COLUMN
2023.03.30
火災に備えて必要不可欠な消火栓ボックス!種類や設置基準、保守管理のポイントを解説
防災において、火災に備えることが重要であることは言うまでもありません。
そのため、建物内外に消火栓ボックスが設置されていることを知っているでしょうか。
本記事では、消火栓ボックスについて紹介します。
消火栓ボックスとは
消火栓ボックスとは、消火栓設備が収納されているボックスで、消火栓装置を保管している箱のことを指します。
消火栓ボックスには、消火栓装置の他に、配管や弁、ホース等も保管されています。
消火栓ボックスには、標識が掲示されており、消防士が必要な時にすぐに見つけることができます。
消火栓ボックスの種類
消火栓ボックスには、大きく分けて2種類あります。
一つ目は、屋外に設置されているもので、公道に面した建物の外壁などに設置されています。
屋外に設置された消火栓ボックスは、雨風や紫外線による劣化によって破損しやすいため、定期的な点検が必要です。
もう一つは、屋内に設置されているもので、建物の内部で消火活動を行うために設置されています。
屋内に設置された消火栓ボックスは、通常は壁に設置されており、開閉扉によって消火栓装置を取り出すことができます。
消火栓ボックスの種類と特徴
消火栓ボックスには、様々な種類があります。
主な種類と特徴を以下に紹介します。
屋内消火栓の種類
屋内消火栓は火災の初期消火を目的としていて、扱いやすさや消火性能の違いから3種類あります。
1号消火栓
1号消火栓は長年使われている規格の消火栓で、消火能力は高いものの利便性が低く、放水するにはホースをすべて引き出す必要があり、2人以上での操作が必要です。
しかし、防火対象物に限定されず、強力な消火設備として知られています。
ポンプの起動方式は、主にポンプ起動押しボタン(専用)によるもの・自動火災報知設備の発信機を押す事によるものがあります。 また、消火栓弁を開放する過程で自動起動するものや、ホースの延長操作による自動起動等もあります。
収納されているホースは平たく折りたたまれており、倉庫や工場などでも使用可能で、効果範囲が広いため、消火栓設備の個数は比較的少なく済ませることができます。
また、消火器も一体となっている三段消火器併用型消火栓格納箱というものもあります。
易操作性1号消火栓
易操作性1号消火栓は1号消火栓と同じ条件の場所に設置が可能で、性能も1号消火栓と同等です。
また、取り扱いが比較的容易で、一人でも操作できるという利点があります。
しかしながら、すべての1号消火栓を易操作性1号消火栓に改修する場合は、ポンプを強化し、消火栓箱を大型化する必要があります。
2号消火栓
2号消火栓は一人でも扱いやすいように設計されたものであり、1号消火栓よりも性能が低いため放水量が限定され、設置できる防火対象物も限られます。
消火能力が低い分、消火栓の設置個数も比較的多くなる傾向にあります。
屋外式
屋外消火栓は、建物の周囲に設置された消火栓で、建築物の1階と2階の消火活動を目的としています。
3つの種類があり、必要な機器がすべて入った器具格納式消火栓、ホース格納箱を近くに配置しなければならない地下式・地上式消火栓があります。
地下式
「消火栓」と書かれたフタが地面にあることがありますが、そのフタの下には地下式の消火栓があります。
ただし、フタを開けるだけでは使用することはできず、ホース格納箱から必要な器具やホースを取り出し、接続する必要があります。
ホース格納箱は地下式消火栓設備の歩行距離5メートル以内に設置しなければいけません。
地下に埋め込まれていることもあり、実は、意識していないだけで身の周りにたくさんあります。
地上式
日常生活で目にすることは少ないかもしれませんが、地上式消火栓の見た目は消防設備の中でも比較的ポピュラーなものです。
名前の通り地上に設置され、赤いポール状のものが目印です。
地下式と同じく、単体では消火活動ができないので、後述するホース格納箱からホースや必要器具を取り出し、接続して使用する必要があります。
ホース格納箱
ホース格納箱は、地下式や地上式の消火栓を利用した消火活動に必須のアイテムで、消火栓から5m以内の場所に設置されています。
この箱には、消火栓に接続するためのホースやバルブを操作するための器具などが収められています。
器具格納式消火栓
器具格納式は文字通り、格納箱の中にホース・ノズル・開閉弁などがオールインワンで格納されているタイプの消火栓になります。
工場などでは、このオールインワンタイプの器具格納式が主流とされています。
操作方法や外観も、屋内型消火栓と似ており、建物の外壁に取り付けられていたり、独立して設置されていたりします。
