消防点検コラム

民泊の工事について知っておくべきことを解説

これから民泊ビジネスを始めようと考えている人のなかには「民泊施設の工事が必要」や「リフォーム工事しなければいけない」といった人もいるでしょう。

民泊を利用する人が快適に過ごしたり、集客に役立つような部屋作りにしたりと目的は様々ですが、なかには「消防用設備の設置工事」が必要になるため、住宅宿泊事業法(民泊新法)などと合わせて知っておく必要がこともあります。

そこでこの記事では、民泊運営に関するアドバイス経験が多い消防点検のプロが「民泊の工事」について、その種類や費用などを交えて、初心者にもわかりやすく解説します。

民泊の工事とは

民泊の工事とは、民泊として使用する一戸建て住宅やマンションといった建物における工事全般を指しています。

主には「リフォーム工事」が中心ですが、空き家をリノベーションする工事や宿泊施設の増設、そして民泊を始めるにあたって必要になる消防用設備の設置工事などが含まれます。

民泊において、とりわけ多いとされている工事は「リフォーム工事」です。その目的は様々ですが、特区民泊などではあえて簡易宿所として外国人に純和風的な生活環境を提供することや、外国人に馴染み深い洋式の部屋に変える、さらには競合となる民泊との差別化を図るために魅力的な部屋作りの一環として工事するケースなどがあります。

このような民泊の工事は、いわば「家主の意思」に依存する工事と言えるでしょう。対照的に、家主の意思ではなく「法律で義務化されている工事」があることも知っておく必要があります。

忘れてはならない工事の種類が「消防用設備の設置工事」です。対象となる民泊施設の大きさや、家主の在宅状況などの条件によって変わるものの、消火器や誘導灯、さらには住宅用火災警報器といった消防用設備を設置する工事が必要になるケースもあります。

消防用設備に関連する工事は、法律の基準を満たすために欠かせない工事であることから、知らなかったということがないよう十分に注意しなければいけません。

従って、ひと言で民泊の工事と言っても、目的や規模、そして義務などの条件が異なることを覚えておきましょう。

民泊の工事の種類

民泊の工事は、主に以下3つがあります。

・空き家改修工事
・リフォーム工事
・消防用設備設置工事

それぞれの工事について解説します。

空き家改修工事

民泊の工事には「空き家改修工事」があります。空き家を民泊施設として貸し出しできるようにするための一連の工事であり、多くの場合において大掛かりな工事になるでしょう。

具体的には、屋根や外壁といった外回り、そして室内改修全般、さらには水道やガスといったインフラ周りの工事などが対象です。

民泊として利用する際の居住性や快適性を高めることを目的にした工事に思えますが、古い家屋の場合は、現行の建築基準法を満たす必要があるため、耐震補強工事が含まれるかもしれません。

空き家改修工事は、民泊の工事のなかで最も複雑な工事になりやすいため、コストや労力が大きくなると考えましょう。

リフォーム工事

「リフォーム工事」は民泊の工事で最も定番とされています。具体的には、トイレ、洗面所、キッチン、そしてお風呂といった、民泊施設において必ず設けなければいけない物の工事が中心です。

それぞれを新調したり、使い勝手を高めたり、トイレを和式から洋式に変更する、さらには施設を全面的にバリアフリー化するといった様々な工事が含まれます。

また、宿泊施設として良い印象を高めるために、壁紙を張り替えたり、床を変えたりして清潔感を強調するための工事などもあります。

民泊の工事においてリフォーム工事は義務とはならないものの、家主の意思として実施されることが多いようです。

消防用設備設置工事

民泊の工事には「消防用設備設置工事」も含まれます。具体的には、消火器や誘導灯、自動火災報知設備といった消防用設備を設置するための工事が該当します。

消防用設備の設置工事は、空き家改修工事やリフォーム工事と比較し「義務の対象」である点で大きく異なります。

すべての民泊施設が義務となる訳ではありませんが、家主が民泊施設に同居しない「家主不在型」の民泊施設であったり、宿泊居室の床面積が50平方メートルを超えたりする場合においては義務化の対象になりやすいため注意しなければいけません。

一戸建て住宅内の一部屋を民泊施設として貸し出すような場合は不要になることがほとんどですが、複数の部屋を貸し出す場合や、家主が同居しないケースなどでは火災警報器や誘導灯の設置工事が必要になるでしょう。

民泊の工事にかかる費用相場

民泊の工事にかかる費用相場は、工事の種類や規模によって大きく変わりますが、おおむね以下のような費用相場と考えてください。

空き家改修工事

空き家改修工事は、民泊の工事のなかで最も費用がかかる工事とされています。一戸建て住宅の場合は、500万円から2,000万円が相場とされ、工事の対象範囲や使用する素材などによって大きく変動します。

