自衛消防組織設置基準
2023.07.26
自衛消防組織の設置が必要な場所は?必要な資格は?調べてみた!
災害はいつ・どれほどの規模のものが発生するか予測ができません。
そのため、火災や地震が発生した場合は、消防隊などが到着するまで現地に居合わせた人々が初期対応をしなければいけません。
災害に出くわすと、冷静な判断が困難になってしまいますが、実は特定の事業所には火災などの発生に対して対応する人が事前に定められています。
それが自衛消防組織というものですが、あなたの職場の隣の人ももしかしたら隊員として参加しているかもしれません。
今回はそんな自衛消防組織について詳しく解説します。
【目次】
1. 自衛消防組織とは?
2. 構成
3. 地区隊とは?
4. 自衛消防業務講習とは
5. 自衛消防組織の変更届
6. 自衛消防組織設置までの流れ
7. 設置基準
8. 防火対象物の場合
9. 複合用途防火対象物の場合(16項のイ)
10. まとめ
1. 自衛消防組織とは?
自衛消防組織とは、災害時の初期活動や対応を円滑に行い、利用者の安全を確保するために設置されている組織のことです。
消防法8条の2の5に基づいて設置されており、防火対象物に当たる建物には設置が義務付けられています。
一つの建物に複数の事業所が入っている場合は事業者ごとに設置する必要があります。
複数の事業所で利用している防火対象物は自衛消防協議会を設置して共同で自衛消防組織を設置します。
自衛消防組織は事前に取り決められた消防計画に従い、有事の際は火災の初期消火活動や消防機関への通報、避難誘導、その他被害の軽減に係る必要な業務を行わなければいけません。
2. 構成
上記の通り、自衛消防組織に属している人員は有事の際の避難や消火活動の音頭をとることとなります。
しかし、役割は多岐にわたるため、全てを一人で行うことは到底できません。
自衛消防組織は統括管理者・告示班長・班員で構成されています。
自衛消防業務ごとにそれぞれ基本的に班員が2名以上になるように配置されています。
自衛消防業務は以下を1例として防火対象物の規模や構造によって分けられています。
初期消火
火災の初期における消火活動に関する業務。
消火器や消火設備の取り扱いが必要になる可能性があるため、定期的に消火器の位置や使用方法などを確認しておく必要があるでしょう。
避難誘導
従業員に関わらず、有事の際に建物を利用している人全てを安全に避難させるための役割です。
避難はしごや非常階段への導線の確認などを普段からしておくことで、非常時でも円滑に避難を進める事ができます。
応急救護
救出救護に関連する業務。
有事の際は、注意を払っていても思いがけず怪我や事故が発生してしまう可能性があります。
簡単な救護や取り残された人がいないかなどを確認して迅速で安全な避難ができるように努めることが重要です。
通報連絡
火災や地震の情報の収集や消防機関への通報・設備の監視に関連する業務。
火災が発生した場合まずは、どこで発生しているのかどれほどの規模なのかを迅速に把握する必要があります。
大規模な場合やぼやではなかった場合は消防機関や救急などへの迅速な連携が重要です。
統括管理者
上記の4つの組織編成を束ね、統括する人のことを呼びます。
統括管理者は以下の4つの条件のうち1つに該当する必要があります。
・自衛消防組織の業務に関する講習を修了している。
・消防職員で管理・監督系統の職を1年以上経験している者
・消防団員で管理・監督系統の職を3年以上経験している者
・防災センター要員講習修了者で追加講習を修了した者
名前だけの管理者にならないように、自衛消防業務講習を受けた者か講習に準ずる経験があるものだけが統括管理者になれます。
告示班長
統括管理者の直近下位いわゆる本部隊のそれぞれの班の班長となるものです。
自衛消防業務講習の受講が必要で、防火管理技能者や自衛消防活動中核要員などの任務を兼任することも可能です。
その他の任務を兼任する場合は、もちろんそれぞれに必要な資格を有していなければいけません。
3. 地区隊とは?
