消防点検コラム

消防法

2020.11.27

民泊における消防法の解説と必要な消防設備

消防法での民泊の区分は一般的なホテルと同じ?

部屋をまるごとゲストに提供する民泊は、消防法上(5)項イという用途に区分されます。

この(5)項イとは消防の観点から言えばホテルや旅館などと同じ区分です。細かく分ければ民泊の場合は届出住宅と言います。
民泊は年間180日以上の営業ができないという制限はあるものの、消防法からみれば同じ区分なのですね。

もう一つのケースで民泊新法で家主居住型とよばれる、ホストは家にいて部屋の一部を寝室としてゲストへ提供するホームステイのようなケースでは同じく(5)項イとなる場合と、一般住居やマンションなどと同じ(5)項ロや(16)項イとなるパターンがあります。

(5)項イとなるのはゲストに提供する寝室の合計面積が50㎡以上の場合のみで、よくある一軒家やマンションの場合は該当しないのではないでしょうか?

このあたりは複雑なので消防庁が作成した図で確認しましょう!

(引用:総務省消防庁「民泊における消防法令上の取扱い等に関するリーフレット」平成30年3月)

とてもざっくり言えば、
よくある一戸建てやマンションの場合でホストが家にいる場合、ほとんどは一般住宅に分類されるため消防用設備の設置は必要ないでしょう。
(※ただし他の住居と同じく寝室に住宅用火災警報器の設置は必要です。)

民泊新法(住宅宿泊事業)における消防法

特定小規模施設となった施設

特定小規模施設とは、次に掲げる防火対象物であって、延べ床面積が300㎡未満のものをいいます。
ただし、特定一階段等防火対象物(特定1階段等防火対象物とは、地下階または3階以上に特定用途部分があり、 かつ屋内階段が1つしかない建物)は除かれます。

民泊施設においては自動火災報知設備の設置が義務付けられていますが、特定小規模施設の場合には特例が適用となります。

【特定小規模施設】(平成20年総務省令第156号)(平成25年改訂)
次に掲げる防火対象物であって、延べ床面積が300㎡未満のもの(特定一階段等防火対象物を除く)
(1) カラオケボックス・個室ビデオなど(2) 旅館・ホテル・宿泊所など(3) 病院・診療所など[3床以下の診療所を除く](4) 老人短期入所施設・養護老人ホームなど(利用者を入居させ、または宿泊させるものに限る)(5) 老人デイサービスセンター・軽費老人ホーム・保育所など(利用者を入居させ、または宿泊させるものに限る)(6) 複合用途
下の用途に供される部分の床面積の合計
(1)、(2)、(3)※利用者を入居させ、または宿泊させるものに限る)、(4)、(5)※利用者を入居させ、または宿泊させるものに限る

家主不在型の民泊消防法

家主不在型とは、民泊ホストが同じ住宅内におらず、民泊施設を貸し出すスタイルの民泊様式を指します。
恐らく一般的なイメージされる「民泊」はこちらで、民泊施設に民泊ホストが不在となる運営方法です。

家主不在型の民泊、家主在住型でも居室面積が50㎡以上の場合は、下の消防設備を設置する必要があります。

消火器
地下から3階までの部屋で床面積50㎡以上の部屋には設置が必要です。
自動火災報知設備
延べ面積が300㎡以下で2階建以下の建物の場合、特別に特定小規模施設用自動火災報知機で代替可能とされています。
大規模な施設(ホテルや旅館など)の場合は一般的な自動火災報知設備の導入が必須です。
誘導灯
誘導灯には「避難口誘導灯」と「通路誘導灯」があります。「避難口誘導灯」は出口に設置するものです。
消防設備の点検、報告
消防点検は、機器点検を年に2回、総合点検を年に1回する必要があります。
また1年に1回、消防長または消防署長に点検報告をする必要があります。
防炎物品の使用
万一火事になった場合、カーテンや布団などに炎が燃え移り、被害が拡大していく可能性があります。
そのため、布団やカーテン、絨毯などは防炎仕様のものにしておく必要があります。

(引用:総務省消防庁「民泊の消防法令上の取り扱い等について」平成30年6月26日)

家主滞在型の民泊消防法

家主滞在型とは、民泊ホストが同じ住宅内に住んでおり、住宅の一部を宿泊者に貸し出す民泊様式のことを指します。
普段生活している家に宿泊者を受け入れるスタイルであるため、家主居住型は「ホームステイ型」とも呼ばれます。

家主在住型の民泊の場合、基本的にゲストが宿泊する寝室の床面積が50㎡が基準です。
50㎡よりも狭い場合は一般住宅となるので、ゲストが滞在する部屋に火災報知器を設置するのみで要件を満たします。

