消防点検コラム

消防法

2023.04.26

屋外消火栓の設置基準や消防法について解説

「屋外消火栓の設置基準が知りたい」や「消防法の屋外消火栓の規定が分からない」といった悩みを持っている人は多いと思います。

屋外消火栓は該当する建物が一定の基準に達する場合において設置義務が生じますが、その基準については、細かく、複雑なため理解するのが難しいとされています。

そこでこの記事では「屋外消火栓の設置基準」について、初心者にもわかりやすく解説します。

合わせて、屋外消火栓の仕組みや種類についても理解しましょう。

屋外消火栓とは

屋外消火栓とは、屋外から消火活動ができるようにするための消防用設備のことです。主に建物の1階から2階で火災が発生した際に、隣接する建物への延焼を防ぐことが目的で、屋外からの消火活動に用いられます。

屋外消火栓は、複数の設備で構成されています。主に、水源、加圧送水装置、ホースおよびノズルで構成されており、使用する際は原則として誰でも操作できる仕組みです。

屋外消火栓は1階から2階程度の建物の消火を目的にしていることから、主に平屋建ての建物や工場、さらには作業所といった場所の近くに設置されていることが特徴です。

ひと言で屋外消火栓と言っても、いくつかの種類があるため、どのような種類があり、どのようにして使用するかを、防災管理者やビル管理者はあらかじめ理解しておくことが求められます。

さらに、屋外消火栓は消防法で定められている6ヶ月に1回の機器点検と、1年に1回の総合点検の対象でもあることから、設置だけでなく、点検および整備も必要です。

日常的に、目に触れることが少ない消防用設備ということもあり、消防点検の際に思わぬ不備を指摘されやすいことも注意しなければいけません。

消防法では、屋外消火栓に関する設置基準や、屋外消火栓そのものに対する技術基準などもあるので、これらを総合的に理解しておくようにしましょう。

屋外消火栓設備の構造と仕組み

屋外消火栓の設置基準を理解するうえで「屋外消火栓設備の構造と仕組み」を把握しておくと分かりやすくなります。

屋外消火栓は主に以下の設備によって構成されています。

・水源

・加圧送水装置(ポンプとモーター)

・起動装置

・配管や弁類

・屋外消火栓

・ホースおよびノズル

・非常用電源

これらを附置しなければなりません。

屋外消火栓は基本的には、水源から動力ポンプで水を吸水し、ホースおよびノズルから放水するシンプルな仕組みになっています。

屋外消火栓は様々な設備で構成されている大掛かりな消防用設備であることから、設置や点検、整備も大変になると考えてよいでしょう。

 

 

消火栓の種類

消火栓は主に以下3種類があり、地上式及び地下式には、ホースを接続する口が1個のもの(単口型)のものと2個のもの(双口型)のものがあります。

・地上式消火栓

・地下式消火栓

・器具格納式消火栓

それぞれ解説します。

地上式消火栓

地上式消火栓は、屋外消火栓のなかで最も典型的なタイプと言えます。地上に突き出すような形で赤色のポールが設置されており、ホースを連結して使用します。

地上式消火栓は、地面から高さ1.5メートル以下に設置せねばなりません。また、歩行距離5メートル以内には、消火栓と連結して使用するためのホースやノズルが収納されている「ホース格納箱」を設置する必要があります。

地上式消火栓および後述する地下式消火栓は、ホース接続口や開閉弁とは別に「ホース格納箱」とセットになって初めて機能することを忘れないでください。

地下式消火栓

地下式消火栓は、防火対象物の屋外の地下に設置されるタイプの屋外消火栓です。その多くは、消火栓と書かれたマンホール蓋の下に格納されており、マンホール蓋を開けると消火栓開閉弁が見えます。

消火栓の格納場所は地面から深さ60センチ以内、消火栓開閉弁までは深さ30センチ以内といった細かな基準があります。

また、地下消火栓の5メートル以内にはホース格納箱を設置する必要があります。地下式消火栓の場合、マンホール蓋の上に駐車したり荷物を置いたりしてしまうケースが多く、消防点検の際はとくに注意しなければいけません。

器具格納式消火栓

器具格納式消火栓は、ホースやノズル、そして開閉弁などのすべてが消火栓と書かれた赤色の格納箱に格納されているタイプの消火栓です。

「オールインワン式」と呼ばれることもあり、工場や倉庫といった場所に設置されることが多い物です。

屋外消火栓の設置基準

屋外消火栓の設置基準については、消防法施行令第19条で規定されており、要約すると以下のようになります。

・1階または1階と2階部分の床面積が「耐火建築物9,000平方メートル以上」「簡易耐火建築物6,000平方メートル以上」「その他の建築物3,000平方メートル以上のもの」

・同一敷地内にある2以上の建築物(耐火建築物及び簡易耐火建築物を除く)で、相互の外壁間の中心線からの水平距離が1階にあっては3メートル以下、2階にあっては5メートル以下である部分を有するも下のは一の建築物とみなす。

