消防用設備
2022.10.11
誘導灯には◯種類ある?違いや特性について解説!
誘導灯とは災害や停電が発生した際に、建物内の人々が出口を迅速に把握して安全に屋外へ避難できるようにするための照明器具です。
日常的にも馴染み深い、扉の上についている緑や白の明かりのことです。
今回はそんな法令点検の点検項目にもなっている誘導灯について知っておくべき要素をまとめました。
【目次】
1. そもそも誘導灯って?
2. ぜんぜん違う!誘導灯と非常灯はここが違う
3. 誘導灯の大きさ区分・設置基準について
4. 意外と短い…誘導灯の寿命
1. そもそも誘導灯って?
そもそも誘導灯とは何なんでしょうか。
先程もお伝えした通り、非常時に屋外へ安全に避難するための照明器具です。
誘導灯は「消防法施行令第26条」や各地方自治体の火災予防条例などにより義務付けられ、設置する場所や大きさなども詳しく規定されています。設置が義務化されている建物は、劇場や映画館、病院といった不特定多数の人が出入りする場所です。 ほかにも、共同住宅や工場、避難や消防活動が困難となる地階、建物の11階以上などでも誘導灯を設置する必要があります。
誘導灯は基本的に24時間点灯しておく必要があり、有事の際も使えるようにバッテリーが内蔵されていたり、非常用電源からの電力供給で点灯ができるように設計されています。
また建物の大きさによっては大きい分、避難にも時間がかかることが想定されるため、内蔵バッテリーも長時間点灯できるような「長時間型誘導灯」を設置しなければいけません。
被害を減らすためにも常時点灯している誘導灯ですが、その分多くの電力を消費したり蛍光灯を交換したりしています。
近年ではただのライト機能だけの一般型以外にも明るさが可変したり、ストロボフラッシュで明るく点滅する点滅式誘導灯、さらに音声による誘導案内のついた誘導音付加型誘導灯などの種類も存在しており、誘導音付加型誘導灯の設置も増えてきています。
誘導灯その1:避難口誘導灯
主に避難口を示すための誘導灯です。
背景が緑色で人が走っているピクトグラムが大きく描かれているものがこれに該当し、避難する出口の上や非常用階段がある場所に設置されます。
設置タイプには片面形・両面形の2種類が存在しており、裏側から見えない場合は片面形を使用しなければいけません。
たとえばドアの上に設置する際などには片面形が使用されています。
反対に誘導灯を前と後ろの両方から見える場所に設置する際には両面形を使用しなければいけません。
両面形は基本的に天井に取り付けられ、廊下の形状がT字路や十字路の場合だったり、廊下の途中に階段がある場合などに両面形の誘導灯が使用されます。
まとめると、前からでも後ろからでも誘導灯が見えるように設置しなければいけないということです。
誘導灯その2:通路誘導灯
避難口がどちらの方向にあるかを示すための誘導灯です。
こちらは避難口誘導と配色が逆になっており、背景が白で矢印が緑色で大きく描かれています。
通路誘導灯はどの方向に避難口があるかを示すもののため、主に廊下などに設置されています。
通路誘導灯の設置方式も避難口誘導灯と同じく片面形と両面形の2種類です。
誘導灯その3:客席誘導灯
劇場や映画館といった薄暗い客席に設置されるもので、足元が見えるようにする誘導灯です。
規定以上の明るさを保つ必要があり、矢印などの表示はありません。
非常灯は建築基準法によって30分間以上、施設の大きさによっては60分間以上の点灯が義務付けられています。
誘導灯その4:階段誘導灯
階段や傾斜地に設置され、現在何階にいるのかといった周りの視認性を高める目的のある誘導灯です。
非常時にはエレベーターやエスカレーターといった機器が使用できない可能性があり、階段は非常時の避難手段として有効です。
非常時に足元や現在位置を分かるようになるため非常に重要な設備の1つとなっています。
こちらも客席誘導灯と同じく一定の明るさを保つ目的の非常灯と呼ばれる種類のもので、建築基準法により、劇場・病院・ホテルなどの特殊建築物、階数が3階以上で、延床面積が500平方メートルを超える建築物、延床面積が1,000平方メートルを超える建築物や無窓の居室を有する建築物での設置が義務付けられています。
消防隊の救助作業時の照明確保のため、140度の火熱に30分間以上耐え、30分間非常点灯させた状態で、床面1ルクス(蛍光灯の場合は2ルクス)以上の照度を確保する必要があります。
2. ぜんぜん違う!誘導灯と非常灯はここが違う
災害時に被害を最小限に抑えるために設置が義務付けられている誘導灯ですが、似たような名前で非常灯というものも存在しています。
どちらも非常時を想定して設置されている防災照明器具ですが、両者には明確な使用用途の違いがあり、全くの別物です。
誘導灯は非常時の初期段階での避難誘導が目的です。そのため耐熱性は担保しなくても問題ありません。
しかし非常灯は消防隊が救助作業をする際の照明確保のために設置されています。
非常灯には耐熱性と最低でも30分間点灯することが求められているんです。
