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消防点検コラム

ハロゲン化物消火設備とは?設置基準や特徴などを解説します!

皆さんはハロゲン化物消火設備というのを見たことはありますか?

ハロゲン化物消火設備とは火災などが起きたときに消化器のようにノズルから小k材を噴射することによって消火できる設備のことです。

ハロゲン化物消火設備は環境汚染の問題から現在廃止されている設備ですが、一定の条件を満たすことで設置できるのが大きなポイントです。

ハロゲン化物消火設備で使用される消火剤にはさまざまな特徴があるので、今回の記事を通して一定の条件を満たせるなら是非とも設置を検討してみてはいかがでしょうか。

それでは、ハロゲン化物消火設備とは何か、設置基準や消火剤の特徴についてご説明しましょう。


【目次】

1. ハロゲン化物消火設備とは?
2. ハロゲン化物消火設備は現在廃止されているの?
3. ハロゲン化物消火設備の設置基準
4. 代表的なハロゲン化物消火設備のハロン1301の特徴
5. ハロゲン化物消火設備は定期的に点検しなければならない
6. まとめ

1. ハロゲン化物消火設備とは?

ハロゲン化物消火設備とは、噴射ヘッドかノズルハロゲン化物消火剤を噴射することによって、消火剤に含まれるハロゲン元素が有している燃焼反応の抑制作用と冷却作用によって効率良く消化するための設備です。

ハロゲン化物消火設備が設置されている場所では、万が一火災などが起きるようなことがあったとしてもすぐに消火作業を行うことができるでしょう。

そもそもハロゲン化物って何?

そもそもハロゲン元素とはどんなものなのか気になる人も多いのではないでしょうか。

ハロゲン元素とはフッ素や塩素、臭素などをはじめとするハロゲン系列の元素を含んでいる化合物で、ハロゲン化物消火設備を用いて噴射することで冷却作用や燃焼作用の抑制を図ることができます。

ハロゲン元素は主にハロン1301やHFC-227eaといったハロゲン化物が使用されています。

ハロゲン化物消火設備を構成している機器

ハロゲン化物消火設備を構成している機器は、以下の通りです。

・消火薬剤貯蔵容器(薬剤ボンベ)
・起動用ガス容器(起動ボンベ)
・容器弁開放装置
・連結管
・選択弁(放出系統が複数ある場合)
・消火設備制御盤
・非常電源・配線(蓄電池設備が多い)
・安全装置(安全弁など)
・噴射ヘッド
・音響警報装置(サイレンや音声警報)
・手動起動装置
・放出表示灯
・配管(継手を含む)
・ダンパー及びシャッター(開口部閉鎖装置)
・避圧口
・火災感知器(放出を自動で行う方式のみ)

主に以上の機器で構成されており、非常時に備えて使用できるようにしておく必要性があるでしょう。

2. ハロゲン化物消火設備は現在廃止されているの?


現在、ハロゲン化物消火設備は廃止されています。

何故なら、ハロン1301をはじめとするハロゲン化物がオゾン層を破壊するという非常に厄介な性質を持っているからです。このことから現在製造が中止されていますが、ハロン1301のみは消火剤としての能力が非常に高く、人体への毒性も少ないことから現在でも使用されています。

また、ハロン1301はオゾン層破壊物質ということで消防環境ネットワークというハロンガスの管理団体によって管理されているのがポイントです。したがって、ハロン1301を使用したいときは、一定の条件を満たしたうえでハロゲン化物消火設備を新設する必要性があります。