サッカーフィールドがおおよそ7,000平方メートルですので、その半分程度の広さであれば、屋外消火栓の設置義務が生じると想像するとよいでしょう。

屋外消火栓設備の機能性に関する基準

屋外消火栓の設置基準には、消火栓そのものに対する基準があるため、合わせて覚えておきましょう。

・建物の各部分からホース接続口までの距離が水平距離40メートル以内

・消防用ホースの長さは、屋外消火栓設備のホース接続口から水平距離が40平方メートルの範囲内の当該建築物の各部分に有効に放水することができる長さとする

・水源の水量は屋外消火栓の設置個数(最大2個)に、7立方メートルを乗じた量

・屋外消火栓設備は、全ての屋外消火栓を同時に使用した場合に、それぞれノズルの先端において、放水圧力が0.25MPa以上で、かつ、放水量が毎分350リットル以上の性能のものとすること

・屋外消火栓の放水用具を格納する箱は、避難や通行に支障がないよう設置する

・非常電源を設置する

上記に加えて「屋外消火栓の標識」についても、以下のような基準があります。

・消火栓の標識は、縦100ミリ以上、横300ミリ以上の大きさで、赤字に白文字で記載すること

・消火栓の位置を明示する赤色の灯火は、消火栓の直近または消火栓箱の上部に設けること

・赤色の灯火の有効投影面積は、直径60ミリ以上またはこれに相当する面積以上とし、かつ、側面の面積は、前面投影面積の4分の1以上の有効投影面積を有するものとすること。また平面型(薄型)またはリング型の赤色の灯火についても使用できるものとする。

このように、屋外消火栓については消防法で「設置基準」と「技術仕様の基準」で細かな規定があります。

参考:消防法施行令(屋外消火栓設備に関する基準)

屋外消火栓と屋内消火栓の違い

屋外消火栓と似た消防用設備として屋内消火栓があります。これらは設置されている場所以外にも違いがあります。

屋外消火栓と屋内消火栓は「消火活動に使用する」という目的は共通していますが、大きな違いとして「使用者」があります。

屋内消火栓は、建物内にいる「誰でも」使用できるよう簡易的な構造になっているのに対し、屋外消火栓は「消防隊員」が使用することを前提としています。これは、動力消防ポンプ設備も同じで、屋内消火栓設備又は屋外消火栓設備と比較して、使用方法が複雑であるため、訓練等により操作に習熟した従業員等が常駐できる施設に限って設置することが望ましい、とされています。

基本的には、屋外消火栓、屋内消火栓いずれも誰でも使えるようになっていますが、屋外消火栓の方が放水能力が高いため、緊急時に円滑に使うには一定の訓練が必要になります。

具体的には、屋内消火栓の放水能力は1号消火栓の場合、毎分130リットル、0.17MPaから0.7MPaであるのに対し、屋外消火栓は毎分350リットル、0.25MPa以上と規定されています。

つまり、屋外消火栓は実質的には誰でも使えるものとは言えず、放水訓練や放水時の衝撃などを理解している消防隊員のみが扱えるというのが実情です。

消防法では、屋外消火栓と屋内消火栓の使用者を想定し、放水能力や水圧などが細かく規定されていることを知っておくとよいでしょう。

屋外消火栓を設置する場合の費用

屋外消火栓を設置する場合の費用は1,000万円程度かかるとされています。内訳としては、屋外消火栓ポンプに300万円程度、消火栓格納箱におおよそ800,000円、そして消火水槽および補助水槽に600万円ほどかかります。

屋外消火栓設備の設置を手がける多くの企業は価格を公表していません。これは建物の立地や構造、さらには水槽を確保するための土地などが影響しているためで、一概に価格を公表しにくいことが背景にあります。

このような事情から、新規で屋外消火栓を設置する際のコストは複数の業者から見積もってもらうことをおすすめします。

屋外消火栓の点検

屋外消火栓を設置している場合、消防法による点検義務が生じます。点検は以下のふたつがあるため、うっかり忘れていたということがないよう注意しましょう。

・機器点検

・総合点検

機器点検

機器点検とは、6ヶ月に1回以上の頻度で実施しなければいけない点検義務です。主に、すべての装置に対する外観点検や水量の確認といった簡易的な内容ではありますが、屋外消火栓は複数の設備で構成されているため大掛かりになるでしょう。

総合点検

総合点検とは、1年に1回以上の頻度で実施しなければいけない点検義務です。機器点検に加えて、実際に屋外消火栓が正常に機能するかどうかを確認する必要があります。

屋外消火栓をすべて作動させなければならず、非常に大掛かりな点検と言えるでしょう。屋外消火栓に限らず、機器点検および総合点検は消防点検の専門家(有資格者)に依頼してください。

まとめ

屋外消火栓の設置基準は消防法により細かく規定されています。また、屋外消火栓は複数の設備で構成されているため、ひとつでも不具合があると緊急時に機能しなくなる可能性があります。

このような事態を未然に防ぐためにも日頃から消防点検は欠かせません。屋外消火栓は設置基準以外にも点検義務も規定されていますので、消防点検のプロに相談しましょう。

 

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