消防点検コラム

COLUMN

2023.03.30

消火器の機能点検をやっていないとどうなる?義務や周期を解説

「消火器の機能点検をやっていないけど平気?」や「消火器の機能点検をやっていないとどうなるの?」という疑問を持ったことがある人は多いのではないでしょうか。

消火器は多くの人にとって非常に身近な消防用設備のひとつであり、消防法によって点検が義務付けられています。

一方で、その点検内容を巡っては、消防法と現場で様々な解釈の違いが生じやすく、問題視されていることもあるようです。

そこでこの記事では、消火器の機能点検をやっていないとどうなるのかといったことや、消火器の機能点検などについて、初心者にもわかりやすく解説します。

消火器の機能点検とは

消火器の機能点検とは、消防法によって定められている消防用設備等点検の際に実施される、消火器を対象にした点検のひとつです。

消火器の点検については「外観点検」と「機能点検」のふたつがあり、外観点検は消火器の外観や設置場所などを点検することで、機能点検は消火器を開封して内部を点検し、正常に作動するかどうかを確認するといった違いがあります。

消火器の機能点検は、消防設備士または消防設備点検資格者といった有資格者が実施しなければならず、ほとんどの場合において専門業者が実施します。

消火器の機能点検は消防用設備等点検の一環として、原則半年に1回の周期で実施し、点検後は報告書を作成したうえで定期的(1年か3年に1度)に所轄の消防署に報告しなければいけません。

つまり、消火器の機能点検は「消火器としての機能」そして「法令基準に従った報告」のふたつを伴ってはじめて完結するものと考えてよいでしょう。

この法令基準にあたるものが「消防用設備等点検」です。消防用設備等点検については次で詳しく解説します。

 

消防用設備等点検とは

消火器の機能点検をやっていないということは、消防用設備等点検をやっていないということになるので、消防用設備等点検についてもしっかり理解しておきましょう。

消防用設備等点検とは、消防法第十七条の三の三に規定されている法令で、消防用設備等を設置している建物において年2回の点検および1年か3年に1度の報告を義務付けるものです。

消防用設備等点検は「機器点検」と「総合点検」のふたつに分けられます。「機器点検」は6ヶ月に1回以上の頻度で、消火器をはじめとする消防用設備の適切な設置や損傷有無などを点検するもので、「総合点検」は12ヶ月に1回以上の頻度で消防用設備を原則すべて作動させて総合的な機能を点検します。

いずれも消防設備士または消防設備点検資格者が実施せねばならず、点検結果は規定の報告書にまとめる必要があります。

消火器の機能点検をやっていないことは消防用設備等点検の要件を満たしていない可能性があることから、法令違反になることを忘れないでください。

仮に、消防用設備等点検において虚偽の報告をしたり、申告しなかったりした場合は、30万円以下の罰金または拘留に処せられます。

参考:消防法第十七条の三の三

消火器の点検内容

消火器の機能点検をやっていないということがないように、消火器の点検内容についても理解しておきましょう。

消火器の点検内容は以下のふたつに分けられます。

・外観点検

・機能点検

それぞれの点検項目について以下で詳しく解説します。

外観点検

消火器の外観点検は消防用設備等点検の際に毎回実施しなければいけません。具体的には以下のような点検項目があります。

・設置場所

・設置間隔

・適応性

・標識

・消火器本体の損傷や薬剤漏れの有無

・安全栓の封

・安全栓やレバー、キャップの変形や損傷有無

・ホースやノズルの変形や損傷有無

・指示圧力計の圧力値など

機能点検

消火器の機能点検も外観点検と原則同様の頻度で、以下のような項目を点検します。

・消火器の容器内部の錆や損傷有無

・薬剤の抜き取り確認

・薬剤の再充填

・放射試験など

消火器の点検については、製造年から5年未満だと外観点検のみです。一方、製造年から5年超10年未満の物は外観点検に加え、機能点検も対象になります。

ただし、設置している全消火器が対象とはならず、設置全体の10%のみが対象となり、そのうちの50%は放射試験までする必要があります。

これを「抜き取り検査(抜き取り方式)」と呼び、任意で選んだひとつが問題なければ、他も問題ないとみなす方式です。

消火器の種類と使用期限

消火器の機能点検をやっていない事態が生じる要因のひとつとして「消火器の種類と使用期限」が挙げられます。

これは消火器の種類や使用期限によって対応が異なるためで、消火器の種類と使用期限について正しく理解しておくことで、点検ミスを防ぐことが可能です。

加圧式消火器

加圧式消火器の使用期限は製造年から「概ね10年(家庭用は概ね5年)」とされています。消火器本体のラベルに記載されている製造年を基準にしてください。

加圧式消火器とは、消火器内部に加圧用ガス容器を組み込んだ構造になっており、これまで主流とされてきた消火器です。

加圧式消火器は「製造年から3年経過したものが機能点検の対象」になります。

ガスが放出されることで薬剤が噴射する仕組みですが、老朽化すると破損や破裂リスクがあることや、力が弱い女性や高齢者が使用すると噴射時の反動に耐えられないこともあり、昨今ではより使い勝手が良い蓄圧式消火器に移行しつつあります。