HFC-227eaは全域放出方式しか使用できないといった制限があるものの、オゾン層に悪影響を与えないハロンガスとして開発されました。

他にもFK-5-1-12をはじめとするハロンガスが使用できるため、利便性が高い消火剤が役立っていると言えるでしょう。

3. ハロゲン化物消火設備の設置基準

ハロゲン化物消火設備を新設するには一定の設置基準を満たさなければならない他、クリティカルユース、つまり必要不可欠な場面で使用するものかどうかが重要です。

クリティカルユースの条件を満たすことによって、ハロゲン化物消火設備の新設、増設、ハロンガスの補充ができます。

満たすべきハロゲン化物消火設備の設置基準は、以下の通りです。

・人命安全
・消火剤の適正
・二次被害の防止
・早期復旧の必要性
・設計上・経済上の負担

それでは、ハロゲン化物消火設備の設置基準についてご説明しましょう。

人命安全

ハロゲン化物消火設備を設置する上で、人命安全は絶対です。

特に不特定の人の出入りがある場合や、特定の人が常時いる状態や頻繁に出入りする場合は人命安全のための用件を満たしています。

少なくとも1日2時間程度以上は出入りしている場合は、人命安全の要件をクリアしていると言えるでしょう。

消火剤の適正

ハロゲン化物消火設備は基本的に水や泡を使用する消火設備ではなく、電気が原因で発生した火災に対して効力を発揮します。

したがって、電気絶縁性や散水障害などがある場合は水系の消火設備が適さないため、これでは消火剤の適正における要件を満たすことができません。

また、設置部分の面積、体積、用途、特に危険物や指定可燃物、火気設備等がある場合は消火剤の適正を満たす要件につながるので要チェックです。

簡単に言えば、電気による火災が発生しやすい場所は消火剤の適性をクリアしやすいでしょう。

二次被害の防止

二次被害とは、水や粉末などで消火することによって、水損、汚損、圧力上昇、冷却などによる破損が該当します。

また、消火活動によって薬品や放射線物質などが周囲に散布されることによる汚染の拡大も二次被害に該当します。

ハロゲン化物消火設備を設置するには、消火活動によって周囲に大きな被害が及ぶ場所かどうかが重要です。

重要文化財や美術品がある場所で火災が発生する可能性がある場合も、ハロゲン化物消火設備が役立つでしょう。

早期復旧の必要性

公共施設、重要インフラ施設など、火災が発生した場合にすぐに消火して早期復旧を行う必要性がある場所であれば必要要件を満たす可能性が高いです。

消火活動に時間がかかるほど多くの人に迷惑がかかり、それによる被害総額も上がり続けてしまいます。

素早く消火を行うためにも、ハロゲン化物消火設備が必要になるでしょう。

設計上・経済上の負担

建物などの設計上、または経済的な負担が大きすぎるといった理由でハロゲン化物消火設備以外の消火設備が設置できない場合は必要要件を満たせる可能性が高いです。

設計上・経済上の負担として挙げられるのは、たとえば施設規模等から水槽等を設けるのにかなりの負担がかかったり、施設構造等から避圧口、避圧ダクト等を設けることが設計上非常に難しい状況だったりすることです。

また、同じ施設内の他の部分にハロゲン化物消火設備を設置する(している)部分がある場合、他の消火設備を別に設置させる際の費用が過剰な負担になる場合も該当します。

4. 代表的なハロゲン化物消火設備のハロン1301の特徴

代表的なハロゲン化物消火設備のハロン1301の特徴は、以下の通りです。

・ガスが安定している
・消火能力に優れている
・どんな隙間でも浸透する
・消火した後の清掃が必要ない
・絶縁性に優れている
・半永久的な保存ができる
・寒冷地でも使える

それでは、代表的なハロゲン化物消火設備のハロン1301の特徴についてご説明しましょう。

ガスが安定している

ハロゲン化物消火設備で使用されるハロン1301は化学的に安定したガスなので、油を使用している機器や金属類、電気絶縁体が使用されている場所で使用しても化学変化を起こしません。

化学変化によって毒性があるものの変化する可能性があるため、そういった心配をしなくていいのがポイントです。

消火能力に優れている

ハロン1301は消化能力に非常に優れているため、少ない薬剤量で消火できます。

薬剤量が多いと消火剤を吸い込みやすくなるため、人体に何らかの影響を及ぼす可能性があります。少ない薬剤量で消化できるのは、自分の安全のためでもあるのがポイントです。

どんな隙間でも浸透する

ハロン1301はどんな隙間にも入り込んで浸透していくため、立体的な対象物の消火活動を行う場合でも内部までしっかりと浸透します。

消火した後の清掃が必要ない

ハロン1301は対象物を汚損させないため、消火した後の清掃を行う必要性がありません。
消火後はすぐに機器が使用できるため、早期復旧が実現します。

絶縁性に優れている

ハロン1301が電気による火災に適しているのは、電気の絶縁性に優れているからです。
したがって、電気による火災はハロン1301を使用するのが最適解の一つだと言えるでしょう。

半永久的な保存ができる

ハロン1301は化学的に安定しているため、超時間が経っても変質しません。
したがって、半永久的に保存できるのがポイントです。

寒冷地でも使える

ハロン1301は寒冷地でも使用できるのがポイントです。
寒冷地で火災が起きると気温が低いので消火活動に手間取ることがありますが、ハロン1301であれば問題なく消火活動ができます。

5. ハロゲン化物消火設備は定期的に点検しなければならない

ハロゲン化物消火設備は他の消火設備と同じように、消防法によって定期的に適切な点検を行うことが義務付けられています。

ハロゲン化物消火設備を設置した管理者やオーナーは、半年に1回の機器点検、1年に1回の総合点検を行い、その結果を消防超過消防署長に必ず報告することになっています。

万が一点検を怠り、本当に火災が起きたときにハロゲン化物消火設備を使用しようとしても不具合が起きて消火活動ができないのでは意味がありません。

命に関わる事件を引き起こさないように必ず定期的な点検が必要です。

特にハロゲン化物消火設備の容器弁は消火剤を放置する最も重要な部分の一つで、経年劣化によって腐食します。したがって、緊急時に消火剤が放出されない事態を防ぐために、容器弁の安全性という機器点検も必ず行わなければなりません。

ただ、素人ではどうやって点検すればいいのか分からないので、プロの人に点検してもらうのがおすすめです。

6. まとめ

ハロゲン化物消火設備で使用されるハロン1301は非常に消化能力に優れており、生産されていない今現在でも電気火災が起きたときに使用される消火剤として重宝されています。

ハロゲン化物消火設備を設置するときはさまざまな要件を満たさなければならず、必ず半年や1年に1回は点検を行わなければならないので注意しましょう。

 

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