消防点検コラム

COLUMN

2023.05.31

バルサンに煙感知器は反応するの?対応策や注意点を解説

「これからバルサンをしようと思うけれど煙感知器が反応しないか心配」や「そもそも煙感知器はバルサンなどで作動するの?」といった不安や疑問を持っている人は多いと思います。

結論から言うと、一般的な家庭やビルに設置されている煙感知器は、バルサンやアースレッドといった煙が出る「くん煙剤」の殺虫剤に反応します。

一方で、煙感知器が反応しないための対応策や、感知器の種類を見極めることで、混乱を防ぐことは十分に可能です。

この記事では「バルサンと煙感知器」について、消防点検のプロが初心者にもわかりやすく解説します。

バルサンが煙感知器に反応する仕組み

バルサンやアースレッドといった燻煙式の殺虫剤は、煙感知器に感知される可能性があります。

実際に、バルサンを製造販売している中外製薬は同商品に対し「火災報知器が作動しないようにするカバーが付属しています。」としており、煙感知器が反応することを前提にしています。

また、アースレッドの製造販売元であるアース製薬は、公式サイトのなかで「(火災報知器が)反応し作動する」と紹介し、商品に専用カバーを付属しています。

バルサンやアースレッドなどを使用する際、着火または水によって始めることになりますが、開始2分から3分後に最も勢い良く煙が噴射および拡散されます。

この際に、バルサンの上部に煙感知器があると、煙感知器がバルサンの煙を火災による煙と誤認してしまい、作動してしまう仕組みです。(家具が多い部屋では煙感知器から離したとしても煙が届きやすくなるので注意)

一方で、煙感知器は一定量の煙を感知するまで作動しない、いわば安全機構のような役目を果たす「リーク孔(空気の逃げ道)」が設けられているため、必ずしもバルサンやアースレッドに反応するとは限りません。

従って、バルサンやアースレッドといった燻煙剤が煙感知器に反応するかどうかは、煙感知器の構造や、煙感知器が作動する仕組みについて理解することが大切です。

参考:バルサンワンタッチ煙タイプ40g、中外製薬

参考:アースレッドシリーズ/ゼロノナイトに関する製品Q&A、アース製薬

煙感知器とは

煙感知器とは自動火災報知設備を構成する設備のひとつで、一定量の煙を感知することで火災信号を発する役割があります。

複合ビルや共同住宅等に設置されている煙感知器の場合、感知器から発せられる火災信号は、管理人室や防災センター室などに設置してある総合盤(制御盤のような物)に届き、総合盤から非常ベルや火災非常放送、さらには最寄りの消防署に自動通報される仕組みになっています。(自動火災報知設備の構成は建物によって異なる可能性がある)

対照的に、一般家庭ではここまで大掛かりな設備になっていないことがほとんどです。煙感知器や火災警報器等が設置されている家庭の場合、感知器から警報音が鳴ったり、フラッシュライトが点滅したりすることで、周囲に異常を知らせます。

従って、煙感知器は「煙による異常を人以外の方法で最も早く感知するための装置」と言えます。

煙感知器が作動する仕組み

バルサンなどで煙感知器が作動する仕組みについて理解しましょう。煙感知器は複合ビルの居室や押入、廊下、階段といった場所の天井部に設置されることが多く、茶碗を裏返しにしたような形状で、白色またはクリーム色をしています。

煙感知器は煙の量を感知することで作動するため、感知器本体には煙を取り込む穴が複数開いています。(メーカーによって色や形状が異なる)

煙を取り込む開口部は、水平方向に向かって大きく開いていますが、感知器内部に煙がすぐに充満して誤作動を起こさないようにするために、空気の逃げ道となる「リーク孔」も設けられています。

つまり、煙がリーク孔から漏れていったとしても、それを超える量の煙を感知し続けることで作動する仕組みになっていると言えます。

これを実現するための構造として、感知器内部には発光ダイオードが使われています。平常時であれば発光ダイオードの光が一定方向に進みますが、異常時には煙によってこの光が乱反射を起こすことで警報を発する仕組みです。

煙感知器の種別

煙感知器には1種、2種、3種の区分があり、それぞれ光が乱反射を起こす煙の量の設定(感度)が異なります。

最も感度が高いものが「1種」で、天井が高い場所などに用いられます。居室や廊下、一般家庭においては「2種」相当の感知器が設置されることがほとんどです。

2種の場合、バルサンやアースレッドなどから発せられる煙の量では反応しないことが多いものの、感知器内部に埃やチリが蓄積している場合や、小さな昆虫が入り込んでいるような時は、規定の感度以下の煙量であっても反応してしまうかもしれません。

