消防点検コラム

消火栓

2023.06.26

屋内消火栓の放水圧力について徹底解説

「屋内消火栓の放水圧力ってどれくらい?」や「屋内消火栓には既定の放水圧力があるの?」と思ったことはありませんか?

屋内消火栓は、火災発生時の初期消火に威力を発する消防用設備のひとつですが、消防法によって設置基準だけでなく、その性能までも規定が存在します。

屋内消火栓の性能に関しては、主に水量が注目されがちですが、実は「放水圧力」にも規定があり、対象となる防火対象物に設置されている物すべてが、定期的な放水試験をクリアしなければいけません。

そんな「屋内消火栓の放水圧力」について、具体的な規定値をはじめ、放水試験の内容などについて、消防点検のプロが分かりやすく解説します。

屋内消火栓の種類

屋内消火栓の放水圧力を理解するにあたり、複数ある屋内消火栓の種類を知っておく必要があります。

屋内消火栓は、主に以下4種類です。

・1号消火栓
・易操作性1号消火栓
・2号消火栓
・広範囲型2号消火栓

それぞれ詳しく解説します。

1号消火栓

屋内消火栓の代表的なひとつが「1号消火栓」です。1号消火栓は複数ある屋内消火栓のなかで最も消火性能が高いことが特徴です。

1号消火栓の放水圧力は「0.17MPa~0.7MPa(メガパスカル)」、ノズル放水量は「毎分130リットル」と規定されています。

消火性能が高い一方で、使用する際には放水係と消火栓開閉係といったように2名以上の複数人で操作する必要があります。

また、初心者が緊急事態下でも容易に使用できるとは言えず、日頃から訓練を積んだ者にしか操作できない消火栓と言えます。

易操作性1号消火栓

1号消火栓の欠点である操作性を改善したものが「易操作性1号消火栓(いそうさせいいちごうしょうかせん)」です。

易操作性1号消火栓の放水圧力は「0.17MPa~0.7MPa」、ノズル放水量は「毎分130リットル」で、1号消火栓と同じ規定になっています。

易操作性1号消火栓は、1号消火栓を使いやすくした物と言え、女性ひとりでも操作できる程に簡易化されています。

それを象徴する部分が「保形ホース」です。1号消火栓は折りたたみ式の平型ホースであるのに対し、易操作性1号消火栓は洗濯機の排水ホースのように筒状のため、伸展しやすい特徴があります。

このことから、1号消火栓と易操作性1号消火栓の違いは「操作性のみ」と言えるでしょう。

2号消火栓

2号消火栓は、1号消火栓の放水圧力や放水量を低め、ひとりでも操作しやすいようにしたものです。

2号消火栓の放水圧力は「0.25MPa~0.7MPa」、放水量は「毎分60リットル」と規定されています。

ホースの形状は「保形ホース」のため取り回しが容易ですが、1号消火栓と比較すると消火性能が劣るため、設置基準が厳しくなります。(1号消火栓は水平距離25メートルに1つに対し、2号消火栓は水平距離15メートルに1つ)

広範囲型2号消火栓

広範囲型2号消火栓は2号消火栓の消火性能を向上させたものと考えるとよいでしょう。ひとりでも操作できるため、操作性は同じです。

広範囲型2号消火栓の放水圧力は「0.17MPa~0.7MPa」、放水量は「毎分80リットル」であり、2号消火栓よりも消火性能が高いと言えます。

消火性能が高い理由が「アスピレートノズル」と呼ばれるノズルが使われていることです。このノズルであれば、少量の水で高圧放水が可能になります。

屋内消火栓設備の性能一覧

屋内消火栓設備の性能を一覧表にまとめると以下のようになります。

1号消火栓易操作性1号消火栓2号消火栓広範囲型2号消火栓
放水圧力0.17MPa~0.7MPa0.17MPa~0.7MPa0.25MPa~0.7MPa0.17MPa~0.7MPa
放水量毎分130リットル以上毎分130リットル以上毎分60リットル以上毎分80リットル以上
操作性2人1人1人1人
警戒半径25メートル25メートル15メートル25メートル
ノズル棒状放水射程指定なし7メートル以上10メートル以上7メートル以上
ホース呼称40A30A保形ホース25A保形ホース25A保形ホース

このように、屋内消火栓には4つの種類があり、放水圧力は2号消火栓を除いて「0.17MPa~0.7MPa」ということが分かると思います。

屋内消火栓の設置基準

屋内消火栓の設置基準は原則として「建物の延べ面積」と「建物の耐火構造」に決まります。主な設置基準は以下の通りです。

劇場、映画館、演芸場、講堂など人が多く集まる場所:

・木造建築は延面積500平方メートル以上
・準耐火性建築は延面積1,000平方メートル以上
・耐火性建築では延面積1,500平方メートル以上

料理店、ホテル、共同住宅など:

