消防点検コラム

消防用設備

2022.12.22

煙感知器はタバコで反応する?煙式火災感知器を徹底解説

「タバコの煙で火災報知器が作動するの?」や「タバコで煙感知器が反応する」といった疑問や噂を聞いたことがある人は多いと思います。

 

とくにタバコを吸う人が集まる喫煙室などの場所では、タバコの煙が充満しやすいため、煙感知器が反応してしまうのではないかと心配になる人もいるでしょう。

 

実は、すべての火災報知器(感知器)がタバコの煙に反応する訳ではありません。一方、タバコの煙に反応しやすい感知器もあります。

 

火災感知器にも様々な種類があり、それらの違いを知っておくことで、思わぬ誤作動を防いだり、不要な混乱を招く心配もなくなるでしょう。

 

この記事では、タバコの煙で反応する感知器について、知っておいて損はない知識をわかりやすく解説します。

 

タバコに反応する火災感知器

 

タバコの煙に反応する感知器は「煙感知器」または「煙式感知器」と呼ばれるタイプのもので、一般的な建物にあるような天井に備え付けられている白いドーム型の物が該当します。

 

煙感知器は、火災発生時に発生する一定量以上の煙を感知することで作動し、火災受信機と呼ばれる制御盤のような物に火災信号を送信します。

 

そして、火災信号を受けた火災受信機によって、非常ベルをはじめとする警報や消防署への通報などが行われるようになっています。

 

煙感知器はタバコの煙のような少量の煙では反応しないよう「リーク孔」と呼ばれる空気の逃げ道となる穴が開いています。

 

つまり、煙が絶えず一定量以上発生しない限りは反応しない仕組みになっている訳です。しかし、狭い喫煙室にたくさんの人が揃ってタバコを吸うようなケースでは、リーク孔から逃がす煙よりも、感知器内に入る煙の量が多くなって反応することもあります。

 

このようなタバコの煙による誤作動を防ぐために、煙が発生しやすい喫煙室や台所といった場所では、煙感知器とは違う仕組みの「熱感知器」を設置するようになっています。

 

煙感知器はタバコの煙に反応することもありますが、むやみやたらにタバコの煙に反応しないよう、リーク孔や適切な設置場所といった対策がとられているため、日常的にはほとんど誤作動を招くことはないと言えます。

煙感知器がタバコに反応するケース

 

煙感知器がタバコに反応する主なケースは以下の通りです。
・高濃度
・空気が滞留しやすい場所
・狭い場所
・煙感知器が老朽化している
・物理的な破損がある
上記についてそれぞれ解説します。

 

高濃度

 

煙感知器がタバコに反応する条件のひとつが「高濃度」であることです。現実的にはなかなか起こりえない条件ですが、タバコの副流煙を意図的に繰り返すようにして煙感知器に吹付けることや、灰皿などに置いているタバコの煙が煙感知器に直接当たり続けると、感知器内の煙が高濃度になって反応する可能性があります。

 

空気が滞留しやすい場所

 

煙感知器がタバコの煙に反応するケースには「空気が滞留しやすい場所」も挙げられます。具体的には、煙感知器が設置してある狭い部屋さらには窓や換気扇が設置されていない部屋などが該当します。

 

狭い場所

 

煙感知器がタバコの煙に反応するケースとして「狭い場所」もあります。例えば、パーテーションで細かく区切った部屋に煙感知器を設置してあるようなものが該当します。

 

狭い場所でなおかつ空気が滞留しやすい場所に煙感知器が設置してあると、報知器内が煙で高濃度になる条件が整ってしまいます。

 

身近なところでは「トイレ」などが当てはまるため、トイレでタバコを吸うことは感知器の誤作動を招くかもしれません。

 

煙感知器が老朽化している

 

煙感知器がタバコで反応するのには「煙感知器が老朽化している」ことも考えられます。一般的な火災感知器の製品寿命は10年とされていますが、長期間使い続けていると誤作動(過剰な反応または無反応)を起こしやすくなります。

 

誤作動を引き起こす原因は様々です。例えば、長年の埃やチリが堆積することで煙感知器のリーク孔が目詰まりを起こしてしまい、わずかなタバコの煙で反応するかもしれません。

 

物理的な破損がある

 

煙感知器がタバコで反応するケースとして「物理的な破損がある」ことも挙げられます。例えば、引越しの際に大型家具を煙感知器にぶつけてしまって、感知器のドーム部分が凹むといったことがあります。

 

ドーム部分が凹むことでリーク孔が塞がれてしまったり、感知器内部の空間が減って、煙が充満しやすくなったりします。

 

煙感知器とは

 

煙感知器とはいったいどのような仕組みで、さらにはどのような条件(煙の量など)で反応するのか具体的に解説します。

 

煙感知器の仕組み

 

煙感知器は、感知器内部に煙が充満して内部にある光電素子の受光量が変化することで反応する仕組みになっています。

 