設置基準
消火栓ボックスを設置する場所は、消防法によって基準が決められています。
屋内型や屋外型、ホース格納箱それぞれに応じた設置基準が設けられていますので、見ていきましょう。
屋内消火栓の場合
屋内に消火栓を設置する必要があるかどうかは、建物の構造と面積によって決まります。
建物は3つのタイプに分けられ、各タイプに設定されている面積があり、その面積を超える場合には消火栓の設置が必要となります。
例えば、カラオケ店の場合、延べ面積が700㎡以上の場合には消火栓の設置が義務化されます。
消火栓の設置基準は建物の構造や面積によって決まり、地階や無窓階、4階以上の階は消火活動が困難なため基準が引き上げられています。
先程例に挙げたカラオケ店に地下室があったり、4階以上の階があったりする場合は、該当階の床面積が150㎡以上であれば、消火栓を設置しなければなりません。
大きな建物では基準が厳しくなり、コストもかかりますが、倍読み規定と呼ばれる基準の緩和により、防火対象物の構造を準耐火構造や耐火構造に変更することで、基準面積を2倍から3倍に緩和することができます。
一般的に、地下があるカラオケ店では、地下の床面積が150㎡以上の場合、消火栓の設置が必要です。
しかし耐火構造の場合は、地下の床面積が450㎡以上になるまで、消火栓の設置義務は発生しません。
このように、消火栓の設置基準は建物の構造と面積によって複雑に決まるので、新規で設置する場合には注意が必要です。
屋外消火栓の場合
屋外消火栓設備の設置基準は、消防法施行令の第19条で定められています。
屋外消火栓は、屋内型と比較して簡素な基準になっています。
これは、屋外消火栓が主に建物の1階と2階の消火活動に使用されることを想定しているためです。
屋外消火栓を設置する場合は以下の点を遵守する必要があります。
一階又は一階及び二階の部分の床面積が
・耐火建築物の場合、9000平方メートル以上
・簡易耐火建築物(準耐火建築物)の場合、6000平方メートル以上
・その他の建築物は3000平方メートル以上のものについては、屋外消火栓設備の設置が必要です。
また、技術的な基準は以下の通りです。
技術基準:
a. 水平距離が40メートル以下に設置。
b.消防用ホースの長さが適切であること。
c.水源は、屋外消火栓設備の個数に7㎥を乗じた量の十分な水量を確保すること。
d.全ての屋外消火栓設備を同時に使用した場合に、放水圧力と放水量が一定の基準を満たすこと。
e.放水用器具の箱が避難経路を遮ったりしない適切な場所に設置すること。
f.非常電源を附置すること。
が挙げられます。
また、スプリンクラー設備などが設置されている場合、その有効範囲内では屋外消火栓設備の設置が免除されることがあります。
消防当局などと連携して、必要な個数や設置位置を確認しましょう。
ホース格納箱の基準
ホース格納箱の設置基準は、消防法施行規則第22条の第2項に次のように定められています。
屋外消火栓箱は、屋外消火栓から歩行距離が5メートル以内の場所に設置することが求められています。
ただし、建物の外壁が見やすい場所に設置する場合は、この制限は適用されません。
また、加圧送水装置の始動を明示する赤色の表示灯を内部か付近に設置する必要があり、表面にわかりやすく「ホース格納箱」と記載する必要があります。
消火栓ボックスの保守管理
消火栓ボックスは、火災発生時に必要な消火栓機材を保管する、非常に重要な設備です。
特に、屋外に設置されているものは、風雨にさらされることで劣化が進みます。
扉が開かなかったり、保管物が劣化していた場合、消火活動の遅延や、人命や財産の損失につながる恐れがあります。
そのため、消火栓ボックスの定期的なメンテナンスが必要で、常に火災発生に備えた状態を保つことが大切です。
消火栓ボックスの保守管理には、以下のような項目が含まれます。
定期点検
消火栓ボックスの定期点検には、下記のような項目が含まれます。
・消火栓装置の各機能確認
・配管・弁・ホースの損傷確認
・水源・加圧送水装置・外形などに破損や汚れがないかの確認
・表示灯が正常に点灯していること
まとめ
今回は消火栓ボックスについて詳しく紹介しました。
消火栓ボックスは火災の初期消火にとって重要な役割を持ち、被害を食い止められる大事な設備です。
消火線ボックスにも種類がたくさんあり、設置条件などは状況に応じて変化します。
今回紹介した内容を参考にして、火災が起きても被害が最小限に食い止められるようにしましょう。
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