古い家屋の場合、耐震補強工事が必要になることもありますが、これにかかるコストは25万円から150万円が相場と言われています。

リフォーム工事

リフォーム工事の費用相場は、トイレは15万円から20万円、浴室は50万円から100万円、洗面所は10万円から25万円、そしてキッチンは50万円から100万円とされています。

これらのリフォーム工事は、工事の規模や使用する物(ブランドや機能)などによって大きく変わりますが、リフォーム会社によっては「水回り一式」の工事を提供していることもあるため、リフォーム工事はまとめて依頼するのがおすすめです。

消防用設備設置工事

消防用設備設置工事の費用相場は、設置する消防用設備によって異なります。最も多いとされる消火器の設置は1本あたり5,000円から15,000円、誘導灯は25,000円から50,000円が目安になるでしょう。

民泊施設のほとんどにおいて必要とされる「住宅用火災警報器」は、自分で購入して設置できるようなタイプが主流であることから、3,000円程度の実費だけで済むことがほとんどです。

一戸建て住宅を使った民泊の場合、大掛かりな消防用設備の設置工事は必要ないかもしれませんが、設置場所や設置個数といった消防法令の基準を満たす必要があるため、専門家に依頼することが望ましいでしょう。

民泊の工事で活用したい補助金や助成金制度

民泊の工事は、家主にとって費用負担が大きくなるため、将来的に回収できる目途がない場合や、資本金がないと着手できないこともあります。

そんな時に、知っておくと役に立つのが「補助金や助成金制度」です。以下のような制度を活用できるかもしれませんので、知識として知っておいてください。

・事業再構築補助金(成長枠)
・事業再構築補助金(物価高騰・回復再生応援枠)
・小規模事業者持続化補助金
・地方自治体による改修時補助金

それぞれ解説します。

事業再構築補助金(成長枠)

民泊の工事で活用したい補助金制度として「事業再構築補助金(成長枠)」があります。これは成長分野に向けた事業再構築に取り組む事業者を対象とした補助金で、従業員数に応じて100万円から7,000万円までの、設備投資関連の補助金がもらえます。

あくまでも「事業者」であることから、個人は対象外となりますが、法人格で物件を保有している場合は活用できるかもしれません。

参考:事業再構築補助金、事業再構築補助金事務局

事業再構築補助金(物価高騰・回復再生応援枠)

「事業再構築補助金(物価高騰・回復再生応援枠)」も民泊の工事で活用できる補助金です。前述した事業再構築補助金の別枠で、原油高騰や物価高の影響を受けている中小企業向けの内容になっています。

こちらも「事業者」が対象ですが、従業員数に応じて100万円から3,000万円の補助金がもらえ、建物費や機械設置、さらには専門家の経費などに活用できます。

参考:事業再構築補助金リーフレット、事業再構築補助金事務局

小規模事業者持続化補助金

民泊の工事で活用できる補助金として「小規模事業者持続化補助金」もあります。これは、宿泊業などの小規模事業者を対象にした補助金で、通常枠として50万円を機械装置の設置や委託、外注費などに利用可能です。

参考:小規模事業者持続化補助金、商工会議所地区

地方自治体による改修時補助金

「地方自治体による改修時補助金」も、民泊の工事で活用できる可能性があることを覚えておきましょう。

これは、各自治体によって毎年のように変わる補助金制度全般を指しています。空き家改修工事や、民泊運営のための改修工事などが対象になるかもしれません。

民泊を始める際は、前もって行政組織に相談し、利用できる補助金制度があるかどうかを尋ねる価値は十分にあるでしょう。

消防用設備の設置が必要か否かを判断するポイント

民泊の工事は、家主の意思で実施する空き家改修工事やリフォーム工事の他、消防法令で規定されていることから義務となる消防用設備の設置工事があります。

消防用設備の設置工事が必要になるかどうかは、以下2つのポイントを参考にしてください。

・人を宿泊させる間、住宅に家主が不在となるか
・宿泊部屋の床面積の合計が50平方メートルを超えるか

上記2つのポイントは「火災危険性」を判定するための基準です。例えば、家主が同居する場合でなおかつ50平方メートル以下の場合は、一般住宅と同じ扱いを受けるため、消防用設備の設置は必要ありません。

一方、民泊施設に家主が不在となる場合は、床面積に関係なく、旅館やホテルといった宿泊施設と同じ判定になるため、自動火災報知設備(特定小規模施設用自動火災報知設備)や誘導灯、さらには防炎物品の使用が義務となるため、設置工事が必要になる可能性があります。

これらの判定については、所轄の消防署や保健所、または自治体によって条件が異なることもあるため、少なくとも消防署と行政機関に相談する必要があります。

まとめ

民泊の工事は、リフォーム工事が主なものですが、法律で規定されている消防用設備の設置工事なども含まれます。

消防用設備の設置基準は、個々の環境によって変わるため、自己判断せずに行政機関や消防署の見解を聞くようにしましょう。

消防用設備の設置工事が必要な場合は、消防点検のプロに相談するようにしてください。

 

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