とくに、設置から10年を超える古い煙感知器には注意が必要です。このような事態を想定し、バルサンやアースレッドを使用する際は、煙感知器が反応しないよう付属の専用カバーを使うことが推奨されています。

煙感知器かどうかを見分ける方法

バルサンやアースレッドを使用する際、ご自身の環境において「煙感知器か熱感知器かが見分けられない」という問題が生じるかもしれません。

煙感知器かどうかを見分ける方法としては、感知器本体の外観を見るのが最も手軽です。煙感知器は煙を取り込むための「穴」が開いており、その多くは網状または格子状の形をしています。

これに対し、熱感知器は、熱を感知するための「銀色の円盤状の部品」が付いていることや、中央のセンサー部分が突起している、そして煙感知器のような穴が開いていないドーム状をしているといったことが特徴です。

仮に、バルサンやアースレッドを使用する際、対象となる場所に煙感知器が設置されておらず、熱感知器だけだとしたら、カバーをかけたり、誤作動を心配したりする必要はありません。

なぜなら、熱感知器はバルサンやアースレッドといった煙に反応しないためです。熱感知器はあくまでも周辺温度の上昇を感知する仕組みであることを覚えておきましょう。

ちなみに、煙感知器は熱感知器よりも高価であることや、構造が複雑ということもあり、頻繁に見かけるものではないということも知っておくとよいかもしれません。

バルサンやアースレッドなどを使用する際の注意点

バルサンやアースレッドなどを使用する際の注意点は以下の通りです。

・専属のカバーを付ける
・6畳以下の部屋では使用しない
・すべての火の元を確認する
・ガス警報器もカバーする
・使用後はカバーを外す

上記の注意点についてそれぞれ解説します。

専属のカバーを付ける

バルサンやアースレッドを使用する際は「専属のカバーを付ける」ようにしましょう。専属のカバーはバルサンやアースレッドに付属されているため、新たに購入する必要はありません。

バルサン等を始める前に、煙感知器を覆うようにしてカバーをかけ、カバーについている紐を引っ張ることで感知器を密閉状態にします。

煙感知器または熱感知器は、カバーを取り付ける際の衝撃などで誤作動を起こすことはありませんので、ゆっくりと確実に感知器を覆うようにしましょう。

6畳以下の部屋では使用しない

「6畳以下の部屋では使用しない」こともバルサンやアースレッドを使うに注意すべきポイントです。

あまり知られていませんが、バルサンやアースレッドといった燻煙殺虫剤は「6畳以上」が対象であり、4.5畳などの部屋では使用できません。

もし、煙感知器が設置してある6畳以下の場所でバルサン等を使う場合、煙が密集しやすくなり、結果的に感知器内に煙が溜まってしまうかもしれません。

煙感知器にカバーを使用したとしても、誤作動を起こす可能性は否定できません。また、メーカーが推奨していない使用方法になりますので、6畳以下での使用は控えましょう。

すべての火の元を確認する

バルサン等を使用する際は「すべての火の元を確認する」ことも忘れないでください。バルサン等を使用する場合、最低でも2時間程度は部屋が無人状態になります。

うっかり火を消し忘れていたというような事態になると、煙感知器が作動してしまうかもしれません。

バルサンによる誤作動かと思っていたら、本当に火事になっていたということも考えられます。

ガス警報器もカバーする

「ガス警報器もカバーする」こともバルサンやアースレッドを使用する際の注意点です。とくに「ノンスモーク霧タイプ」を使う場合はカバーすることを忘れないでください。

ノンスモーク霧タイプは、煙感知器には感知されないものの、ガス警報器に感知される可能性があります。

そのため、ノンスモーク霧タイプだから煙感知器を気にしなくても大丈夫と思い込まず、ガス警報器の誤作動にも警戒しましょう。(ガス警報器のプラグを一時的に抜くことでも対応可)

使用後はカバーを外す

バルサンやアースレッドを使用する際は「使用後はカバーを外す」ことも忘れないでください。

うっかりカバーを付けたままにしていると、実際に火事が起きた際に感知器が機能しなくなってしまいます。

とくに注意すべき場所としては「押入」や「物入れ」といった、カバーしたことを忘れやすいところです。

まとめ

バルサンやアースレッドを使用することで煙感知器が誤作動を起こす可能性があります。煙感知器から離して使用したとしても誤作動を招く可能性は否定できません。

煙感知器が設置してある場所でバルサン等を使用する場合は、専用カバーを装着することを忘れないでください。

また、煙感知器の誤作動を防ぐために「ノンスモーク霧タイプ」を使用する場合は、ガス警報器の誤作動にも注意しましょう。

 

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