COLUMN
2020.10.13
防火管理者とは?選任者が必要な対象物と資格取得について
私たちが普段利用している多くの施設には「防火管理者」という資格を持つ人がいることをご存知でしょうか。
防火対象物では防火管理者を選任して建物の防災管理や消防署への定期的な報告などをする必要があります。
その役割を担うのが防火管理者であり、防火管理者の存在によって私たちは安心して施設を利用し、過ごすことができているとも言えるのです。
今回は私たちが日々利用している多くの施設における防火において重要な「防火管理者」について解説していきます。
【目次】
1. 防火管理者とは、防火対象物の管理を行う人
2. 防火管理者になるにはー資格取得要件について
3. 防火管理者が必要な対象物一覧
4. 防火管理者が必要な対象物には消防点検も必要不可欠!
1. 防火管理者とは、防火対象物の管理を行う人
防火管理者と聞けば、なんとなく防火に関することをしている人かな…と考える方も多いかと思います。
防火対象物の防火上の管理を行う者を防火管理者と言います。消防法で定められた国家資格となっています。消防法に基づいて、一定の防火対象物である建物の管理者(所有者、管理者、貸借人など)は、防火管理者を選任して、消防署に届け出る必要があります。
選任された防火管理者は、消防計画の作成や消防計画に基づく消防訓練を行い、また消防設備の点検を行う権限を有し、日ごろから消防対象物を管理していきます。防火管理者は極めて重要な責務を担うため、特に大規模な防火対象物については管理監督的な地位にある者、たとえば企業内において管理職に就いている者でなければ着任できないことになっているのです。防火管理者の選任の要否、乙種防火管理講習修了者の選任の可否については、防火対象物の用途、規模、収容人員、管理権原の範囲等により異なりますので、事業所を管轄する消防本部(局)、消防署にご確認ください。
2. 防火管理者になるにはー資格取得要件について
防火管理者は日常的に火気管理、消防設備の適切な維持を行うわけですが、適正な管理業務を怠り、火災等による死傷者が出た場合、管理責任者として責任を追及される場合もあります。2001年に起こった歌舞伎町のビル火災では防火管理者が選任されていないこともあり多くの死傷者が出てしまいました。この場合ではビルオーナーが有罪となりましたが、防火管理者が選任されていたとして火災が発生したときに過失があれば、防火管理者が責任を追及されていたでしょう。
このように管理責任者として責任を追及されることも考えられるため、防火管理者はその責務において、防火管理について学んだ防火管理の知識を有する監督的人材でなければなりません。これこそが管理職に就いている者でなければ防火管理者になれない理由となります。
防火管理者になるには、防火管理者講習を修了するなどの以下の条件があります。
①資格講習を受講する:消防署等が主催する防火管理者講習を受講した修了者。防火管理講習は、都道府県知事や消防本部または市町村の消防長、総務大臣が登録した講習機関(一般財団法人日本防火・防災協会)で行われます。なお、講習修了資格は全国共通です。
②一定の学歴かつ一年以上の実務経験:大学、短大、高等学校で総務大臣指定の防災関連学科、課程を卒業した者で、1年以上の防火管理実務経験を有する者。
③消防職員:消防職員として管理的、監督的な職に1年以上就いていた者。
④その他:安全管理者、危険物保安監督者や一級建築士など、一定の対象資格取得者で消防法に定める者。
①では講習種別によって「甲種」と「乙種」とに区分されます。甲種防火管理講習修了者は用途や規模、収容人員に関わらず全ての防火対象物で防火管理者に選任できますが、乙種防火管理講習修了者は、防火管理者に選任できる防火対象物が、比較的小規模なものに限られています。
防災管理者との違いって?
