消防点検コラム

文化財を火事から守る!大注目のドレンチャー設備

沖縄県のシンボルでもある首里城の火災から、1年が経ちました。
正殿を含む3棟が全焼し、ニュースでも大きく取り上げられ、
まだ記憶に新しい方も多いかと思います。

今回は、文化財を守る「ドレンチャー」を紹介します。

【目次】

1. 首里城の火災で注目!「ドレンチャー」ってなに?
2. ドレンチャーの仕組みと設置基準

1. 首里城の火災で注目!「ドレンチャー」ってなに?

首里城の火災では、原因や火元の特定に時間がかかり、
防火対策や消防設備についてもニュースで大きく取り上げられました。

首里城ではスプリンクラーは設置されていなかったものの、
「ドレンチャー」という設備が設置されていました。

ドレンチャーとは、建物の周りに水を拭き上げて幕をはり、
飛んでくる火の粉等を防ぎ、近隣の火災からの建物への延焼を防いでくれる防火設備のこと。

このドレンチャーはお寺や神社など、文化財によく設置されており、
最近だと高野山のドレンチャーがテレビでも紹介されました。

テレビ番組でも取り上げられた高野山では、
定期的にドレンチャーの防火訓練・点検を行っており、
放水デモンストレーションも公開しています。

国でもドレンチャーの設置を推奨


文化庁は2019年の12月に、
「世界遺産・国宝等における防火対策5か年計画」を発表し、
2020年度から5年計画で国宝、重要文化財の防火対策を強化しています。

中でも重点整備内容として、以下の5項目があげられています。

(1)経年劣化で機能が低下したり不具合が生じたりしている防火設備の改修
(2)火災の早期覚知のための警報設備の充実
(3)スプリンクラー設備などの自動消火設備の整備による初期消火対策の徹底
(4)放水銃やドレンチャー設備などの整備による周辺からの延焼防止対策の充実
(5)1人でも操作ができる消火栓設備など管理体制に応じた消火活動を行うための防火設備の整備

(4)にドレンチャーの設置についても盛り込まれているんです。

文化庁の調査の結果、世界遺産の建物では約30%が火災報知設備すら未設置という事が発覚。
首里城の火災や、ノートルダム大聖堂の火災を受けて、
国としても文化財の保存のため、防火対策に取り組むこととなりました。

とくに文化財は観光客も多いため、
文化の保存と安全性確保の面から、
消防・防火面での整備が急務となっています。

2. ドレンチャーの仕組みと設置基準

ドレンチャーの仕組み

ドレンチャーは開放弁の操作、もしくは周囲の火災を監視する検知器と連動で作動します。

ポンプで水槽から水を汲み上げ、地中の配管を通って、
文化財を囲むドレンチャーヘッドから放水します。

ドレンチャーの設置、放水の仕方にもいくつかパターンがあり、
建物を取り囲む物以外にも、屋根等にノズルを設置して、
下に向けて放射するものも。

例えば茅葺屋根の建物等は、
屋根自体を守る必要があることと、
何よりも燃えやすいため、
屋根の上部分から下に向けて水を放射し、屋根を守ります。

前述した、高野山に設置されているのはよく見る水幕をはってくれるタイプで、
水の幕をつくることで、水滴により輻射熱を反射、吸収により低減し延焼を防止する方式です。

建物の構造や地形等にあわせて、設置場所、水の放射方向等を決めていきます。

どんなところに設置が必要?

ドレンチャーは歴史的文化財だけではなく、
各自治体の火災予防条例に従い、開放型の駐車場などに設置が必要です。

設置が必要かどうか不明な場合は、
全国消防点検.comまでご相談ください。

ドレンチャーも点検が必要


文化財はとくにその建物を保存すること自体が重要なので、
万が一火災が発生してしまった場合に適切な初期消火が出来るよう、
日頃からの点検・メンテナンスが必要になってきます。

ドレンチャーは防火設備に区分され、
2016年の法改正で、消防法、建築基準法でそれぞれ以下のように定められました。

消防法

消防法 第8条の2の2
第8条第1項の防火対象物のうち火災の予防上必要があるものとして政令で定めるものの管理について権原を有する者は、総務省令で定めるところにより、定期に、防火対象物における火災の予防に関する専門的知識を有する者で総務省令で定める資格を有するもの(次項、次条第1項及び第36条第3項において「防火対象物点検資格者」という。)に、当該防火対象物における防火管理上必要な業務、消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の設置及び維持その他火災の予防上必要な事項(次項、次条第1項及び第36条第3項において「点検対象事項」という。)がこの法律又はこの法律に基づく命令に規定する事項に関し総務省令で定める基準(次項、次条第1項及び第36条第3項において「点検基準」という。)に適合しているかどうかを点検させ、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。ただし、第17条の3の3の規定による点検及び報告の対象となる事項については、この限りでない。

消防法では上記の通り、防火対象物点検資格者による定期的な点検と、
その結果の報告が義務付けられています。

建築基準法

建築基準法 第12条第3項
昇降機及び第六条第一項第一号に掲げる建築物その他第一項の政令で定める建築物の昇降機以外の建築設備(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物に設けるものを除く。)で特定行政庁が指定するものの所有者は、当該建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者に検査(当該建築設備についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。

屋根・外壁等、外に接している部分や屋内の防火設備、避難設備を3年ごとに点検する「建築物の点検」。
換気、非常証明、排煙、給排水を1年以内ごとに点検する「建築設備の点検」の2つから成ります。

ドレンチャーの点検は建築物の点検に含まれ、
きちんと作動するか、破損箇所がないかなどを点検します。

点検後は、建築基準法では特定行政庁(市町村もしくは県)、
消防法では管轄する消防長又は消防署長への報告が必要です。

点検頻度や報告先もエリアによって異なるため、
全国消防点検.comまでお問い合わせください。

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