消防点検コラム

訓練用消火器の使い方と注意点

普段生活していて、火災に遭遇することは稀でしょう。

しかし意外と火災は身近にあるものです。

平成30年の出火件数を調べてみると実に1日に104件の火災が発生していました。

特に冬場は乾燥したり、暖房器具を使用する頻度が上がったりする関係で総出火件数の半分を占めています。

その中でも、建物火災は全体の54.7%。

火災に遭遇した場合は迅速な避難と消火が重要です。

今回は万が一火災に遭遇してしまった際に役立つ、消火器の取り扱い方が学べる訓練用消火器についての解説です。

あなたの迅速な消火活動が命を助けるかもしれません。

使い方や種類などを学んで、有事に備えておきましょう。

訓練用消火器とは

訓練用消火器とはその名の通り、実際の消火器を使用して使い方を学べる消火器のことです。

消火薬剤の代わりに水と空気を入れることで消火器と同様の状態で使用することができます。

本物との違いも少なく、実際の使用シーンをイメージしながら使うことができます。

近くの消防局などで貸出しをしている場合もあり、会社の消防訓練や地域のイベントなどで体験することができます。

消火器は取り扱いが簡単で、容易に持ち運ぶことも可能です。

消火器の使用方法をしっかりと学んでおくことで初期消火活動を有効に行えます。

初期消火で火災を食い止められることは、被害が最小限に抑えられていることを意味します。

 

実践的な訓練用消火器の使い方

訓練用の消火器は本物と同じ構造なので使用方法も全く同じです。

初期消火のために迅速に使用することを意識して作られているので操作も簡単です。

以下の3ステップですぐに消火活動に当たれます。

1.黄色い安全栓を引き抜く

2.ホース先端とレバーを握りながらゆっくりと火元に近づく

3.火元に近づきながら放射

消火活動を行う際は炎に対してではなく、燃えているものに対して放射するようにしましょう。

火の勢いが弱まってきたら、火元に近づきつつ、確実に消火活動をして完了です。

訓練用消火器は内容量にもよりますが、30秒程度使用が可能です。

ですが本物の消火器は10〜15秒程度で中身の薬剤がなくなってしまいます。

訓練用消火器で放射できていた時間よりも、短い時間しか使えないかもしれませんが焦らずに行動してください。

想定よりもすぐ放射終了するものと思いながら、消火活動をし、それでも鎮火しない場合は

速やかに避難しましょう。

通常の消火器との違い

実際に使用するための訓練用消火器なので実際の火災現場で使用する消火器と使用方法や構造などは全く同じです。

重さもほぼ一緒なので、訓練時に持ってみてどれくらいの重さなのか、自分には取り回しが可能なのかなどを実際の火災を想定しながら試してみてください。

唯一、通常の消火器と異なるのは噴射物。

本来の消火器には消化用薬剤が入っており、使用した後、再利用しようとすると有資格者による充填作業が必要になります。

そのためコストや手間がかかるので、訓練のために繰り返し使うのは現実的ではありません。

訓練用消火器は噴射物を水や空気で代用しています。

商品によっては水を注水するだけでいいものもあり、空気を入れて圧力をあげる必要がないものもあります。

訓練用水消火器の耐用年数

訓練用消火器にも耐用年数があります。

商品によって違いはありますが、大体5年程度で交換するのが目安です。

耐用年数はとても長いとは言いづらく、その割に訓練にのみ使用できるものなので限定的です。

後述しますが、訓練用消火器は近くの消防局などでレンタルできる可能性もあります。

どうしても手元に置いておきたいという場合以外はレンタルするのがおすすめです。

訓練用消火器のセッティング方法

消火器は一度使用しても、中身を充填すれば再度使用することができます。

本来の消火器だと充填するには有資格者による充填作業が必要ですが、訓練用の消火器は誰でもOK。

訓練が終了し、中身が減ったら、注水してから規定の圧力値まで加圧するだけ。

商品によっては水を入れるだけで再度放水訓練が行えるお手軽なものもあります。

 

