消防点検コラム

消防用設備

2022.10.11

消火栓とホースの点検項目や使用方法とは?

火災発生時には迅速な鎮火が求められます。

その際に重要なのが消火栓。今回は屋内や屋外に設置されている消火栓の中に設置されているホースについて解説します。

そもそも消火栓ホースって?

消火栓ホースとは、消防ポンプ自動車などにより加圧された水を、火災現場に放水するため消火栓格納箱に組み込まれているホースです。

後ほど消火栓用ホースの種類について解説しますが、先にホースの呼び方を説明します。

大容量泡放水砲用ホース以外のホースは「呼称」で表わされ、次の種類があります。

150,125,100,90,75,65,50,40,30,25,20

大容量泡放水砲用ホースだけは 「呼び径」で表わされ、当該ホースの設計内径(表示された径~その径の103%まで)とされています。

消火栓ホースは形状により一人で操作できるかどうか判別できます。

消火栓ホースの条件

消防用ホースは消火活動に不可欠のため、取り回しのしやすさと大量の水を遠くまで放水できるように設計されています。

ここでは消火栓ホースとして利用できる条件を明記します。

耐圧性能

消防用ホースにはとくに重要なのが耐圧性能。水を遠くまで大量に放水するためには圧力が必要です。耐圧性能はホースの織物構成により異なります。

経年劣化

消防用ホースは環境要因や使用時の摩擦や外傷などによりたとえ使用していなくても劣化していきます。

劣化は漏水や破断の危険性があり、使用時に高圧力に耐えきれなくなり破断したり、金具が吹き飛び事故が発生する危険もあります。

ホースの設計と耐用年数

ホースの寿命は使用していなくても10年が基準で使用した場合の耐用年数は6~7年です。

ホースの点検

ホースの耐用年数はあくまで目安であり、個々のホースにより変わってきます。

耐圧試験などをしても、試験基準をギリギリでクリアしたのか、余裕でクリアしたのかは分からず、その意味では試験にクリアしても危険性が確実にないのかはわかりません。

たとえ試験にクリアしていたとしても、耐用年数やホースの置かれている環境などから複合的に交換の判断をすることも重要です。

消火栓は用途によって種類が変わる!?

消火栓ホースは消火栓の中に含まれているもので、簡単に消火栓の違いについても解説します。

1号消火栓

1号消火栓に共通するのは消化能力が高く設置できる防火対象物も限定されません。

外見は平ホースが縦に蛇腹状に折りたたまれているので、長いホースが格納できます。

高い消火能力とも相まって工場や倉庫などでも使用可能で、ホースも長いので消火栓を設置する数も少なく済ませることが可能です。

1号消火栓には折りたたみ平ホースが使用されます。

易操作性1号消火栓

1号消火栓と同じ条件の場所に設置が可能で、性能も1号消火栓と同じです。

易操作性1号消火栓は保形ホースでも使用可能です。

しかも取り扱いが比較的カンタンで、一人でも操作できるといういいとこ取りの優れもの。

それならすべての1号消火栓を取り替えればいいのでは?となりますが、易操作性1号消火栓へ改修する場合、ポンプの増強と消火栓箱を大型に変更する必要があります。

2号消火栓

1号消火栓よりも能力が小さく設置できる防火対象物も限られてきます。

1号消火栓よりも性能が劣るため消火栓の設置間隔も狭いです。

2号消火栓も保形ホースが使用されており、一人での仕様が可能です。

 

消火栓ホースは見た目も違えば性能も違う!

消火栓ホースには平ホース、保形ホース、大容量泡放水砲用ホース、濡れホースの4種類があります。

それぞれ形の違いなどから消防法によって規定があります。

平ホース

綿や合成繊維の糸を使用して筒状に織った布の中にチューブ状の内張りをほどこしたホースでチューブ状の内張りをすることで漏水を防いでいます。

名前の通りうすべったい見た目をしており、基本的には縦に蛇腹状に折りたたまれた状態で格納されています。

長さは10メートル、15メートル、20メートル、30メートルの4種類。

平ホースは1人では使用できないので必ず2人以上で使用しなければいけません。

一人がホースを最後まで引き伸ばしたあと、もう一人が放水バルブを解放するという状況を想定しているからです。

 

保形ホース

保形ホースは易操作性1号消火栓や2号消火栓、補助散水栓及び広範囲型2号消火栓のように、一人で操作可能な消火栓用のホースです。

ホースノズル自体にバルブが設置されているため一人でも使用が可能です。

平ホースと同様に長さは10メートル、15メートル、20メートル、30メートルの4種類。

タテ糸は平ホースと同じ素材ですが、ヨコ糸に剛性が高いものを使用しているため折りグセがつきにくく、通水時にも保形性が保てます。

日常に使用されているホースと似ているような筒状の形状をしています。

 

大容量泡放水砲用ホース

石油コンビナート等災害防止法の一部改正(平成16 年6月)により、直径34メートル以上の浮き屋根式屋外タンクを有する特定事業所において、大容量泡放射シス テムの配備が義務付けられました。

 

大容量泡放水砲用ホースは大容量であること以外は平ホースと性能がほとんど同じです。

呼称は、製造事業者が設定した呼び径で良いとされていますが、300~500位の文字通り大容量のものが多くあります。

濡れホース

濡れホースは水流によりホース全体が一様に濡れる消防用ホースのことです。

平ホースの内張りに通水性を追加したもので、以前の規格で使用されていた麻ホースの長所を平ホースに取り入れたものです。

濡れホースの長さは20メートルのものと30メートルのものがあります。

消防用ホースの点検しなきゃいけない項目は?

