消防点検コラム

消防用設備

2022.10.07

スプリンクラーヘッドの種類とその選び方とは?

消防設備の中でも一般的に知られているのがスプリンクラーではないでしょうか。

ドラマや映画などで作動しているのを見たことがある人もいるかも知れません。

スプリンクラー装置は火災発生時初期に鎮火することもできる優れものです。

直接放水を行うことで早期の鎮火が望めますが、効果範囲や水に濡らしたくない物がある場合のスプリンクラーなどについてはご存知でしょうか。

今回はそんなスプリンクラーについて詳細に解説していきます。

そもそもスプリンクラーヘッドとは?

スプリンクラーヘッドとは火災発生時に放水を自動で行う消防設備です。

主に防火対象の上部や天井に取り付けられます。

映画などで緊急時、天井に設置されたスプリンクラーヘッドが放水を行っているのを見た人もいるのではないでしょうか。

そんなスプリンクラーヘッドですが、放水量が多いため火災を初期段階で食い止める効果が期待できるんです。

スプリンクラー本体から配管を通して水を放出する部分をスプリンクラーヘッドと呼び、放水の効果を最大限にするため排水管を天井裏に通してヘッドの取りつけをします。

 

スプリンクラーヘッドは火災発生時にヘッド周辺の温度が上昇することで感熱体が破壊されたり栓が外れます。

そうすると栓で止められていた加圧された水が放出される仕組みです。

こんなにある!スプリンクラーヘッドを全種類解説!

スプリンクラーヘッドには閉鎖型と開放型、放水型の3種類が存在しています。

火災による熱を感知する感熱体の有無や放水圧力の規定によって違いがあります。

それぞれ詳しくみていきましょう。

閉鎖型

閉鎖型スプリンクラーヘッドは平常時、水の出口が閉鎖されており一定の温度を感知すると感熱部が作動し出口が解放されるヘッドです。

感熱部は融点が低い物質で融着または組み立てられた「ヒュージブルリンク型」と、ガラス球の中にアルコール系の液体を封入し、熱で液体が急膨張することでガラスが破裂する「グラスバルブ型」が存在しています。

一般的に広く使用されている閉鎖型ですが、天井が高くなると熱が天井に届くまで時間がかかるため、閉鎖型ヘッドだと緊急時に間に合わない可能性があります。

そのため閉鎖型スプリンクラーヘッドには使用規定があり、天井の高さが10メートル以下、物販用途などは6メートル以下の場合のみ取り付けが可能です。

また、閉鎖式スプリンクラーには3つの種類があります。それぞれ使用される場所や建物によってふさわしい種類が異なります。

湿式

閉鎖型の中でも広く使用されているスプリンクラーです。

天井高が10メートル以下(物販用途等は6メートル以下)の部分に設置することができます。 

貯水・給水源から末端のスプリンクラーヘッドまでの配管内は常に充水・加圧されているため、感熱体が融解、もしくは破壊されるとすぐに放水されます。

熱を感知してから放水されるまでの時間が短いので初期消火機能が高いのが特徴です。

しかし水が常に供給されているため、寒冷地などの水が凍ってしまう可能性のある場合は向いていません。

乾式

乾式スプリンクラーはスプリンクラーヘッドに通じる配管の途中に弁があり、通常時は水がせき止められています。

弁のお陰で外気温の影響を受けにくいため、配管内の水が凍結しにくく、湿式スプリンクラーが使えない寒冷地にてよく用いられているスプリンクラーです。

湿式と同様に天井の高さが10m以下(物販用途等は6m以下)の部分にのみ使用可能です。

予作動式

予作動式スプリンクラーは感熱体の誤作動があった場合に、甚大な被害をもたらす可能性のある場所で使用されるスプリンクラーです。

病院や重要文化財がある施設がこれに該当します。

つまり電子機器や水に弱いものがたくさんある場所に適しているんです。

この設備はスプリンクラーヘッドとは別に防護対象に熱、煙などを感知する火災感知器を取り付けます。

この火災感知器が反応したあとにスプリンクラーヘッドの感熱体が作動した場合、ようやく放水が開始。

そのためスプリンクラーヘッドのみが誤作動を起こしても水が放出されない仕組みとなっています。

損害を防ぐのに有効ですが、湿式と同様に天井の高さが10m以下(物販用途等は6m以下)の部分にのみ使用可能です。

 

開放型

開放型スプリンクラーヘッドは感熱部がなく、出口が常時開放された構造のヘッドのことです。

 

感熱体がないため、火災報知器の作動と連動して放水弁が開いたり手動で放水弁を解放する仕組みとなっています。

そのため開放型スプリンクラーを設置する場合は、対象区域に煙や炎を感知する火災感知器を別途取り付けるか放水区域ごとに手動起動弁を設置します。

火災時に火災感知器が作動すると一斉開放弁が開き、放水ができます。

開放型ヘッドには放水圧力が0.1MPa以上であり、かつ放水量が80L/秒以上という規定があるので短時間に大量の放水ができるのがメリットです。

そのため多くの人を収容する施設や可燃性の高い物品を保管する建物などに使用されます。

放水型

放水型ヘッドは天井高が10メートルを超える建物(物販店舗等は6mを超える部分)に設置されるスプリンクラーヘッドです。

壁面や天井に設置された固定式ヘッドから放水する方式と、放水銃などのように放水範囲が変更できる可動式ヘッドを用いた方式があります。

区域ごとに火災感知器と放水型ヘッドを取り付け、両方が火災を感知したときに放水されます。

また手動でも設備を起動することが可能です。

 

閉鎖式スプリンクラーだけで◯種類!ふさわしいシーンとは?