ゲストの寝室が50㎡以上の場合、旅館やホテルと同じ消防法が適用されます(消防法施行令表第15項イ)。
この基準は家主不在型と同じものです。

【建物の用途別】民泊に必要な消防設備

・消火器(延べ面積150㎡以上)

・自動火災報知設備(特定小規模施設用自動火災報知設備がおすすめ)

・誘導灯(設置必要なしの場合もあり)

・防炎物品(カーテン・じゅうたん)

以上が必要な設備です。

ここでキモとなる特定小規模施設用自動火災報知設備(以下特小と略します)とは、通常の自動火災報知設備で必要な受信機と呼ばれる操作パネルと配線工事が必要無いため、大幅にコストダウンできるものなのです!

特小は新しい消防設備で実際には工事をしたことのない消防設備士や実物を見たことのない消防署の方もいらっしゃるのですが、全国消防点検.comではこの特小設置の実績が多数あるため、民泊を始めるにあたってお悩みの方は是非一度全国消防点検.comご相談ください!

 

一般住宅の一部を民泊として使用

1.民泊部分が半分未満で50㎡未満の場合

一般住宅民泊
(半分未満で50㎡以下)

・消防用設備等の設置は不要。
(ただし、全ての住宅に設置義務がある住宅用火災警報器は設置が必要)

宿泊施設として取り扱われる部分のカーテン、じゅうたん等は防炎物品とすることが必要です。

2.民泊部分が半分未満で50㎡超または半分の場合

一般住宅民泊
(半分未満で50㎡超または半分)

・必要となる消防用設備等
消火器・・・民泊部分の床面積が150㎡以上の場合。
自動火災報知設備・・・民泊部分のみ。
誘導灯・・・全て。

また、宿泊施設として取り扱われる部分のカーテン、じゅうたん等は防炎物品とすることが必要です。

3.民泊部分が半分を超える場合

一般住宅民泊
(半分超)

○必要となる消防用設備等
消火器・・・建物の延べ面積が150㎡以上の場合。
自動火災報知設備・・・全て。
誘導灯・・・全て。

また、宿泊施設として取り扱われる部分のカーテン、じゅうたん等は防炎物品とすることが必要です。

共同住宅

①消火器

延べ面積150㎡以上の場合設置が必要。

自動火災報知設備

・延べ面積が500㎡以上の場合、民泊の有 無によらず建物全体に自動火災報知設備 が必要。

・延べ面積が500㎡未満の場合、延べ面積が300㎡以上で民泊部分が1割を超えると、建物全体に自動火災報知設備の設置 が必要。ただし、それ以外の場合は民泊部分のみの設置で可。

誘導灯

廊下、階段等の共有部分に新たに設置。
さらに、避難口までの歩行距離 や視認性等の一定の条件を満たせば設置画面所となる場合がある。

民泊で消防法令適合通知書がもらえるまでの流れ

STEP1消防法令適合通知書交付申請書などの書類の届出。

家主等が管轄する消防署へ所定の様式により交付申請します。

民泊の申請は複雑で少し難しく、図面等をもとに必要となる設備(消火器や自動火災報知設備等)の設置状況等を確認するため、消防署での対面相談を行うことが一般的 です。

また、消防法令適合通知書交付申請書の受付は郵送、電子メール、代理人による持参も可能です。

STEP2設備検査・法令適合調査を受ける。

管轄する消防署が立入検査等を実施し、消防法令への適合状況を調査します。
※届出住宅が一般住宅扱いとなる場合は提出様式の簡略化、立入検査が省略される場合があります。

立入検査の所用時間は10~15分程度で、立入検査の日程の調整方法は申請者の希望をもとに調整しています。

STEP3消防法令適合通知書の交付

調査の結果に基づき、消防法令に適合していると認められる場合は 「消防法令適合通知書」が交付されます。

申請から交付までの期間は1~7日程度(立入検査において問題がなければ1~2日程度で交付され、改善事項がある場合もおおよそ7日以内に交付)です。

民泊の消防設備・特賞設置のご依頼は全国消防点検.com

今回は、民泊新法における消防設備についてご紹介しました!

ここ数年のインバウンド増加などによって民泊需要も増加しています。
民泊を考える方も増えたのではないでしょうか?

もちろん、民泊においても消防設備点検や点検報告は義務となっています!

全国消防点検.comでは消防設備点検を有識者の消防設備点検から行政への報告まで、国家資格を有するスタッフが責任を持って実施・代行しています。
有識者の必要な消防設備点検は、全国消防点検.comまでお問い合わせください。

 

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