地区隊とは、自衛消防組織の中で必要に応じて編成されるもので、上記のような本部隊が警備室や管理人室に勤務する人で構成されているのに対して、実際に火災が発生した場所の事業所で構成されているもののことです。
本部隊と地区隊は相互に連絡を取りつつ、状況の把握と避難誘導などを行うこととなります。
建物の規模や事業所の数などにより、地区隊の設置が必要かどうか総合的に判断しましょう。
4. 自衛消防業務講習とは
統括管理者や告示班長には資格が必要です。統括管理者の場合は、数年間の実務で代替することも可能ですが、自衛消防業務講習を受けるだけで誰でもなれる役職でもあります。
この自衛消防業務講習とは、2日間で修了できる講習で、座学で基礎的な知識を学んだ上で火災シュミレーションや地震シュミレーションを使用して実際の消火設備の取り扱いや情報整理の手法を学ぶことができます。
この講習を受けるだけで統括管理者や告示班長になる資格が手に入りますが、5年以内に必ず1日で終わる再講習を受講する必要もあります。
5. 自衛消防組織の変更届
防火対象物の管理権原者は自衛消防設備の設置や変更を行ったときに、必ず届け出を管轄の消防署長へ出さなければいけません。
この届け出時には消防法施行規則に定められた必要な書類を適切に提出する必要があります。
設置や変更に際して提出するに当たり、すぐさま提出する必要があるため、管理統括者など組織に属している人員が転勤や退職をするとなった場合は代わりの適任者を指名する必要があります。
管理統括者や告示班長などは資格が必要なため、退職・転勤する前に後任を指名しましょう。
6. 自衛消防組織設置までの流れ
1.消防計画を立てる
管理権原者は、防災管理者に自衛消防組織の業務を盛り込んだ消防計画の作成を依頼します。
複数の事業所が利用している建物の場合は、自衛消防協議会を設けて、共同で計画を立案していきます。
2.自衛消防組織の人員選任
一般的には管理統括者・告示班長・班員が必要となるため、適切な人員を従業員から選出する必要があります。
3.管轄の消防署長まで自衛消防組織設置届出を出す。
転勤や退職により人員の変更がある場合や、消防計画の見直しにより組織の構成などを変更する場合は、適宜変更の届け出を出す必要もあります。
7. 設置基準
自衛消防組織は有事の際の被害を低減するために設置されるものです。
そのため、大規模な建物や不特定多数の人が利用するような被害が大きくなってしまいそうな建物には設置が義務付けられています。
8. 防火対象物の場合
消防法第8条に当たる防火対象物のうち、防災管理対象物に該当するものが自衛消防組織の設置が義務付けられています。
特定の用途でかつ、一定以上の規模の場合に義務付けられているという意味です。
地下街は、延床面積が1000平方メートル以上の場合に自衛消防組織の設置が必要となります。
以下に地下街以外の該当する防火対象物とその条件を示します。
用途
・劇場等
・飲食店等
・ホテル等
・学校等
・公衆浴場等
・神社・寺院等
・駐車場
・文化財
・風俗営業店舗
・百貨店等
・病院・社会福祉施設等
・図書館・博物館等
・車両の停車場等
・工場等
・その他の事業場
規模
1.階数が11以上の防火対象物かつ床面積の合計が1万平方メートル以上
2.階数が5以上10以下の防火対象物かつ床面積の合計が2万平方メートル以上
3.階数が4以下の防火対象物かつ床面積の合計が5万平方メートル以上
9. 複合用途防火対象物の場合(16項のイ)
こちらは不特定多数の人々が利用する建物で、上記の特定用途とその他の用途の事業所が混在しているようなビルのことを指します。
あくまで特定用途部分に対して自衛消防組織の設置が求められているため、非特定用途部分の事業所は自衛消防組織に参加する必要はありません。
防火対象物と基準は似ていますが、以下のとおりです。
対象用途の部分が11階以上にある防火対象物は、防火対象物の対象用途の部分の床面積の合計が1万平方メートル以上の場合に設置が必要です。
また、5階以上10階以下の階にある防火対象物の場合、防火対象物の対象用途の部分の床面積の合計が2万平方メートル以上のときに、4階以下にある防火対象物の場合は対象用途の部分の床面積の合計が5万平方メートル以上の場合に自衛消防組織の設置が義務となります。
10. まとめ
どれだけ気を配っていても、火災や地震など災害はいつでも起こり得ます。
起こってしまった災害はもうどうしようもありません。
次にできることは人的・物的被害を限りなく0にすることです。
災害が発生した場合には、事前に取り決めていた統括管理者や告示班長などの指示に従い、迅速な避難や救護、初期消火などを行いましょう。
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