閉鎖型は散水の状態により標準型と側壁型、小区画型に分類されます。
それぞれ上向きと下向きの両方を状況に応じて選択することができます。

 

標準型

標準型ヘッドとは加圧された水をヘッドの軸を中心として円状に均一に分散するヘッドのことです。

上向きに取り付けられているものをSSU、下向きに取り付けられているものをSSP等と略号にて表示されています。

0.1MPa から 1MPa の圧力範囲内で半径2.3メートル、2.6メートルの範囲に散水能力を有するものとなっています。

側壁型

側壁側ヘッドとは加圧された水をヘッドの軸を中心とした半円状に均一に分散するヘッドのことです。

側壁型のうち、上向きに取り付けられるものをSWU、下向きに取り付けられるものをSWP等と略されます。

0.1MPa から 1MPa の圧力範囲内で壁の前方に3.63メートル、壁の両側に1.9メートルの散水能力を有するものです。

小区画型

小区画型ヘッドとは加圧された水をヘッドの軸を中心とした円状に均一に分散し、天井下0.5メートルまでの壁面を濡らすヘッドです。

0.1MPa から 1MPa の圧力範囲内で半径 2.6メートルの範囲に平均採水量が 0.2L/min 以上、各採水ますの採水量が 0.02L/min 以上の散水能力を有するものです。

スプリンクラーヘッドは色分けされている?色の違いについて解説!

スプリンクラーヘッドは環境の熱に応じて反応します。

そのため周囲の温度に応じたヘッドを選ぶ必要があります。

たとえば料理店の厨房は居室の平均温度よりも高いはずですし、サウナ室の中は更に高温です。

そのためスプリンクラーヘッドは感熱温度によって色分けされており、パッと見ただけでどの温度で作動するものなのかが判別可能です。

色分けは以下の表のように対応しています。

感熱温度
60℃未満
60℃以上75℃未満なし
75℃以上121℃未満
121℃以上162℃未満
162℃以上200℃未満
200℃以上260℃未満
260℃以上

 

スプリンクラーヘッドの仕組み

スプリンクラーヘッドは火災に反応して散水をするシステムになっています。

それでは散水をする際に内側ではどうなっているのでしょうか。

一番馴染み深い、火災を検知して直接水を放出する、湿式の閉鎖型スプリンクラーヘッド(ヒュージブルリンク型)について簡単に解説します。

1.火災を感知するとスプリンクラーヘッド内部の感熱体が融け始める。

2.水をせき止めていた感熱体がなくなったので弁が降下。

3.水が放出。

3の段階で水の落ちる先にデフレクターという障害物のようなものにぶつかり均一に放水されます。

勝手に火を感知して自動で放水が行われるので、監視しておく必要もなく消火活動をひとりでに行ってくれます。

注意!スプリンクラーヘッドの設置には基準がある!?

スプリンクラーヘッドの設置基準は消防法によって厳密に定められています。

設置個数

閉鎖型スプリンクラーヘッドは設置するヘッドの個数と配管のサイズが決まっています。

標準型スプリンクラーヘッドの場合

ヘッドの個数2以下 3以下5以下10以下20以下21以上
配管口径(mm)25以上32以上40以上50以上65以上80以上

 

小区画型スプリンクラーヘッドの場合

ヘッドの個数3以下4以下8以下9以下
配管口径mm)25以上32以上40以上50以上

 

スプリンクラーヘッドの点検しなきゃいけない項目は?

スプリンクラーヘッドの設置は消防法によって細かく定められています。

今回はそんなスプリンクラーヘッドの点検項目について解説します。

 

外形

漏れ・変形・破損・腐食等がなく、他のものの支え・つり等に利用されていないか確認する。

感熱障害

ヘッド周辺に感熱を妨げるものがないか、ヘッドに塗装・異物の付着がないか、保護カバー付きのものは保護カバーに変形・破損・脱落等がないか確認する。

散水分布障害

ヘッドの周囲に散水分布を妨げる物品がないか、ヘッド保護カバー付きのものは保護カバーに変形・破損・脱落等がないか確認する。

未警戒部分

間仕切り・たれ壁・ダクト・棚等の変更・増設・新設等によりヘッドが設けられていない未警戒部分がないか確認する。

適応性

使用目的の変更によりヘッドの標示温度に影響を及ぼす室温の変更等がなく、設置場所に適応したヘッドが設けられているか確認する。

まとめ

スプリンクラーヘッドは馴染みのある消防設備ですが非常に種類が多く、使用場面によって最適な方式が変わってきます。

たとえば水が凍結する恐れのある寒冷地では湿式スプリンクラーではなく、乾式スプリンクラーを使用するべきですし、料理店の厨房で新しくスプリンクラーを設置するときに、黒色のヘッドを使用するのはふさわしくないかもしれません。

状況と法律に準じた適切なスプリンクラーヘッドの設置を行いましょう。

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