厳密には140度の火熱に30分以上耐えられる構造で、30分間非常点灯させた状態で床面1ルクス(蛍光灯の場合は2ルクス)以上の照度を確保する必要があります。
また、誘導灯は消防法によって規定されていますが、非常灯は建築基準法で規定されています。
劇場・ホテル・博物館などの特殊建築物、階数が3階以上で延床面積が500平方メートルを超える建築物や延床面積が1,000平方メートルを超える建築物や無窓の居室を有する建築物での設置が義務付けられています。
まとめると誘導灯は避難口や避難する道のりを示すライトで、非常灯は消防隊が迅速に作業を行うためのライトです。
3. 誘導灯の大きさ区分・設置基準について
誘導灯の大きさは等級で分けられており設置場所や施設の用途によって必要な等級が決定されます。
誘導灯はその性質上、遠くからでも簡単に視認できなければいけません。
そのため基本的には部屋が広いほど大きいものが必要になり、常時点灯という性質上現在ではLED光源のコンパクトタイプが主流です。
誘導灯は防火対象物や設置間隔により設置基準が異なります。
大きさの区分について
「大形・中形・小形」の等級表記から、表示面の縦寸法を基準とする「A級・B級・C級」の等級表記に変更になりました。
A級とB級の違いは、表示面の寸法がA級のほうが大きく、表示面が明るくなります。そのため、A級誘導灯を設置する場合、B級を設置するよりも少ない個数になります。誘導灯は等級により歩行距離が異なります。
A級…0.4m以上
B級
BH形…0.2m以上0.4m未満
BL形…0.2m以上0.4m未満
C級…0.1m以上0.2m未満
B級のみ2種類ありますがこれは輝度による違いです。
輝度が高いほうがBH形で輝度が低いほうがBL形です。
設置基準
避難口誘導灯の場合
・屋内から直接地上に通じている出入り口
・直通階段の出入り口、避難口に通じる廊下や通路に通じる出入り口
・避難口に通じる廊下や通路に設置する直接手で開けられる場所
となっています。
避難口誘導灯の設置場所は、すぐ外に出れるドアや避難通路に通じるドアなどに設置する必要があると言えます。
通路誘導灯の場合
・曲がり口
・主要な避難口に対する有効範囲内
・廊下または通路の各部分を通路誘導灯の有効範囲に包含するように設置
・通路誘導灯間
通路誘導灯は避難口までの経路を示したような誘導灯のためどちらに行けばいいか迷うような場所などに設置されます。
また経路を示すものという性質により、適切な間隔を保って設置する必要があります。
4. 意外と短い…誘導灯の寿命
誘導灯は24時間毎日点灯している非常用のライトです。
普段気にならなくても実はずっと働いているため寿命は少し短めです。
器具自体の寿命つまり交換目安は8~10年。耐用限度が12~15年。
また、内蔵されているバッテリーの寿命はもっと短く、4~6年程度が目安と言われています。
この期間を過ぎてしまうとバッテリー自体が弱ってしまいバッテリーの容量不足が発生したり、本来発光できた時間誘導灯を点灯させることができなくなってしまいます。
一番怖いのは、災害が発生し停電が起きて避難口が分からずに逃げ遅れてしまうことです。
そんな悲しい事態を防ぐためにも法令で点検が定められています。
少しでも不良箇所があったら交換しましょう。
誘導灯の点検しなきゃいけない項目は?
誘導灯は消防法により設置が義務付けられています。
以下の要素を目視や設計図と照らし合わせつつ、距離測定などで確認していきます。
1.外箱及び表示面
(ア)種類:所定の種類のものが適正に設置されていること
(イ)視認障害等:所定の位置に設置されており、間仕切り、広告物、装飾等による視認障害がないこと。
(ウ)外形:変形、損傷、脱落、著しい汚損等がないこと。
(エ)表示:適正であること。
2.非常電源(内蔵型のものに限る)
(ア)外形:変形、損傷、著しい腐食等がないこと。
(イ)表示:適正であること。
(ウ)機能 正常であること。
3.光源:汚損、劣化、ちらつき、影等がなく、正常に点灯していること。
4.点検スイッチ:変形、損傷、脱落等がなく、切替機能が正常であること。
5.ヒューズ類:損傷、溶断等がなく、所定の種類及び容量のものが使用されていること。
6.結線接続:断線、端子の緩み、脱落、損傷等がないこと。
7.信号装置等(消灯機能、点滅機能、誘導 音機能、減光機能等を作動させるため の移報装置をいう)
(ア)外形:変形、損傷、著しい腐食等がないこと。
(イ)結線接続:断線、端子の緩み、脱落、損傷等がないこと。
(ウ)機能:正常であること。
まとめ
誘導灯は大きく分けて2種類あり使用用途が異なります。
避難口誘導灯は直接避難口につながるようなところに設置されるもので、通路誘導灯は避難口までの経路を示すような誘導灯です。
有事の際に避難口を知っていることは稀です。そのためここで得た知識を使いつつ、冷静に避難しましょう。
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