消防点検コラム

非常放送設備に重要なスピーカーと配線方法とは?

非常放送設備は、大型の建物で火災が発生した際に迅速に状況を伝えたり避難を促したりするために設置されています。
二次災害を防ぐためにも重要な設備ですが、一般的にこの放送設備は、通常の館内放送なども兼用しているんです。
また放送内容を伝えるために、館内には各部屋にスピーカーも設置されています。
このスピーカーには、アッテネーターと呼ばれる音量調整用のツマミが設置されていることもあり、スピーカーのある場所の状況に応じて音量を上げ下げすることが可能です。
しかし、非常時にはアッテネーターで音量を0に絞られていても放送を届ける必要があります。
配線方法を間違えてしまうと非常放送が正常に音声が届きません。
今回は放送設備の概要から配線方法について紹介します。

非常放送設備とは?

非常放送設備とは、スピーカーを利用して建物内の人々に情報を伝えるための設備です。
消防法で規定されている防火対象物への設置が義務付けられています。
業務モードと非常放送モードの2種類があり、業務モードで日常的なアナウンスを行い、非常放送モードで地震放送や避難誘導などのアナウンスを行います。
非常放送モードでは、アッテネーターで音量を0にしていても強制的に音声が流れます。
しかし、アッテネーターを使用する場合は、配線方式が3線式である必要があります。

設置基準

非常放送設備には、起動装置、表示等、スピーカー、増幅器等、電源(配線含む)が含まれます。
それぞれに設置基準がありますが、今回はスピーカーと配線関係の設置基準を紹介します。
スピーカーの設置基準には、「10m基準」と「性能基準」の2パターンがあり、どちらかの基準に準拠していれば問題ありません。
しかし、1つの放送区域において、2つの基準を併用して設計することはできないので、注意が必要です。
10m基準
・放送区域のどの聴取場所においても、スピーカーまでの距離が10m以内
・階段等は、垂直距離15mにつきL級スピーカーを1個以上設けること
放送区域とは2以上の階に渡らず、床や壁、遮音性能がある扉で区画された区域のことです。
性能基準
・残響時間が3秒未満の放送区域ごとに、床面からの高さが1mの任意の場所において、75dB以上の音圧を確保すること。
・残響時間が3秒以上の放送区域では、床面からの高さが1mの箇所からスピーカーまでの距離は、臨界距離(直接音と反射音の強さが等しくなる距離)の3倍以内であること。

また、スピーカーの性能に応じて等級が定められ、区域によって適用できるスピーカーにも制限があります。
等級は以下のとおりです。
L級:音圧92dB/1m以上・警戒範囲:100㎡以上
M級:音圧87dB/1m以上・警戒範囲:50㎡以上100㎡以下
S級:音圧84dB/1m以上・警戒範囲:50㎡以下
非常放送設備に使用できるスピーカーは消防認定を受けているものを使用する必要があり、認定されているスピーカーには、耐熱性と80℃の空気中で30分間以上なく鳴動できる性能があります。

同様にして、非常用放送設備は以下の基準にしたがって配線を行わなければなりません。
・絶縁性能は0.1MΩ以上が必要
・同一の電線管に他の電線を収容しないこと
・音量調整器(アッテネーター)を設置する場合は3線式配線にすること
つまり、各部屋で音量の調整ができるアッテネーターを設置する場合には、3線式配線に組み替えた上で設置をする必要があります。
・スピーカーの配線は系統別で単独にしなければいけない
・増幅器からスピーカー又は操作部から遠隔操作器までの配線は耐熱性がある電線とする
設置基準は、緊急時に的確に情報を伝達するために規定されています。
非常事態に際した際にどのように機能するかを念頭においた上で、設置計画を立てる必要があります。

非常用自家発電機とは

スピーカーは館内に情報を伝えるための重要な設備であり、大きい建物には必ず設置されています。
そのため、場所に応じた適切な種類のスピーカーを設置する必要があります。
今回は代表的な4つの種類をご紹介します。

天井埋込み型

その名の通り、天井に埋め込まれているタイプのものです。
比較的小さく、丸い形状が特徴的で、建物の美観を損ねずに自然に設置することができます。

埋込み型

天井タイプと異なるのは、壁に設置されている点です。
埋込みタイプのため、天井埋込み型と同様に、建物の見た目を損なわずに設置できるのが特徴です。
ホテルなどの小さな居室や銀行・病院などの受付用スピーカーとしても使用できる優れものです。

壁掛形

壁から直接飛び出したような外観をしているのが壁掛形です。
学校の教室などで見かけた事があるのではないでしょうか。
メーカーによってはスピーカーコンセント方式という接続が簡単な方式のものも発売されています。
近年では薄型でスリムな形状のものも発売されています。

ホーン型

主に屋外に設置するタイプのスピーカーです。
拡声器のような見た目をしており、大音量で遠くまで情報を伝えるのに適しています。
区や町などの地域単位で情報を広く伝えられるため、緊急津波警報や地震警報などを伝える防災無線にも使用されています。

 

配線関係の注意事項

非常放送設備は上記の通り、業務放送も兼用しています。
そのため、アッテネーターにより音量を制限されていることもしばしばあります。
非常事態のときに情報が各所に伝わらなければ意味がありません。
そのため、アッテネーターを使用する場合は配線方式を3線式にしなければいけません。
3線式配線にすることで、非常放送が直通となるような1本が確保されるため、アッテネーターで音量が0になっていたとしても最大音量で非常放送を鳴らすことが可能になります。
以上のような、緊急回線用の配線が確保できない、2線式の配線を採用している施設ではアッテネーターを設置することはできません。
その代わりに、カットリレーという機能を使用して、業務放送や流れている音楽をシャットダウンして非常放送を聞き取りやすくすることができます。

保守点検

非常放送設備は消防法により、定期的な点検と報告が義務付けられています。
点検ができるのは、
・消防設備士甲種第4類
・消防設備士乙種第4類
・消防設備士乙種第7類
・第2種消防設備点検資格者
のいずれかの資格を持つ人のみです。
また、外観や機能面での点検は機器点検として6ヶ月に一度、全体的な動作や配線などに関連した総合点検は年に1度するように定められています。
スピーカーの点検項目は以下のとおりです。
・外形を目視により損傷等が無いか確認すること
・取り付け状況は目視により脱落や音響効果を妨げるものがないこと
・音圧などは、実際に操作し、他の機械音などと区別ができるかどうか
・鳴動については、実際の操作を行い、鳴動方式に合わせた鳴動の仕方をするかどうか確認をします。
・音量調整機の点検は、非常放送状態で、非常放送が有効に行われているかどうか確認すること。
アッテネーターを0にした状態でも非常放送が聞こえなかった場合、もしくはアッテネーターで非常放送の音量が上げ下げできる場合は、結線間違いの可能性があります。
R線の断線も視野に入れ、配線状態を確認しましょう。

まとめ

火災時に避難や現状を伝えるために重要なのが非常放送設備です。
一般的に業務放送と兼用されている場合も多く、その場合は3線式の配線にする必要があります。
また、火災により放送設備の配線やスピーカーが溶けてしまったり機能しなくなってしまったりすると、避難の遅れや混乱などを生み出し、二次災害に発展しかねません。
設置基準をクリアした耐熱性のあるものを使用して、利用者の安全をより確保できるようにしておきましょう。

 

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