流れる圧力によって自然に弁が開閉する仕組みです。

このチャッキバルブとフート弁が同時に壊れていた場合、各階に設置されているアラーム弁の圧力が全て同時に低くなります。

つまり、全てのアラーム弁の圧力が下がっているのなら、大元のチャッキバルブとフート弁が故障しているということです。

このとき、フート弁も故障しているので貯水槽も満水になってる可能性が高く、交換をする際には、メインバルブを閉めてから交換を行いましょう。

 

送水口の逆止弁漏れ

建物の入口付近や側面に、チェーンがついた丸いものの上に、赤い背景で送水口と書かれたものを見かけたことはあるでしょうか。

ここが原因になる可能性もあるんです。

送水口にも、逆流して外に水が流れ出さないように逆止弁が設置されています。

送水口の逆止弁が損傷している場合でも、外に水が流れ出てしまうため、結果的に圧力が下がっていきます。

アラーム弁による漏れ

アラーム弁とは各階に設置されている弁で、ポンプから分配されるときに必ず通る弁です。

流体検知装置に付けられていることが多く、スプリンクラーヘッドの放水を検知して信号を送信する役割も持ちます。

ポンプとスプリンクラーヘッドの境界のようなもので、逆流しないような働きをしています。

アラーム弁には配管内の水を抜くための水抜き用の仕切弁があり、工事などで配管内を空っぽにしたい場合に使用します。

アラーム弁のあたりで圧力が低下している場合は、仕切弁が壊れている可能性を探してみてください。

スプリンクラーヘッド周辺による漏れ

スプリンクラーヘッド周辺に漏れの原因があると、アラーム弁の1次側と2次側の圧力がどちらも低下し始めます。

一概には言えませんが、どこかのアラーム弁だけ圧力が下がっている場合は、そのアラーム弁だけを修理すれば解決するかもしれません。

 

以上のように基本的な圧力漏れの可能性を列挙しましたが、老朽化や腐食により壊れてしまった場合、スプリンクラー設備そのもの全てが老朽化している可能性もありえます。

その場合は複数箇所が漏れている場合もあり、原因特定が困難です。

圧力漏れが起こらないようにするためにも、定期的な点検が重要です。

圧力タンクの仕組み

ポンプから水を組み上げるために圧力タンクは必要不可欠です。

火災が発生し、スプリンクラーヘッドから放水が開始されると、徐々にスプリンクラー配管内部の圧力が下がっていきます。

配管内の圧力低下を感知した圧力タンク内部もどんどん減圧されていきます。

あらかじめ設定されていた設定圧より下がると、ポンプが起動する仕組みになっています。

圧力タンクの必要性

必要不可欠と伝えてきた、圧力タンクですが、この圧力タンクの中には一体何が入っているのでしょうか。

圧力タンクの内圧が設定基準以下にまで下がると、自動的にポンプから排水管に対して送水が開始されます。

圧力タンクは常時圧力を保つようにスプリンクラー補助ポンプから自動的に給水が行われています。

圧力タンク内の圧力は水と空気の絶妙なバランスによって決められているんです。

因みにどうして水と空気でバランスを取っているかというと、ポンプの誤作動を防ぐためです。

水だけだと昼と夜や夏と冬といったような気温変化の差によって簡単に圧力が変化してしまうからです。

圧力タンクが過敏に反応してしまうと同時にスプリンクラーの暴発などが発生してしまう可能性があり、事故の原因となります。

そのため、圧力タンクの中には空気も入れて圧力を調整しやすいようにしているんです。

 

圧力スイッチの設定基準

どの程度の圧力でポンプを起動すればいいのか、は一番高い位置にあるスプリンクラーヘッドの高さや補助高架水槽の高さによって決まってきます。

・スプリンクラーヘッドのほうが補助高架水槽より高い位置にある場合

圧力チャンバーから最高位置のスプリンクラーヘッドの高さに0.15MPaを加えた値

・逆に補助高架水槽のほうがスプリンクラーヘッドより高い位置にある場合

圧力チャンバーから補助高架水槽の高さに0.05MPaを加えた値

となります。

以上の数値を計算した値が最低でも必要な圧力設定になります。

まとめ

スプリンクラー設備は火災の初期消火にとって非常に重要な役割を持ちます。

しかし、スプリンクラー設備は、建物内に張り巡らされており、建物も大きいケースがほとんどなので点検や修理時の原因特定は簡単ではありません。

ですが、もし誤作動が起きてしまうと、水が止まらずに大変な損害を与えてしまう可能性もあるため早急な対応が必要です。

点検時に設定を誤ると水が逆流してスプリンクラーが暴発し、利用していたお客さんに被害を与えたり、電子機器が故障し大事なデータが消えてしまうので慎重な作業が重要です。

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