どちらも災害による被害を防止・軽減するための資格ですが、「防火管理者」は火災、「防災管理者」は火災以外の災害を対象としています。防災管理者になるためには甲種防火管理者の資格が必要です。 消防法により、防災管理者と防火管理者は同一の人物を選任することが義務付けられているため、セットで取得することをおすすめします。
3. 防火管理者が必要な対象物一覧
防火管理者が必要な対象物は、ざっくりとした表現をすると多数の人が利用する建物です。
建物全体の収容人員は、学校、病院、工場、事務所、興行場、百貨店(これに準ずる政令で定める大規模小売店舗を含む)などそれぞれ決まっています。
具体的には下のような建物が対象です。
防火対象物 | 甲種防火対象物 | 乙種防火対象物※ | 選任を要する収容人員 |
劇場、映画館、演芸場や 公会堂、集会場など | 300㎡以上 | 300㎡未満 | 30人以上 |
キャバレー、カフェー、 ナイトクラブ、遊技場、 風俗営業店舗など | 300㎡以上 | 300㎡未満 | 30人以上 |
待合、料理店、飲食店など | 300㎡以上 | 300㎡未満 | 30人以上 |
百貨店、マーケット、 物品販売業を営む店舗や 展示場など | 300㎡以上 | 300㎡未満 | 30人以上 |
旅館、ホテル または宿泊所など | 300㎡以上 | 300㎡未満 | 30人以上 |
寄宿舎、下宿 または共同住宅 | 500㎡以上 | 500㎡未満 | 50人以上 |
病院、診療所、 幼稚園、特別支援学校など | 300㎡以上 | 300㎡未満 | 30人以上 |
小学校、中学校、高校、 高等専門学校、大学、 専修学校、各種学校、 図書館、博物館、美術館など | 300㎡以上 | 300㎡未満 | 30人以上 |
蒸気浴場、熱気浴場など (公衆浴場のうち) | 300㎡以上 | 300㎡未満 | 30人以上 |
蒸気浴場、熱気浴場以外の 公衆浴場 | 500㎡以上 | 500㎡未満 | 50人以上 |
車両の停車場、 船舶、航空機の発着場など | 500㎡以上 | 500㎡未満 | 50人以上 |
神社、寺院、教会など | 500㎡以上 | 500㎡未満 | 50人以上 |
工場、作業場 映画スタジオ、TVスタジオ など | 500㎡以上 | 500㎡未満 | 50人以上 |
自動車車庫、駐車場、 航空機などの格納庫 | 500㎡以上 | 500㎡未満 | 50人以上 |
倉庫 | 500㎡以上 | 500㎡未満 | 50人以上 |
その他事業場 | 500㎡以上 | 500㎡未満 | 50人以上 |
地下街 | 300㎡以上 | 300㎡未満 | 30人以上 |
重要文化財、 重要有形民俗文化財、 史跡など重要な建築物 | 500㎡以上 | 500㎡未満 | 50人以上 |
※建物全体の面積が500㎡未満の場合:甲種 または 乙種 の防火管理者の選任が必要。
また、政令で定める2つ以上の用途に供される複合用途防火対象物、その他多数の人が出入りし、勤務し、居住する防火対象物に防火管理者を置きます。
複合用途防火対象物とは一つの建物に異なる用途が存在する防火対象物のことで、1階がキャバレー、2階が飲食店などの場合が該当します。自宅兼店舗のような建物も該当するにはしますが、住居部分の合計面積が店舗より大きく、店舗部分が50㎡以下の場合は複合用途防火対象物に該当しないため、消防署へ点検報告書を提出することは不要となります。
4. 防火管理者が必要な対象物には消防点検も必要不可欠!
「防火管理者が必要な対象物」には「消防点検」が必要可決です。
消防点検に関するお問い合わせ、ご相談は全国消防点検.comへ!
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設置は設置業者、点検は点検業者と窓口が変わることがほとんどですが、
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防火管理者、防災管理者以外の方でも防火防災に関心を持っていただき、ご自身が過ごす場所の安全を確保するため、常に意識をもって、取り組んでいただければ幸いです。
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