消防点検コラム

消防点検

2023.08.29

消防点検報告書は誰がどこに提出するの?

「消防点検の報告書は誰が提出するの?」や「消防点検の報告書は提出する必要があるの?」といった疑問を持ったことがある人は多いのではないでしょうか。

消防点検は、一定の条件を満たす防火対象物に義務付けられている制度で、年に2回の点検だけでなく、1年また3年に1回の頻度で報告もしなければいけません。

消防点検のことは知っていても、報告書のことまでは知らないという人がほとんどでしょう。そこでこの記事では「消防点検の結果報告書を提出する」ことについて、消防点検のプロが初心者にもわかりやすく解説します。

消防点検報告書とは

消防点検報告書は、対象となる防火対象物における消防点検の結果をまとめ、管轄の消防署等へ文面で提出するための書類一式のことです。

消防点検報告書は以下4つで構成されています。

・消防用設備等(特殊消防用設備等)点検結果報告書
・消防用設備等(特殊消防用設備等)点検結果総括表
・消防用設備等(特殊消防用設備等)点検者一覧表
・各消防用設備等の点検票

それぞれ詳しく解説します。

消防用設備等(特殊消防用設備等)点検結果報告書

消防点検報告書のなかで最も基本的な書類と言えるのが「消防用設備等(特殊消防用設備等)点検結果報告書」です。

この書類は、点検対象となる防火対象物の所在地や用途、規模、そして点検を実施した消防用設備等の種類などをまとめて報告するために使用します。

消防点検報告書の表紙のようなものと考えると良いかもしれません。

参考:消防用設備等(特殊消防用設備等)点検結果報告書の記入例、東京消防庁

消防用設備等(特殊消防用設備等)点検結果総括表

次に必要となる書類が「消防用設備等(特殊消防用設備等)点検結果総括表」です。この書類は、対象となる防火対象物において、どの消防用設備が良好または不良であったか、さらには不良の内容やそれに対する措置の内容をまとめて報告するために使用します。

例えば、当該ビル3階の自動火災報知設備の感知器のひとつが作動しなかった「作動不良」に対し、即日交換措置を実施し、正常に作動することを確認したといった旨を簡明にまとめて記入しなければいけません。

参考:消防用設備等(特殊消防用設備等)点検結果総括表の記入例、東京消防庁

消防用設備等(特殊消防用設備等)点検者一覧表

「消防用設備等(特殊消防用設備等)点検者一覧表」も消防点検報告書のひとつです。この書類は、点検を実施した者の氏名と消防設備士資格の交付番号などを記入し、提出するためのものです。

分かりやすく言えば、点検を実施した者が本当に有資格者であるかを確認するための書類と言えるでしょう。(無資格者が実施した場合は省略可)

この書類は、点検を実施した本人が記入すべきものですので、依頼者が目にすることはないかもしれません。

参考:消防用設備等(特殊消防用設備等)点検者一覧表の記入例、東京消防庁

設備の点検票

消防点検報告書では「設備の点検票」も提出します。この書類は、消火器や自動火災報知設備、スプリンクラー設備といった、点検対象となる設備の詳細な点検項目が記されており、各項目の点検結果や不具合の内容等を記入するものです。

なお、各消防用設備の点検票を提出する場合は「消防用設備等(特殊消防用設備等)点検結果総括表」の提出を省略することが許されています。

参考:消火器具点検票自動火災報知設備点検票スプリンクラー設備点検票

消防点検報告書を提出する場合

消防点検報告書を提出する際、最も基本となる提出者(届出者)や提出先、そして提出方法なども合わせて知っておきましょう。

提出者

消防点検報告書を提出する者は、対象となる防火対象物に設置されている消防用設備等の維持管理権限を有する者であり、具体的には以下に該当する人が提出者になります。

・所有者(所有権を有する者)
・管理者(管理権を有する者)
・占有者(占有している者)

提出先

消防点検報告書を提出する先は、対象となる防火対象物がある管轄の消防署または出張所です。

提出方法

消防点検報告書を提出する際は、窓口、郵送、電子申請の3通りがあります。(一部電子申請未対応のケース有)

東京消防庁は電子申請に対応していますが、その他の地域は郵送による申請を推奨していることが多いため、提出には時間も手間もかかると考えましょう。

提出(報告)頻度

消防点検は年に2回の頻度で実施しなければいけませんが、報告(消防点検報告書の提出)は1年に1回または3年に1回と決められています。

消防点検の対象となる防火対象物が、不特定多数の人が多く集まりやすい特定防火対象物の場合は「1年に1回」、非特定防火対象物の場合は「3年に1回」の頻度で報告することになります。