感知器内部にある送光部と受光部の間に煙が入ると光が遮られ、光が一定量以上「減光」することで反応します。

 

反応する基準は「減光率」で定められており、具体的には、最も感度が高い煙感知器1種で減光率5%、一般住宅用の煙感知器2種だと減光率10%、煙感知器3種では減光率15%になっています。

 

主な設置場所

 

煙感知器が設置される主な場所は以下の通りです。

・無窓階
・病室
・一般住宅の寝室
・ホテル居室
・階段 など
さらに、消防法第二十三条七では以下のような設置基準(取付基準)が定められています。

イ 天井が低い居室又は狭い居室にあつては入口付近に設けること。
ロ 天井付近に吸気口のある居室にあつては当該吸気口付近に設けること。
ハ 感知器の下端は、取付け面の下方〇・六メートル以内の位置に設けること。
ニ 感知器は、壁又ははりから〇・六メートル以上離れた位置に設けること。
引用:消防法第二十三条七 消防法施行規則

 

煙感知器と熱感知器の違い

 

煙感知器はタバコに反応する可能性があることが分かったところで、煙感知器と「熱感知器」の違いについて解説します。

 

仕組みの違い

 

煙感知器と熱感知器の大きな違いとして「仕組みの違い」があります。煙感知器は煙に反応するのに対して、熱感知器は煙には反応せず、熱(温度)に反応することが特徴です。

 

熱感知器の仕組みは、火災時に感知器内の温度上昇や一定以上の温度差によって作動するようになっています。

 

温度上昇率で反応する物を「差動式熱感知器」、温度差によって反応する物を「定温式熱感知器」と呼びますが、いずれも煙には反応しません。

 

設置場所の違い

 

煙感知器と熱感知器は「設置場所の違い」もあります。煙感知器は煙が発生しやすい喫煙室やキッチンに設置されることは少なく、誤作動を防ぐ目的で熱感知器の方が用いられます。

 

熱感知器は主に、事務所や住居の居室、台所、押し入れ、そして水気が多い場所などに設置されます。

 

設置コストの違い

 

煙感知器と熱感知器の違いには「設置コストの違い」も挙げられます。一般的に、煙感知器は熱感知器よりも高価とされており、定価で比較すると4倍ほど高くなります。

 

したがって、煙感知器を設置するよりも熱感知器を設置した方がコストが抑えられるため、可能な限りは熱感知器を設置することの方が多くなります。

 

煙感知器とタバコに関するよくある質問

 

煙感知器がタバコに反応するかどうかが気になる人たちから寄せられたよくある質問をまとめています。

 

トイレでタバコを吸うと反応しますか?

 

はい、反応する可能性があります。

 

トイレには煙感知器をはじめとする火災感知器の設置は義務付けられていません。一方で、温水洗浄便座や暖房便座などのように電源を必要とする便座が設置されているような場合はその限りではありません。

 

つまり、多くのトイレでは実質的に火災感知器を設置しているのが実情です。したがって、トイレに煙感知器が設置されている場合は、トイレ内の喫煙で煙感知器が反応してしまう可能性があると言えます。

 

家の中でタバコを吸うと火災感知器が作動しますか?

 

はい、煙感知器が設置されている場合は作動する可能性があります。

 

すべての一般住宅において火災感知器の設置が義務付けられている訳ではありませんが、2006年6月1日から新築をはじめとする既存住宅でも住宅用火災警報器の設置が義務付けられました。

 

したがって、一般住宅であっても煙感知器が設置されている場合、タバコの煙に感知器が反応する可能性は否定できません。

 

しかし、一般住宅用の煙感知器は2種と呼ばれる感度が中程度の物ですので、タバコによる誤作動を過度に心配する必要はないでしょう。

 

アイコスなどの電子タバコで煙感知器は反応しますか?

 

いいえ、反応しません。

 

理由としては、アイコスといった電子タバコから発生する煙は「水蒸気」のためです。また、電子タバコの場合は紙タバコと比較して熱の温度が低いため、熱感知器も反応しません。

 

しかしながら、アイコスなどの水蒸気によって、報知器内の電子部品が破損して誤作動を起こす可能性も否定できないため、電子タバコであったとしても気を付けましょう。

 

まとめ

 

煙感知器はタバコで反応する可能性があることが分かったと思います。同時に、日常的に生じるタバコの煙程度で反応してしまうような設計だと、あらゆる場所で誤作動が頻発してしまうため、リーク孔によって反応しないような工夫がとられています。

 

さらに、煙感知器と熱感知器の2種類を使い分けて適切に設置されるため、タバコの煙で感知器が反応することはほとんどありません。

 

煙感知器、熱感知器いずれであっても緊急時に作動するよう日頃から消防点検の一環として、感知器の外観点検や動作点検を欠かさないようにしましょう。

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