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非常放送設備におけるアッテネーターの役割と注意点|全国消防点検.com 非常放送設備におけるアッテネーターの役割と注意点 – 全国消防点検.com

消防点検コラム

COLUMN

2023.03.30

非常放送設備におけるアッテネーターの役割と注意点

大規模な建築物には、非常放送設備の設置が義務付けられています。

この放送設備は、業務放送にも使用されるため、壁付けのプレートにアッテネーターを組み込んで、ツマミを調整することでスピーカーからの音量を調節することができます。

特に、防災機器においては、非常放送設備で主に使用され、大きな出力信号を適正値に絞る効果があります。

放送設備にアッテネーターを設けることで、ボリュームコントロールが可能になりますが、非常放送時にはアッテネーターの効力が無効化され、館内全域に音声が聞こえるように出力されます。

この記事では、アッテネーターの概要、配線の仕組み、そして注意点について紹介します。正確な知識と取り扱い方法を身に付けることで、結線ミスによるトラブルを未然に防ぐことができます。

アッテネーターとは?

アッテネーターは、電波伝送路で信号強度を調整するための部品であり、音量のボリュームを調節するためのツマミが取りつけられています。

過大な信号強度による受信機の過負荷や、過小な信号強度による通信品質の低下を防ぐ役割を持っています。

2つのモード

アッテネーターを絞ることで放送音声ボリュームが小さくなります。

 

非常放送には2つのモードがあります。

1つは『業務放送モード』で、館内放送や案内放送に使用されます。

この場合、アッテネーターを使用してボリューム調整が可能であり、必要な場所に設置され各設置場所で音量を自由に変更することができます。

もう1つは『非常放送モード』で、自動火災報知設備のサイレンや避難誘導、地震放送などの緊急放送に使用されます。

緊急放送のため、アッテネーターで音量をゼロにしても、強制的にサイレンや音声放送を流します。

非常放送起動時にはアッテネーターの効力を無効化するように設計されています。

非常放送に組み込まれている

アッテネーターは3線式の配線パターンの非常放送設備に設置されています。

非常放送には、2線式と3線式の配線があり、業務放送が非常放送を兼ねた施設においてアッテネーターを使用する場合には、3線式の配線が必要になります。

3本の配線はそれぞれ通常放送用、緊急放送用、共通用に割り当てられているためです。

アッテネーターの配線方法にはややこしい部分があるため、配線を誤ると、非常時に音が出なくなったり、アッテネーターのボリュームコントロールが逆転したりすることがあるので注意が必要です。

また、2線式の場合には、非常放送モードにするとカットリレーが働き、業務放送が流れないようにして非常放送を聞き取りやすくする必要があります。

 

非常放送設備要件

非常放送設備にも詳しい規定がありますが、ここではアッテネーターにかかわる部分の規定を紹介します。

 

1.非常放送時には、アッテネータが0でもスピーカが鳴動しなければならない。

2.非常放送時には、アッテネータがどの位置にあってもスピーカが鳴動しなければならない。

3.3線引の場合、通常放送時、R(緊急)回線はC(コモン・コールド)とショートしている。

4.3線引の場合、非常放送時、R(緊急)回線はN(ホット)とショートしている。

 

要するにアッテネーターの取り付けにあたっては、非常時の放送を聞き取れる環境を確保する必要があるということです。

この条件を守りながら、アッテネーターを取り付けることが必要です。

アッテネーターの結線方法と注意点

アッテネーターの結線ミスは、信号伝送の不具合や機器の故障を引き起こす可能性があります。

特に非常時においては、通信システムの信頼性が重要となるため、アッテネーターの適切な取り扱いが求められます。

 

非常放送には2線式と3線式の配線パターンがあります。

業務放送が非常放送を兼ねている施設用の放送設備でアッテネーターを使用する場合は、3線式が必要で、3本の配線が必要です。

これらの配線はそれぞれ通常放送用と緊急放送用、共通用に割り当てられています。

COM~N間ではアッテネーター回路を通過してボリュームスイッチが働きますが、COM~R間はアッテネーターを通過せず、スピーカーに直接出力されます。

ちなみに2線式の場合は、非常放送モードにするとカットリレーが働き、業務放送が流れないようにして非常放送を聞き取りやすいようにしています。

アッテネーターの配線にはややこしい部分があり、製品によって取付方法が異なる場合があります。

配線を誤ると、非常時に音が鳴らなくなったり、アッテネーターのボリュームコントロールが逆転したりする可能性があるため、注意が必要です。

結線方法例

ここでは代表的なTOA社製のものを使用する場合の結線方法について紹介します。

アッテネーターの結線方法は、製品によっても異なるので、ご使用の機器に準じた結線方法で接続してください。

【三線式配線の場合】

アッテネーターのN端子を、アンプのNまたは+(HOT)端子から来ている線に接続してください。

アッテネーターのR端子を、アンプのR端子から来ている線に接続してください。

アッテネーターのSP端子を、スピーカーの+端子に接続してください。

スピーカーのCOM(Cまたは-)端子を、アンプのCOM端子から来ている線に接続してください。

【二線式配線の場合】

 

アッテネーターのN端子を、アンプのNまたは+(HOT)端子から来ている線に接続してください。

アッテネーターのR端子を、アンプのCOM端子から来ている線に接続してください。

アッテネーターのSP端子を、スピーカーの+端子に接続してください。

スピーカーのCOM(Cまたは-)端子を、アンプのCOM端子から来ている線に接続してください。

【複数個のスピーカーを一つのアッテネーターで制御する場合】

 

アッテネーターのSP端子を、それぞれのスピーカーの+端子に接続してください。

それぞれのスピーカーのCOM(Cまたは-)端子を、アンプのCOM端子から来ている線に接続してください。

 

※注意点

それぞれ、 「N」は、「+」または「HOT」とも表示されます。

「R」は、「緊急」とも表示されます。

「COM」は、「C」または「-」とも表示されます。

注意点

アッテネーターの結線に関する、そのほかの注意点を以下に挙げます。

設置場所

アッテネーターとスピーカーの接続方法には、分離する方式とスピーカーに内蔵する方法があります。

会議室や事務室などの音量調整が必要な場所では、スピーカー本体にアッテネーターを内蔵してしまうと音量の調整が非常に困難になるため、壁面に設置することが一般的です。

アッテネーターを壁面に設置することで、利用者が自由に音量調整ができるようになります。

業務放送と非常放送を兼ねる場合の注意点

前述した通り、アッテネーターを設置できるのが、配線方式が3線式配線の場合です。

アッテネーターを設置して音量を0にしていても、3線式配線の場合、非常時には強制的にサイレンや避難誘導放送を鳴らせるようになります。

2線式の配線を採用している施設では、HOTにNを接続し、COM線にRとSPを接続することで音量調節ができます。

ただし、業務放送と非常放送を兼ねている場合は、アッテネーターによって音量を調節していたとしても、非常放送が最大音量で鳴動しなければならないため、3線式の配線構築が必要となります。

 

まとめ

アッテネーターの結線ミスは、非常時の逃げ遅れや二次災害を引き起こす可能性があります。

設備管理者や工事作業員は、アッテネーターの概要や配線の仕組み及び注意点について理解し、正しい取り扱いを心掛けることが重要です。

適切な知識と技術を身に付けることで、結線ミスによるトラブルを未然に防ぎ、信頼性の高い放送システムを維持することができます。

端子の識別や配線の方向、接続の確認を丁寧に行い、作業環境の整備に注意を払いましょう。

こうした知識と対策が、設備の安全性や効率性を向上させる上で役立ちます。

 

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