蓄圧式消火器

蓄圧式消火器の使用期限は製造年から「概ね10年(家庭用は概ね5年)」です。加圧式消火器と同様でラベルの製造年を基準にします。

蓄圧式消火器とは、製造段階でガスを封入しているため、容器内には常時圧力がかかっています。

蓄圧式消火器は「製造年から5年経過したものが機能点検の対象」になります。

力がない人でも一定量を持続的に放射できることや、破損および破裂リスクが少ない、さらに圧力計によって使用可能かどうかが瞬時に判断できるといった特徴があり、現在の主流とされています。

加圧式消火器と蓄圧式消火器の違い

先述したように、加圧式消火器と蓄圧式消火器は「機能点検の周期」に違いがあります。加圧式消火器は製造年から3年経過したものであるのに対し、蓄圧式消火器は製造年から5年経過したものです。

ちなみに、加圧式消火器と蓄圧式消火器を見分けるには「圧力計の有無」を確認してください。

消火器上部のレバーに目盛りが付いた圧力計があると蓄圧式消火器と判別できます。ただし、法改正により2022年1月1日以降は「新規格の消火器」でないと消防法を満たしていないと判断されるため、実質的には「蓄圧式消火器のみ」と考えてよいでしょう。

参考:第二十一条の五

消火器の機能点検を巡る問題点

消火器の機能点検をやっていないと法令違反であることが分かったと思いますが、消火器の機能点検を巡っては様々な問題が指摘されていますので、合わせて知っておくことをおすすめします。

点検よりも交換の方がコスト安

消火器の機能点検を巡っては「点検よりも交換の方がコスト安」という実情があります。具体的には、蓄圧式消火器の機能点検では現場で点検することは難しいため、業者が自社へ持ち帰って点検することになります。

ということは、非常に手間がかかり、業者はその分を上乗せすることになります。

また、製造から10年を経過すると消火器の耐圧性能検査(水圧点検)が義務付けられました。

このことから、製造より5年経過した蓄圧式消火器機能点検や、製造より10年経過した消火器の耐圧性能検査をするよりも新品と取り換えた方がコスト安になる可能性が高くなる訳です。

つまり、コストが高くなるにもかかわらず、消火器の機能点検を実施してまで、同じ消火器を使い続ける必要性があるのか?という問題が生じています。

分解する必要性がない

消火器の機能点検が制度化されたのは「加圧式消火器の破裂事故を防ぐ」ことが背景にあります。

老朽化または損傷した加圧式消火器が破裂して怪我をするような事態を防ぐために機能点検が義務付けられた訳ですが、先述したように昨今では蓄圧式消火器が主流になっており、加圧式消火器の時のような破裂事故が起こらなくなってきています。

つまり、そもそも破裂事故のリスクが少ない蓄圧式消火器を分解してまで点検する必要性がない訳です。

むしろ、機能点検をしたことにより、かえって消火器本来の機能を損なうかもしれません。このような事情が、蓄圧式消火器の機能点検をするよりも新品と交換した方が合理的という理由になっています。

同時に、法律で機能点検が定められている以上は準拠せねばならず、業者は無駄な時間を、そして建物管理者は余計なコスト負担を強いられることも事実です。

不正や偽造

消火器の機能点検を巡っては、先述したように「分解する必要性がない」にもかかわらず、法令で定められているため従わざるを得ない状況が生じます。

この結果、消防点検を請け負う一部の業者や建物管理者によって、機能点検を済ませたことにする不正や偽造が行われても仕方がない状況になっています。

言い換えれば、法令に準拠して真面目に点検を遂行する業者が損をしてしまう事態とも言え、消火器の機能点検を巡る大きな問題として疑問視されています。

まとめ

消火器の機能点検をやっていないことは消防法に違反するため、製造年から5年経過した物は最低でも6ヶ月に1回以上は機能点検しなければいけません。

消火器の機能点検は加圧式消火器の場合は3年、蓄圧式消火器の場合は5年と定められていますので、消防点検の際には必ず点検するようにしてください。

もし、消火器を含む消防点検の経験がないような場合は、消火器の機能点検や事情について詳しく説明してくれる専門業者を選ぶことをおすすめします。

 

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