注水後に加圧も必要なタイプは、コンプレッサーなどの高圧の空気入れを使用する必要があり、手動で圧力をかけきるのは困難です。

基本は空気入れやコンプレッサーを使用して圧力値を上げていきます。

まずはサイドにある穴から水を、あふれるまで注水。

その後、ネジ止めをして空気穴から空気を充填します。

加圧が必要なタイプには持ち手の根元部分に圧力計がありますので圧力ゲージが緑色になるまで加圧できればOKです。

圧力が入りきったらレバー部分の中にあるピンを立ち上げて、黄色いピンを差し込みなおしてセッティング完了です。

『マンション内の避難訓練で訓練用消火器を使用したい』といった小規模な場合は、実際の使用感を理解するためにとりあえず放射体験だけするということも多いです。

そのため既定値に満たずとも、ある程度まで圧力をかけておいて放射訓練を行うといったことも可能です。

訓練用消火器を用いた訓練の方法

実際に訓練用消火器を使用した訓練の進め方について解説します。

広範囲に水を散布するようなものなので、訓練場所は水がかかっても問題のない、広い屋外を選びましょう。

的から5メートル離した場所に消火器を設置して訓練を開始します。

仮想の消火対象である的に向かってゆっくりと近づきながら放水を開始します。

消火器は取り扱いが簡単ですが、内容量や人によっては重く、持ち運びが困難な場合もあります。

そんなときは無理して持ち上げずに、置いたまま、レバーを体重を乗せるようにして押して放水してください。

また、放水時には、必ずホースの先端を持ち狙いがブレないように注意しましょう。

消火器の放水圧力も決して低くはないので、鎮火できないだけでなく、ケガなどをするおそれもあります。

訓練が終了したら、ノズルを側面部の元々あった場所に戻し、レバー支えを垂直に戻します。

垂直に戻したら、安全栓を差し込み、完了です。

 

消火器が対応できる火災について

火災にも大きく分けて3つの種類があり、消火器も火災の種類に適応したものを選択して使用する必要があります。ここでは念のため火災にはどのような種類があるのかご紹介します。

通常、消火器の側面に〇〇火災用というような表記がありますので落ち着いて対応している消火器かどうか判断してください。

普通火災

木材や紙、衣類などが原因で萌えているもの。

油火災

灯油や石油といった油類が燃えることで起きる火災のこと。

電気火災

通電中の電気設備等が燃える火災のこと。

消火器で対応できる初期消火の範囲

消火器は初期消火活動時に対応しているものであるとお伝えしました。

ですが「初期消火」とは一体どの状態までのことを言うのでしょうか。

目安は炎が天井にまで達しているかどうかです。

腰高の10型消火器と呼ばれるものでも炎が天井に達してしまうと消火は困難を極めます。

初期消火で抑えることも重要ですが、時には潔く引いて避難することも重要です。

ちなみに、消火器で対応できないレベルまで発展した火災の消火活動にはより大型で壁に埋め込まれていたりする、屋内消火栓設備などが有効です。

 

訓練用消火器のレンタル方法

消火器の取り扱いは初期消火にとって非常に大事ですが、使い方をよく知らない方も多いのではないでしょうか。

そのためにも訓練用消火器を使用して使い方を学び、存在を身近に感じておくことが重要ですが、いったいどのようにして訓練用消火器を使うのでしょうか。

訓練用消火器は購入することも可能ですが、消防局などで貸出を行っているケースもあります。

使用したい場合はまず近隣の消防局に問い合わせてみてください。

区域内の事業所や団体に向けて貸出しを行ってる場合があります。

会社の消防訓練や学校での防災教育などに合わせて消火器の練習も検討してみてはいかがでしょうか。

訓練用消火器だけでなく、的の貸出までやっているケースもありますよ。

 

また、事業所によっては訓練用消火器の貸出だけでなく、実際に消防職員が出向いて本物の消火器の取り扱い方法の説明などもしてくれる場合もあります。

スケジュールの都合で実現しない場合もあるでしょうが、プロからお話を聞くことができる貴重な機会ですので興味がある方は一度相談してみてはいかがでしょうか。

 

消防局以外にも、消防機材などを販売している会社や消防点検を行っている会社がレンタルサービスを運営している場合もあります。

消防局に問い合わせても在庫がなかったり、タイミングが合わなかったりした場合は相談してみましょう。

会社によっては、消防設備点検を担当してもらっている場合は無料で借りられることもあります。

購入方法

訓練用消火器は非常時には使えず、訓練時にスポット的に使用するものです。

そのため、『レンタルできるならそっちのほうがいい』という方もいらっしゃると思います。

どうしても購入したいという場合はネットで『訓練用消火器 購入方法』などで調べると出てくるサイトなどで購入してください。

会社に必要な備品や現場用品などを広く取り扱う通販サイト『モノタロウ』でも取り扱いがあり、1つから気軽に購入が可能です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。火災が発生したときに、初期状態で鎮火することができれば被害を最小限に留めることができます。

そんなときに有効なのが建物内の至る所に設置されている消火器です。

消火器は初期消火を目的として設置されているもので、使用者は消防隊員ではなく、施設の利用者、その場にいた人たち用です。

そのためしっかりと使い方を理解しておく必要があります。

『でも本物は気軽に使えない…』『本番で急に使うのは怖い…』

大丈夫です。そんな人のために訓練用消火器があります。

訓練用消火器の取り扱いに慣れておいて、有事の際にしっかりと動けるようにしておきましょう。

本来は火事にならないように気をつけるのがベストなんですけどね。

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