消防点検コラム

消防用設備

2022.10.11

避難ハッチの改修方法や流れについて解説

避難設備には、避難はしごや救助袋など、さまざまなものがあります。マンションなどのベランダに設置され、緊急時に階下へ避難するために使用する消防用設備の「避難ハッチ」を一度は見たことがあると思います。しかし、建物の経年劣化とともに避難ハッチも老朽化している場合もあります。

そこで今回は、避難ハッチの仕組みや設置基準、避難ハッチの改修・流れについて解説します。

【目次】

1. 避難ハッチとは?
2. 避難器具用ハッチの認定基準について
3. 避難ハッチの設置基準
4. 避難ハッチ交換の流れ
5. その他の避難器具の種類

1. 避難ハッチとは?

避難ハッチは、マンションなどのベランダまたは共用廊下に設置されている消防用設備の避難器具の一種です。

消防法施行規則第 27 条第 3 号ハ(イ)、同条第 8 号ハ等に定める取付け具に相当するものとなっています。正式名称は「避難器具用ハッチ」です。 

一般的には、本体、上ぶた、下ぶた、取付金具、結合金具等で構成されています。

本体の上縁の高さは、回り縁から1cm以上です。

避難ハッチを開けると、吊り下げはしごが広がり、階下や階上に移動することができます。

比較的新しい避難ハッチには、こどものいたずら等を防止するため、チャイルドロックが設けられています。

2. 避難器具用ハッチの認定基準について

避難ハッチの認定については、登録認定機関として一般社団法人全国避難設備工業会が総務省消防庁の委任を受けています。

避難器具用ハッチの認定基準は「避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目」(平成8年4月16日消防庁告示第2号)に基づく技術基準の他、工業会としての適合性を判断するための運用上の実施方針及び取り扱いに関する事項を定めています。

避難ハッチの構造

 (1) 本体、上ぶた、下ぶた、取付金具(フランジ構造)は機能に影響を与える損傷、変形、加工不良等がないこと。

 (2) ふたにあっては、蝶番、取付金具にあっては、ボルト、ナット等により本体と一体構造とし、振動等により、容易に、はずれない構造とする。

 (3) 上ぶた

ア 上ぶたの取手は操作に支障をきたさない位置で、かつ、平常時障害とならない位置に設けること。

イ 取手の部分は円滑に仕上げられていること。

ウ上ぶたと下ぶたが別々の操作で開放する構造にあっては、下ぶた開放の操作部分は避難に影響のない位置にあること。

エ 屋外に設置するものにあっては、下ぶたをもうけること。

(参考:一般社団法人・全国避難設備工場会「避難器具用ハッチ認定基準」)

​​​​https://www.fdma.go.jp/laws/kokuji/assets/h8_kokuzi2.pdf

避難ハッチの本体

本体の板厚は、1.2mm以上にする必要があり、取付金具を固定する部分については3mm以上にしなければなりません。

本体の上端は、床面から1cm以上の高さとします。

避難ハッチの用途

火災時に避難するために使用されています。通常、避難ハッチが設置されている建物には、避難経路が設定されています。

しかし、​​​​​​集合住宅で火災が発生した場合は、就寝中で通常の避難経路から脱出できない可能性もあるのです。

その火災状況により、逃げ遅れた人のために緊急の脱出経路を確保できるのが​​避難ハッチの役割となります。

したがって、火災発生時は通常の避難経路が優先され、緊急の場合に避難ハッチが利用されるということです。

避難ハッチの種類

避難ハッチの種類は、新築物件用と改修用に大きく分けられます。

・新築物件用避難ハッチ

材質は主にステンレス製で、組み込みのはしごについては一部、鉄製もあります。避難ハッチ用つり下げはしごは、自由に選ぶことできます。

開口部や避難ハッチ用つり下げはしごの寸法は、各メーカーにより異なります。

・改修用避難ハッチ

改修用避難ハッチは、既存の開口部のサイズに合わせたオーダー品による交換作業が必要です。開口部のサイズを現場で拡大や縮小が困難であるためです。

そのため、各メーカーでは、現場での採寸を重視し、標準サイズを設定していません。

避難ハッチ用つり下げはしごは、折りたたみ式とスライド式があります。

3. 避難ハッチの設置基準

避難ハッチの設置基準は、​​消防法施行令25条1項、1号から5号までの防火対象物に設置します。

防火対象物は、消防法施行令別表第1に分類されています。

*防火対象物とは、火災により被害が拡大する可能性のあるもので「山林、又は舟車、船きょ若しくはふ頭に繋留された船舶、建築物その他の工作物若しくはこれらに属するもの」です。

消防法上、特定防火対象物と非特定防火対象物の2つに分けられます。

避難ハッチは、用途、収容人員、建物の特性、入居する階によって設置を判断します。

収容人数

収容人数については、以下のとおりです。

①収容人員10人以上

一階段のみの防火対象物で3階以上の階、ただし(2)項キャバレー等、(3)項飲食店等は2階も対象(第5号)

 (5)項ホテル等、(6)項病院等の地階・2階以上の階で下階に(1)~(4)項、(9)項、(12)項イ、(13)項イ、(14)項、(15)項がある階(第1号、第2号)

