お役立ち情報
2023.11.30
民泊の許可ってどうやって取得するの?
自宅の一部を民泊として活用しようと考えている人や、これから民泊ビジネスを本格的に始めてみようとしている人は多いのではないでしょうか。
一方、気になる点は「民泊には許可がいるの?」や「どんな場合に民泊の許可を取ればいいの?」といった「民泊の許可」に関することだと思います。
そこでこの記事では、民泊などに対するアドバイス経験が豊富な消防点検のプロが「民泊の許可」について、これから民泊運営を始めようとしている人に向けて、分かりやすく解説します。
民泊とは
民泊の許可について理解するにあたり、そもそも民泊の意味や定義とは何なのかを正しく知る必要があります。
民泊とは、旅行者などが有償や無償を問わず「一般的な民家に宿泊すること」が本来の意味ですが、昨今では「宿泊用に提供される一般住宅やマンションなどに有償で宿泊すること、またはそれを運営する事業形態」と、人々の認識や定義が変わりつつあります。民泊は不特定多数の人が出入りすることになるので、火災リスクも高いです。民泊を始める際は、自治体や消防庁の基準を確認の上、遵守することを心がけましょう。
合法的な民泊として申請できる形態は大きく4つに分かれます。
①旅館業法の簡易宿所としての民泊
②国家戦略特区域法の特区民泊
③民泊新法(住宅宿泊事業法)による届出住宅の民泊
④イベント民泊
「旅館業法の簡易宿所」は管轄自治体による許可が必要ですが、「民泊新法」は届出の提出で民泊営業できます。
一般的な一戸建て住宅であっても家主が届け出ることで、住宅や部屋を宿泊場所として貸し出すことが可能になり、家主は宿泊費として利益を得られるようになった訳です。
民泊に関する3つの法律
ひと言で民泊と言っても、現行の法律においては3種類の民泊があります。具体的には「旅館業法の簡易宿所」と「国家戦略特区法の特区民泊」そして新しく施行された「住宅宿泊事業法の民泊」の3つです。
それぞれ法律が違いますが、細かな違いとしては、営業日数の上限、最低宿泊日数の制限、建物の用途、そして居室床面積などが挙げられます。
3つの民泊の種類はそれぞれ許認可の仕組みや申請手続き、さらには申請の難易度なども違います。
つまり、民泊運営を始めたいと考えている場合、宿泊施設となる建物のサイズや、事業規模などによって適用される法律が異なることを知っておく必要がある訳です。
民泊の種類
民泊の許可は以下3つの種類ごとに異なります。
・民泊新法(住宅宿泊事業法)
・簡易宿所(旅館業法)
・特区民泊(国家戦略特区法)
それぞれ解説します。
民泊新法(住宅宿泊事業法)
民泊の代表的な種類と言えるのが「民泊新法(住宅宿泊事業法)」です。住宅宿泊事業者として届け出れば、住宅を民泊施設として提供できるようになりました。旅館業法上、宿泊施設は営業形態により「旅館・ホテル営業」と「簡易宿所営業」に分けられます。
基本的には一戸建て住宅や共同住宅の住戸を使った民泊が該当し、年間180日までしか営業してはいけないことになっています。これはあくまでも国土交通省令、厚生労働省令によって定められた上限です。自治体によっては、180日よりも短くなることがあります。このような民泊運営の場合、許認可は「届出」という扱いです。具体的には、あらかじめ定められている必要書類を揃えて届け出ることで民泊運営が可能になります。
新法民泊では「届出」により形式的な審査を経て受理をされれば良いので、比較的早期に営業がスタートできます。
「許可」というよりも、必要書類の「届出」であることがポイントです。一方、必要書類は合計12種類あるため、手続きは決して簡単とは言えません。
その他にも、都市計画法上の用途地域や建築基準法、自治体の条例の問題で、そもそも旅館業法の許可が一切取れない場所があるので注意が必要です。
簡易宿所(旅館業法)
民泊の種類で広く知られているのが「簡易宿所(旅館業法)」です。これは、旅館業法に基づいて「許可」を得なければいけないパターンとなります。
例えば、一戸建て住宅などを使って、営業日数や最低宿泊日数の制限を受けることなく通年で民泊を運営したい場合は、旅館業法に基づいて、各都道府県から「許可」を得る必要があります。
前述した「届け出」ではなく「許可制」であることがポイントです。手続きが煩雑であることや、行政組織から許可が下りないといった可能性が起こりやすいため、民泊申請の中で最もハードルが高い許認可とされています。
一方、年間の営業日数や不在時の管理業者への委託業務などの制限を受けないことから、民泊事業として成り立ちやすく、民泊を始める際に「旅館業法の許可」を得るパターンが多いとされています。
特区民泊(国家戦略特区法)
民泊の種類には「特区民泊(国家戦略特区法)」もあります。これは、国が「世界で一番ビジネスのしやすい国際都市づくり」を目的にして、規制緩和や税制優遇措置が受けられる国家戦略特区として認めた地域での民泊を指しています。
民泊新法や旅館業法と比較して様々な要件が緩くなるのが特徴である一方、特区が限定されていることや、特区であっても自治体が条例を定めていないと対象にならないこともあるため、ごく一部の人向けと言えるでしょう。
許認可については、各都道府県の「認定」です。国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の認定を受けることで旅館業法の適用外となり、実質的な緩和を受けたうえで民泊を運営できる仕組みになっています。
3つの民泊の許認可の違い
3つの民泊において「許可」が必要になるのは、旅館業法が適用される民泊の場合です。一般住宅等を使い、年間180日未満の営業であれば民泊新法が適用されるため、許可ではなく「届出」で済みます。
また、特区民泊の場合は、行政機関が特区内での民泊運営である事実を確認することから「認定」と呼ばれます。