言い換えれば、火災発生時に甚大な被害が予想されるような建物の場合は、そうでない建物と比較して、頻繁に報告しなければいけないと言えます。

報告頻度で気を付けなければならない点として、管轄の消防署への報告が1年に1回または3年に1回であるのに対し、消防点検の実施は年に2回ということがあります。

消防点検の実施頻度と報告頻度が異なることに注意しましょう。

消防点検報告書を提出するまでの流れ

消防点検報告書を提供するまでの流れは、おおむね以下の通りです。

1.点検依頼
2.点検
3.点検報告書の作成
4.提出

消防点検は、その対象となる防火対象物において、6ヶ月に1回の機器点検、そして1年に1回の総合点検が義務付けられています。

防火対象物の管理者は、消防点検の実施を業者に「依頼」することから始まります。そして「点検」が終了した後、業者が「点検報告書の作成」し「提出」という流れを辿ることが一般的です。

消防用設備等の点検・報告とは

消防点検は機器点検と総合点検の2つがあり、年に2回(機器点検は6ヶ月に1回、総合点検は年に1回)実施します。

消防点検の種類や内容、頻度など、あらかじめ知っておきたいことについて解説します。

機器点検

消防点検のひとつが「機器点検」です。機器点検は点検対象となる防火対象物において、6ヶ月に1回以上の頻度で実施せねばならず、消火器や火災報知設備の設置状況などを点検する、比較的簡易的な点検です。

具体的な点検内容は、主に以下のようなことが含まれます。

・消火器等の消防用設備の外観点検(破損の有無や設置基準を満たすかなど)
・消防用設備の簡易操作による作動点検
・非常用電源や動力消防ポンプの作動点検

機器点検は、主に破損状況や設置有無といった基本的なことを外観点検や簡易操作によって実施することが特徴と言えるでしょう。

総合点検

「総合点検」は年に1回以上の頻度で実施しなければいけない消防点検です。基本的には、すべての消防用設備を作動させて、正常に作動するかや、不具合がないかを確認します。

総合点検では主に以下のような内容を点検することになります。

・自動火災報知設備の感知器の感度試験
・避難器具の作動
・非常ベルの作動
・屋内消火栓設備や屋外消火栓の作動

総合点検は機器点検と比較すると大掛かりな点検と言えます。

有資格者による消防点検報告が必要なケース

消防点検は原則として消防設備士や消防設備点検資格者が実施しなければいけません。とりわけ、以下3つの要件に該当する場合は、有資格者による点検が必須となります。

・延べ面積1,000平方メートル以上の特定防火対象物
・延べ面積1,000平方メートル以上の非特定防火対象物で、消防長または消防署長が指定したもの
・屋内階段(避難経路)が1つのみの特定防火対象物

特定防火対象物とは、不特定多数の人が出入りする用途の建物のことを指しており、具体例としては、劇場、映画館、飲食店、百貨店、ホテル、病院、そして地下街などが該当します。

非特定防火対象物は、決まった人しか出入りしない用途の建物のことで、特定防火対象物以外の建物を指しており、具体的には、共同住宅、学校、図書館、神社などが挙げられます。

消防法では、特定防火対象物に対しては厳しい要件が適用されることがほとんどで、不特定多数の人が多く集まるような建物は、必然的に消防用設備の設置基準や点検義務などが厳しくなります。

消防点検報告書の提出は無資格者でも出来るのか

消防点検報告書の提出は無資格者でもできます。しかし、専門的な知識や技術などを要求される一連の消防点検において、点検や不具合の改修、さらには報告書の作成などを無資格者がこなすことは事実上不可能と言えます。

また、意図的であるかどうかを問わず、事実とは異なる報告がなされていることが発覚した場合には罰則があるため、無資格者が点検および報告することは望ましくありません。

このような事情から、消防法施行令において「確実な点検を行うために消防設備士又は消防設備点検資格者に行わせることが望ましい」とされています。

消防点検の実施や報告書の提出は、罰則を受けないためにも、有資格者である消防点検のプロに任せることをおすすめします。

まとめ

消防点検報告書の提出は、1年に1回または3年に1回の頻度でやってきます。防火対象物の規模や用途によっては、無資格者でも対応できると言われているものの、専門的な知識や経験が問われ、なおかつ結果的に虚偽報告になった場合は罰則対象になるため、無資格者による対応は事実上無理と言わざるを得ません。

年に2回の消防点検(機器点検や総合点検)や、これに伴う報告書の作成および提出は消防点検のプロに依頼するようにしましょう。

 

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