消防用設備
2020.12.15
防火ダンパーとは?設置基準や防火構造について
今回の記事では、一般にはあまり知られていない防火ダンパーの役割や設置基準のほか、
防火構造などについてくわしく解説していきます。
【目次】
1. 防火ダンパーとは?
2. 防火ダンパーの構造と役割
3. 防火ダンパーの設置価格
1. 防火ダンパーとは?
参照:防火ダンパーの仕組み【温度ヒューズ式】
https://timerun-b.com/magazine/post-3167
ダンパーとは空気の流れるダクトに取り付け、空気の流れを制御するために開閉させる羽根状や板状の扉のことです。
用途として、空調用ダンパーと防火ダンパーという2つの種類があります。
空調用ダンパーは室内の空気を最適な状態にするため、ダクト内を通過する空気を調節したり、制御したりするものです。
一方、防火ダンパーは煙から人命を守り、火災の延焼を防いで建物を守るためダクトの内側に設置されるもので、空調用ダンパーとは役割が異なります。
この防火ダンパーのおかげで、今日にいたるまで多くの命が救われてきたといっても過言ではありません。
ダンパーの種類には、以下のようにさまざまな種類があります。
防火ダンパー(ファイヤーダンパー、FD) | ダクト内の温度上昇により、ヒューズが溶断し、閉鎖するタイプ |
風量調整付防火ダンパー(ファイヤーボリュームダンパー、FVD) | 防火ダンパーに風量調節機能がついているタイプ |
防火ダンパーに風量調節機能がついているタイプ | 火災による煙感知器の発報に連動して閉鎖するダンパー。防火ダンパーの機能もあわせもつ |
煙感連動防火ダンパー(スモークファイヤーダンパー、SFD) | 火災による煙感知器の発報に連動して閉鎖するダンパー。防火ダンパーの機能もあわせもつ |
消火ガス圧連動ダンパー(ピストンレリーザーダンパー、PD) | 消火設備の放射と連動し、防火区画を形成するために用いられるピストン式のダンパー |
2. 防火ダンパーの構造と役割
防火ダンパーはどのような構造になっていて、まだどのような役割をはたしているものなのでしょうか。
防火ダンパーは各個ごとに溶融温度が調整された溶融ヒューズが取り付けられており、設定温度を超えた空気が通過するとヒューズが溶け、自動的にダンパーが下がることで、ダクト内を流れる炎や煙を遮断するというものです。
温度ヒューズには設定温度があり、一般的な排気ダクトでは72℃、厨房設備などの火気使用室では120℃に設定します。
何度も誤作動が起こってしまう時は、場合によって100℃で作動する低温式スポット型感知器と連動させる場合もあります。
温度ヒューズは埃や塵がたまりやすいダクト内にあるため、1年に1回の目安で汚れ具合を目視点検し、約5~7年を目安に交換したほうがよいでしょう。
塵や埃でダンパーが固着してしまうと、緊急時に正常な動作ができなくなる可能性があるからです。
防火ダンパーの設置基準
防火ダンパーの設置基準については、建築基準法によって定められていて、ダクトが建物の防火区画を貫通する場合に取り付けられます。
防火区画とは建築基準法に定められた区画のことで、火災時に火炎が急激に燃え広がり、区画外に火や煙がいかないようにするためのものです。
区画内はコンクリートの壁や石こうボードなどで覆われていますが、空調ダクトは防火区画が形成されている場合でも共有物であるため、区画外を行ったり来たりします。
そのためダクトにも防火区画処理をほどこす必要があり、防火ダンパーを設けることになっているのです。
閉鎖した場合には防火上支障のない遮煙性能を有するものであることという決まりがあります。
3. 防火ダンパーの設置価格
防火ダンパーを実際に取り付けることになれば、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。
建物の規模や取り付ける場所、個数、種類によって変わってくるので、一概にこの金額と言い切れるわけではありません。
建設物価調査会と建設物価調査会が出している風量調節ダンパー(取付費のみ)の単価構成条件(市場単価)によると、
・材料費(補助材、小墨出し、組立取付、場内小運搬、施工後の点検、雑作業、清掃後片付け、持ち込み材管理、発生材処理、作業用足場)
・雑費(機械損料、運搬費)
・諸経費
などさまざまな項目で見積もりは構成されています。
まず見積もりを取ってみたい、ダンパー設置の相場を知りたいということであれば国家資格を持ったスタッフがいる、信頼できそうな会社に見積もり依頼をしたほうがよいでしょう。
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防火ダンパーは建築基準法に定められた特定防火設備であり、法律によって常時適切な状態に維持するように努めなければならず、維持保全の義務のほか、定期的な検査結果の報告義務及び罰則が定められています。
万一火災が起きてしまった場合や人命にかかわる緊急時には、あわてることのないよう確実に作動するよう、設備の定期点検を行い、不具合・不良部分が見つかったときには早めに対処しましょう。
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