民泊を申請する際の難易度は、難しい順から「旅館業法の許可」次に「特区民泊の認定」そして「民泊新法の届出」と言えるでしょう。
わずかな言葉の違いではありますが「許可」「認定」そして「届出」の違いを理解することがポイントです。
旅館業法における簡易宿所許可取得までの流れ
民泊を始めるにあたり「許可」が必要になるのは旅館業法に基づく民泊運営の場合です。旅館業法の許可を取ると、年間の営業日数の制限がなくなったり、最低宿泊日数の制限がなくなったりと、民泊事業に関する様々なメリットが得られるため、収益化しやすくなります。
民泊運営で収益化しやすくなる反面、始める際の手続きや許可申請のハードルは高くなることを理解し、旅館業法における簡易宿所の許可を取得する方法を知るようにしましょう。
旅館業法における簡易宿所の許可を取得するには、おおむね以下のような流れを辿ります。
・事前相談
・許可申請
・施設検査
・許可の交付
それぞれ解説します。
事前相談
旅館業法における民泊の許可を得るためには「事前相談」から始まります。これは行政機関に「民泊(簡易宿所)の許可が得られるか否か」を前もって判定してもらうのに有効です。
自治体によっては事前相談を強く推奨しており、申請後に許可が下りない事態を避けるためにも役立つとされています。
具体的な相談内容としては、施設の図面を見てもらうことで建築基準法や消防法令への適用状況を確認してもらったり、許可を得るために必要となる書類一覧を提示してもらったりします。
つまり、民泊の許可を得るために「どんな準備が必要か」を示してもらうためのステップと言えるでしょう。
なお、消防法令の適用については、行政機関ではなく所轄の消防署に相談することが確実であるため、消防署にも相談する必要がある認識でいてください。
許可申請
次が「許可申請」です。具体的には、提出が義務付けられている書類一式と手数料(16,500円)を納めることになります。
提出する書類については、多くの場合において、消防署によって施設が消防法令の基準を満たしているかどうかを証明してもらう「消防法令適合通知書」も必要になるでしょう。
消防法令適合通知書の取得は、あらかじめ所轄の消防署に相談したり、必要な消防用設備を調達したりする必要があるため、時間とコストがかかることを覚えておきましょう。
施設検査
「施設検査」は保健所職員等が実際に施設を訪れて、法律で規定されている構造設備基準を満たしているかを立入検査します。
自治体によっては独自の基準を設けている場合もあるため、自治体が求める基準を満たさなければならないことを覚えておきましょう。
旅館業法の規定だけでなく、自治体の規定にも沿うことがポイントです。
許可の交付
立入検査後、おおよそ2週間で「許可の交付」となります。保健所から許可が得られれば、すぐにでも民泊として営業できます。
参考:民泊サービスを始める皆様へ簡易宿所営業の許可取得の手引き
民泊の許可について気を付けるべきこと
民泊として許可を得るためには、盲点となりやすい以下の3つに注意してください。
・物件の基準
・マンションの管理規約
・消防用設備等の準備
それぞれの注意点について解説します。
物件の基準
旅館業法の許可を得るには「物件の基準」があることに注意しましょう。とくに「客室の延床面積は33平方メートル以上であること(宿泊者の数を10人未満とする場合は、3.3平方メートル×宿泊者数)」と「都道府県が条例で定める構造設備の基準に適合すること」の2つはしっかり確認してください。また、床面積や間取り、建物内の一般住宅と民泊部分の割合などによって必要な設備が変わりますので、消防庁からの情報などをよく確認することをお勧めします。
マンションの管理規約
マンションの部屋を使った民泊では「マンションの管理規約」に注意しましょう。管理規約で民泊運営等が制限されている場合、許可は下りない仕組みになっています。(申請時に管理規約で規制されていないことを証明しなければならない)マンション等を民泊として使う場合、住居としての用途からホテルや旅館としての用途に変更するための手続きが必要です。また、人から借りた不動産を別の人に貸す場合は「転貸」といって、大元の不動産の貸主の許可が必要です。無断で転貸した場合は、違法行為となりますので、十分気を付けて下さい。
観光庁民泊制度ポータルサイト「minpaku」に詳しく記載されていますので、参考にしてください。
消防用設備等の準備
民泊の許可を得るには「消防用設備等の準備」にも注意しましょう。必要な消防用設備は施設によって異なるため、消防署や保健所に確認しなければいけませんが、消火器や誘導灯、住宅用火災警報器などが必要になる可能性が高いので、あらかじめ認識しておいてください。
まとめ
民泊の許可が必要なのは、旅館業法に基づいた民泊を始める場合です。旅館業法の許可を得れば民泊運営がより本格的な事業になります。
たった1つでもルールを見落とすと、例えば建築基準法で求められる構造の要件が異なるため、用途変更の確認申請という手続や大規模な工事が必要になる場合があります。気づかず営業してしまったら違法営業(=罰則あり)になってしまうことも。事前にしっかりと確認をし、くれぐれも慎重に進めてくださいね。
許可を得るためのハードルは高いと言われていますので、保健所や消防機関、または消防点検のプロなどに事前相談することをおすすめします。
消防設備点検なら全国消防点検.comまで
全国消防点検.comでは消防設備点検のご相談を承っております。
「古い建物でいつ設置されたものかわからない・・・」
「消防設備についてよくわからないし、点検もしているのかな?」
などなど、些細なことでもご相談を承っております。
消防点検に限らず、様々な設置や点検等も承っており、
依頼する業者をまとめたい、点検類をまとめて依頼したいなど幅広くご相談が可能です
まずはご相談だけでも大歓迎です!
どうぞお気軽にお問い合わせください。