収容人員20人以上

・(6)項病院・保育所等の地階・2階以上の階で、上記①以外のもの(第1号)

収容人員30人以上

 (5)項ホテル・共同住宅等の地階・2階以上の階で、上記①以外のもの(第2号)

 収容人員50人以上

・ (1)~(4)項、(7)~(11)項の地階・2階(耐火建築物の場合は3階)以上の階(第3号)

 収容人員100人以上

・ (12)項工場等、(15)項その他事務所等の地階・3階以上の無窓階(第4号)

収容人員150人以上

・ (12)項工場等、(15)項その他事務所等の3階以上の有窓階(第4号)

階数

階数については、以下のとおりです。

2階

3階

4階

5階

6~10階

避難階と11階以上の階は設置不要です。通常は1階が避難階となります。

避難ハッチの改修

古いマンションでは、避難ハッチの老朽化が進み、新しく交換しなければなりません。

しかし、避難ハッチの改修には「消防設備士甲種5類」の国家資格が必要です。

消防設備士甲種5類とは、避難設備に関する資格で、甲種は資格または実務経験をもっているなどの受験資格が必要です。

4. 避難ハッチ交換の流れ

・​​​​現場調査・採寸

まずは現場で設置されている避難ハッチのサイズを調査・採寸を行います。

一般的には、各メーカーの既製寸法品を使用しますが、サイズが特殊な場合は、オーダーになる場合もあります。

・部材の発注

現場に設置されている避難ハッチのサイズを確認できた場合は、サイズに合うものを発注します。

・取り付け工事

既存のハッチの上蓋、下蓋などを取り外し、カバー工法で行うことがほとんどです。

*カバー工法とは、既存の部材などの上から新しいもので覆い被せる方法です。

屋根や外壁で行われることが多いですが、避難ハッチでもカバー工法が主流となっています。

あらかじめ中枠をコンクリートスラブに埋め込んでいるためです。

まずは、既存の避難ハッチを撤去します。腐食が進んでいる場合もあり、慎重に作業を行いましょう。

撤去したあとは、開口部に新しい避難ハッチの枠を取り付けます。続いて、​​はしご本体を取り付け、異常がないか確認しましょう。

最後は、避難はしごの床面から 「0.5m以内」 になるように設置して完了です。

中枠には、さび止めを施し、改修用の避難ハッチを設置したあとは、防水処理としてコーキングを行います。

なお、コーキングする前には、ゴミやホコリがないか確認し、掃除をしてから行いましょう。

取り付け工事は、約2時間程度で完了します。

交換した避難ハッチはステンレス製のため、設置時同様の品質を維持します。

・届け出

改修工事の計画が確定した後は、消防設備士による届け出を行わなければなりません。

書類などの届け出先は、​​消防本部または消防署のある市町村は消防長または消防署長、消防本部のない市町村の場合は市町村長に届け出ます。

また、交換台数により着工届も必要になるケースもあります。

避難ハッチの耐用年数と交換時期、点検について

避難ハッチの法定耐用年数は8年です。

しかし、本体に腐食がある場合や建物竣工から時期がかなり経っている、枠の腐食で下階への水漏れが発生している場合は、早めの交換が必要になります。

一方、避難ハッチは、消防法第17条の3の3により、年2回の機器点検と年1回の総合点検が義務付けられています。

・機器点検

消防用設備の適正な配置、損傷の有無など、外観目視点検と簡易操作を中心に行う点検です。

点検の周期は半年に1回です。

・総合点検

消防設備を全部もしくは一部を実際に動かして、消防用設備の種類に応じて機能が正常であるかをチェックする点検です。

点検の周期は1年に1回です。

ただし、見知らぬ業者が消防用設備の点検に訪れる場合があります。このような業者は、法外な費用を請求したりするため、注意が必要です。

マンションでは、管理組合が点検業者に業務委託して点検を行っていることがほとんどです。

 消防設備点検の対象は避難器具だけではありません。自動火災報知設備、屋内消火栓やスプリンクラー、連結送水管などの設備も点検対象になります。

5. その他の避難器具の種類

避難器具は、消防法施行令25条2項により8種類が規定されています。

・避難はしご

標準的な避難器具で、固定はしご、立てかけはしご、つり下げはしご、ハッチ用つり下げはしごなどに分類されます。

・避難用タラップ

手すりと​​踏み板(蹴上は30cm以下、踏面は20cm以上と規定)を用いた階段状のものです。

・救助袋

垂直または斜めに展張し、袋本体の内部を滑り降りるものです。学校などに設置されています。

・緩降機

ロープ状の器具で、ベルトを脇の下で固定し自重により降下するものです。

・滑り台

直線式のものと螺旋(らせん)式があります。幼稚園、老人ホーム、病院などに設置され、避難の効率性が高いのが特徴です。

・滑り棒

遊具の登り棒に似た避難器具です。滑り降りる際にスピードが出やすく、注意が必要です。

・避難ロープ

ロープにつかまって降下するシンプルな避難器具です。結び目を点在させて滑り止め加工しています。

・避難橋

屋上または階の途中に設置し、他の建物へ移動するための橋状の避難器具です。

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