・木造建築は延面積700平方メートル以上
・準耐火性建築は延面積1,400平方メートル以上
・耐火性建築では延面積2,100平方メートル以上

仮に、上記の防火対象物が「地階、無窓階、4階以上」のいずれかに該当する場合は、以下のように設置基準が厳しくなります。

劇場、映画館、演芸場、講堂など人が多く集まる場所(地階、無窓階、4階以上):

・木造建築は延面積100平方メートル以上
・準耐火性建築は延面積200平方メートル以上
・耐火性建築では延面積300平方メートル以上

料理店、ホテル、共同住宅など(地階、無窓階、4階以上):

・木造建築は延面積150平方メートル以上
・準耐火性建築は延面積300平方メートル以上
・耐火性建築では延面積450平方メートル以上

参考:屋内消火栓設備設置基準(抜粋)

屋内消火栓の放水圧力試験

屋内消火栓は、規定されている放水圧力および放水量が満たされているかどうかを、6ヶ月に1回または1年に1回の消防点検の際に試験する必要があります。(基本は1年1回の総合点検時)

屋内消火栓設備の試験については、消防法施行令第11条第3項第1号ニで、以下のような規定が設けられています。

“屋内消火栓設備は、いずれの階においても、当該階のすべての屋内消火栓(設置個数が二を超えるときは、二個の屋内消火栓とする。)を同時に使用した場合に、それぞれのノズルの先端において、放水圧力が〇・一七メガパスカル以上で、かつ、放水量が百三十リットル毎分以上の性能のものとすること。”

これを要約すると「ひとつの階に2つ以上屋内消火栓が設置されている場合は、2つを同時に使用し、いずれも規定圧力および水量を満たす必要がある」となります。

また、総務省管轄の消防庁は、屋内消火栓の放水試験の試験方法について、以下のように示しています。

“放水圧力が最も低くなると予想される箇所で、規定個数の屋内消火栓を同時に使用した場合及び放水圧力が最も高くなると予想される箇所の消火栓1個を使用した場合のそれぞれのノズルの先端における放水圧力及び放水量を測定する”

消防法および消防庁の試験方法に関する規定を踏まえると「ひとつの階において(屋内消火栓が2つ以上ある場合は)屋内消火栓を2つ同時に放水して、ノズルの圧力および水量を試験する」ということが分かります。

ちなみに、実際に放水圧力を計測する際には「ピトーゲージ(放水圧力計測装置)」と呼ばれる水圧を計測する器具をノズル先端(ホース口径1/2の距離)にあてるようにして計測します。

引用:消防法施行令第11条第3項第1号ニ

引用:第2屋内消火栓設備

屋内消火栓の放水圧力減圧措置

屋内消火栓の放水圧力試験では、規定値を下回っても、上回ってもいけません。放水圧力が規定値を下回る場合は、ポンプの吐水能力が不足していることや、ポンプと繋がっている配管内の詰まりなどが原因として考えられますが、規定値を上回る場合は必要に応じて「減圧措置」を用いることもあります。

減圧措置については「ノズルの先端における放水圧力が0.7MPaを超えないための措置を講じてあること」と規定されており、バルブとホースの間に減圧機構付の金具「オリフィス板」を取り付けることで対処します。

屋内消火栓の放水圧力は「規定値より高すぎても(0.7MPa以上)、低すぎても(0.17MPa以下)ダメ」ということを覚えておきましょう。

危険物施設における屋内消火栓の放水圧力試験

屋内消火栓の放水試験は「防火対象物での試験」と「危険物施設での試験」で規定が異なることを知っておいてもよいかもしれません。

危険物施設とは、指定数量以上の危険物を製造、貯蔵、または取り扱う建物のことで、用途ごとに「危険物製造所」、「危険物貯蔵所」、そして「危険物取扱所」の3つに区分されています。

当然ながら、これらの危険物施設に対しても屋内消火栓を含む消防用設備等を設置しなければいけませんが、その設置基準や求められる性能は一般的な防火対象物よりも厳しくなります。

例えば、危険物の規制に関する規則第32条によると、屋内消火栓の放水圧力は「0.35MPa以上」そして放水量は「毎分260リットル以上」と規定されています。

また、防火対象物における放水試験では、同時放水は2つですが(2つ以上ある場合)、危険物施設の場合は5つとなります。

つまり、同じ屋内消火栓であっても危険物施設の場合は、高い消火性能が必要とされるという訳です。

厳しい要件設定は屋内消火栓の他に屋外消火栓にも適用されます。参考までに、危険物施設における屋内消火栓および屋外消火栓の放水圧力と水量は以下の通りです。

放水圧力放水量同時放水の数
危険物施設の屋内消火栓0.35MPa以上毎分260リットル以上5
危険物施設の屋外消火栓0.35MPa以上毎分450リットル以上4

まとめ

屋内消火栓の放水圧力は、いずれの種類においても0.17MPa~0.7MPaということが分かったと思います。

もし、対象の建物が危険物施設の場合は要件が厳しくなり0.35MPa以上となることを知っておきましょう。

屋内消火栓は大掛かりな設備であることや、求められる性能に細かな規定がありますので、点検や整備、新規設置については消防点検のプロに相談するようにしてください。

 

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