消防用ホースについては設置(製造年)後、10年を経過したものにつき、機器点検時にホースの端末部に所定の水圧をかけて漏水しないことを確認します。

その後は、3年毎に実施のうえ、消防署へ報告することが義務づけられていますが、中易操作性1号消火栓及び2号消火栓の “保形ホース” は除外されています。

点検方法

ホースの耐圧点検は建物関係者立ち会いのもとに、設置位置などを確認しつつ消火栓格納箱からホースを取り出し、ホース耐圧試験機にセット。

ホース使用圧までだんだんと加圧していき、漏水などを確認していきます。

判断基準は変形や損傷がなく、ホースや金具の接続部分から著しい漏水がないかどうかで判断されます。

噴水上の漏水や継続した滴下がある場合、著しい漏水があると認定。

また、点検時に消防用ホースを交換した場合は10年間の耐圧試験が免除となります。

消火栓ホースの交換に資格はいる?

消火栓ホースの点検には資格が必要です。

それでは点検の結果、交換が必要と判断された場合はどのようにしたらよいのでしょうか。

消防設備は消防法により無資格は一定以上の工事や整備をすることが禁じられています。

消火栓設備そのものの設置に係る工事は消防設備士でなければ行ってはいけません。

しかし消火栓の表示灯やホース類は消防設備士でなくても行える業務となっています。

そのためホースの交換が必要と判断された場合でも特定の業者を呼んだりする必要はありません。

緊急時に備えてホース格納箱の使い方も解説!

屋内消火栓は最初から消火に必要なものがすべて組み込まれていますが、屋外には消火栓の近くにホース格納箱が設置されていることがあります。

ホース格納箱とは消火栓の近くに設置されている赤い金属製の箱のことで次の4つが収納されています。

・ホース

・消火栓開閉器

・スタンドパイプ

・筒先

スタンドパイプは場所によっては含まれていないこともあります。

使い方

ホース格納箱を使用して消火活動をする場合は必ず4人以上必要です。

消火栓担当:1人

ホース担当:1人

放水担当:2人

 

まず消火栓担当が開閉器とスタンドパイプを持って消火栓の蓋をあけます。

消火栓は地面にあるマンホールのような蓋の中にあります。

消火栓とマンホールとの違いは蓋に「消火栓」や「防火水そう」と書かれていることです。

 

消火栓の蓋が開いたら開閉器を消火栓内部の開閉栓に差し込みます。

左に回していくと水が流れ始めるのでゆっくりと増やしていきます。

一気に放水すると圧力に耐えられず事故が発生する危険があるためです。

放水担当者と連携しながら少しずつ送水してください。

 

ホース担当はスタンドパイプとホースを取り出し、スタンドパイプとホースを取り付けたら火元に急行します。

ホースは最大3つまで延長が可能です。

また、ホースはねじれや折れがないか確認しながら延長してください。

放水担当者のもとへ行き筒先と連結して放水作業を開始します。

 

放水担当者は筒先を持って火元へ走ります。

放水場所は火元へは近すぎず、足場の安定した場所を選んでください。

 

よく見る消火栓の使い方は?

有事の際に備えて消火栓の使い方も記載しておきます。

1号消火栓の場合

※必ず二人以上で操作してください。

1.扉を開いて起動ボタンを押す

2.赤色の明かりが点灯したらホースを伸ばす。

3.バルブを全開にして放水開始。ホースが折れたりねじれたりしないように注意すること。

放水中はノズルを手放してはいけません。

易操作性1号消火栓・2号消火栓の場合

こちらは一人でも操作が可能です。

1.開閉レバーを開く

2.ノズルを取り出しホースを伸ばす

3.手元にあるノズルの開閉レバーを開く

こちらも放水中はノズルを手放してはいけません。

消火ノズルから放出されている水は加圧されています。

そのため勢いが強く、放水したままノズルを手放してしまうとノズルが動き怪我の恐れがあります。1号消火栓は水圧バルブが手元にないため二人以上での操作が必須ということなんです。

放水したままノズルを手放すのは、お風呂でシャワーを出したまま落としてしまうことの何倍も危険です。

危険ですので十分に注意してください。

まとめ

今回は消火用ホースをメインに消火栓やホース格納箱について解説していきました。

ホースの点検には資格が必要ですが、交換作業はその限りではありません。

また消火時にホースを使用する場合はその水圧の高さゆえに丁寧な作業が求められます。

非常事態時に冷静な動きをするのは大変ですが、二次被害を防ぐためにも気をつけて使用しましょう。

 

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