消防点検コラム

消防法

2020.11.04

これで納得!防火区画の定義と必要な施工

防火区画とは?その必要性について

建築基準法では、一定条件に当てはまるオフィスビルに対して防火区画を設置することが義務付けられています。

務付けられています。

ビルでひとたび火災が起きればあっという間に延焼する可能性があり大きな被害が出る可能性も。

階下で火災が発生しても階上にいる人たちは気づきにくく、気が付いた時には行き場を失いパニックになり多くの人命が失われるかもしれません。

そこで防火区画を耐火構造や準耐火構造の床、壁、防火設備などで一定区画で設定することが建築基準法施行令第112条で規定されており、防火区画を設置する際に、貫通するダクトや管がある場合、貫通部分の周囲は不燃材料で埋める必要があります。

防火性の高い建材で床や壁をつくることで延焼を防ぎ、火災を封じ込めて人的・物質的被害を最小限に抑えるという発想です。

防火区画を設けるべき建築物

燃える家

準耐火建築物物(法第2条第九号の三)と耐火建築物(法第2条第九号の二)は防火区画を設けなければなりません。

耐火建築物とは…主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根、階段)が耐火構造であり、火災が鎮火するまで構造物が倒壊、延焼しない構造
準耐火建築物とは…主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根、階段)が準耐火構造であり、火災による延焼を抑制する構造

また木造住宅でも準耐火建築物の基準を満たした建造物もあり、このような建物には防火区画を設けることが法律で定められています。

ただし防火区画をつくる建物には条件があるため、すべての耐火建物・準耐火建物が防火区画を設置する必要はありません。
ではその条件についてチェックしてみましょう!

防火区画の種類について

防火区画の種類には以下の4つがあります。

面積区画は建築基準法施行令第112条の第1項〜第4項、高層区画は第5項〜8項、
竪穴区画は第9項、異種用途区画は第12項〜第13項において、それぞれ定められています。

これら条件に合致する場合は防火区画を設置しなければなりません。

面積区画

面積区画とは、一定以上の床面積を持つ建物に設けられる防火区画です。
建物の規模により防火区域をつくる基準が細かく決められています。

延べ面積が500㎡を超えるビルのうち避難時間が短い建物準耐火建築物となっているものは500㎡ごとの面積区画が必要ですし、
延べ面積が1500㎡を超えるビルは1時間準耐火基準に適合する壁と床を使用し、さらに特定防火設備(防火扉など)を設置することなど細かい規定があります。

高層階区画

はしご車が届かない高層階では、消火・救助活動が困難になるため、10階以下よりも区画面積がより厳しく設定されます。
耐火建築物・準耐火建築物のどちらであっても「11階以上の階層」に対しては高層階区画の面積区画規定が適用されます。

この規定は原則100㎡以内ごとに防火区画を設置しなければなりません。

ただし不燃材料・準不燃材料を用いた区画には緩和措置があります。

竪穴区画

竪穴区画は、「主要構造部が準耐火構造で、地階又は 3 階以上に居室のある建築物」に適用されます。

階段やエレベーターのシャフト、吹き抜けは煙や炎が上の階に登りやすく延焼しやすくなります。
そのため3層以上の竪穴には、竪穴区画を設置する必要があります。

竪穴部分に防火性をもたせることで安全に避難できます。

異種用途区画

異種用途区画は複数の用途に使われる建物で必要な防火区画です。

同じビルが事務所や飲食店、工場などさまざまな用途で使われる場合は、空間相互を防火上有効な壁・床・開口部で区画しなければなりません。

防火区画の施工に関して

壁の仕様はコンクリートやLGS+石膏ボード

耐火性のある素材と言えばコンクリートですが、重みがある上に移動が困難、しかも施工費が高いことからLGS(ライト・ゲージ・スティール)石膏ボードを埋め込む仕様が多く採用されています。

比較的安価で壁の移動もしやすいためです。

扉は国土交通大臣が定めた構造方法のもの

扉

耐火性をもつ扉は鉄筋コンクリート製や土蔵造のもの、枠を鉄材又は鋼材で造り網入りガラスを使ったものなど多くあります。

ただしこれら扉を防火区画に使うためには国土交通大臣が定めた構造方法に準じたもの、
または国土交通大臣の認定を個別に受けたものでなければなりません。

外壁は準耐火構造

防火区分のための外壁にも基準があり、外壁の厚み90cmを準耐火構造にしなければなりません。

90cm以上はかなりの厚みで、これだけの厚みがあれば火災の回り込みによる延焼を防ぐことができます。

もし、外壁部分に開口部を設けたい場合は開口部に防火設備を設けるなどの規定があるので注意が必要です。

面積区画・高層区画・竪穴区画と接する外壁はスパンドレルと呼ばれる準耐火構造を持った外壁にしなければならない場合があります。スパンドレルとは、建築物の内部からではなく、外部からの回り込みによる延焼を防止するための規定です。

天井は耐火・準耐火構造

建築物の11階以上の部分に関して天井の仕様は耐火構造でなければなりません。

それ以外の場所については「耐火・1時間準耐火」「耐火・45分準耐火」などの規定があります。

それぞれの規定にあった建材を選んで施工しないと違法となります。

床は耐火・準耐火構造

天井と同じく、建築物11回以上の部分に関しての床は耐火性を施工、それ以外の箇所については耐火、1時間準耐火などの基準があります。

防火シャッター

防火シャッター

通常のシャッターとは違い、防火シャッターは厚みがあり熱にも耐える頑丈なものです。

エスカレーターやエレベーター、階段など空間のある場所は炎や煙が回りやすいため、それらを防ぐために防火シャッターが設置されています。
熱を感知すると自動的に降下しますが、シャッターの重みで降りてくるため途中で止めることができず、無理にくぐろうとすると大惨事に。

防火シャッターが閉まることで防火区域が完成します。

石膏ボードの厚さ

石膏ボードが火災に耐えられる時間は厚みと関係があります。

・厚さ12.5mmのボード1枚の耐火時間は15分
・厚さ12.5mmのボード4枚の耐火時間は1時間

1時間の耐火時間が必要な壁の場合、12.5mmの石膏ボードを4枚使用することで基準を満たすことができます。

防火区画の貫通処理

防火区間は一定時間延焼を防ぐために壁、天井、扉などが耐火性の素材を使っています。

ところが防火区間に配管を通している場合、そこから延焼する可能性があります。

そのため防火区域の配管は耐火仕切板(ケイカル板)工法や耐火ブロック充填工法など、特殊な延焼防止の貫通処置を講じなければなりません。
専門的な知識・技能が必要なので専門業者による施工が必要です。

防火区画の貫通処理や施工に関するご相談は全国消防点検.comへ

防火区域の貫通処理は、専門知識と技能が必要です。

また施工方法も100以上あるため、現場の状況や予算により最適な工法をマッチングさせなければなりません。

防火区間の貫通処理の施工をお考えの方はぜひ全国消防点検.comへご連絡ください。
全国へ広がるネットワークにより迅速な工法選定、見積作成、施工をおこないます。

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