COLUMN
2023.02.22
パッケージ消火設備にできること
パッケージ消火設備は、火災発生時に消火剤を噴霧して火を消す設備であり、比較的狭い場所に設置できることが特徴です。
パッケージ消火設備は主に、屋内消火栓の設置が任意だった防火対象物などを増改築して、消火栓設備の設置が必要になった場合に使われます。
大規模な防火対象物には設置する個数が多くなったり、そもそも規定的に設置できない場合もあります。
そのため小規模な防火対象物に向いている消火設備と言えます。
しかし、水源を持たないため、長時間の消火活動が不可能なため、設置できない場所も存在します。
今回はパッケージ消火設備を他の消火設備と比較しながらご紹介します。
パッケージ消火設備とは
パッケージ消火設備は、建物内に火災が発生した場合に火災を手動で抑制するための設備です。
パッケージ消火設備は、屋内消火栓の代替設備として使用されています。
屋内消火栓を設置するためには、配管の整備など、建物全体に関わる大掛かりな工事が必要です。
しかしパッケージ消火設備には、起動装置から加圧用ガス容器、消火剤貯蔵庫、ホースなど
消火のための設備が全てまとまって入っています。
まさに文字通り、オールインワンの消火設備なんです。
オールインワンにも関わらず、小型で設置スペースが少なくて済むため、多様な場所で設置されています。
Ⅰ型とⅡ型に分類されていて、Ⅰ型の方が性能が高いためより緩い条件で使用が可能です。
メリット
パッケージ消火設備は、屋内消火栓の代替として使用できるものなので、使用上のメリットは特にありません。
むしろ、差異が無いことこそメリットと言えます。
しかし設備周りのメリットは多数あるため、工事・メンテナンスなどの負担を低減できるのが一番のメリットです。
パッケージ消火設備の中には、両開き扉のものもあるので開放した際に場所を取りすぎることもなく、設置場所も融通が利きます。
設置の際に必要な工事は、パッケージ消火設備の据付工事と表示灯の電源の確保のみなので、工期の短縮から工事費用まで大幅に低減することができます。
また、メンテナンスは機器が一体化されていることもあり手間がかからないため、維持費用の軽減も実現できます。
使用している消火薬剤も特徴的で、水よりも4倍の消火性能を記録しており、凍結の心配もないため寒冷地でも使用が可能です。
デメリット
パッケージ消火設備のデメリットは設置できる範囲が限定的ということです。
消火剤貯蔵容器も全て1つの格納庫に収納されているので、消火剤の追加ができません。
そのため、大規模な消火活動には向いてなく、限界があります。
パッケージ消火設備が有効に消火できない可能性を考慮して、地下や延べ面積が大きいところでは設置ができません。
そのため、地下を含む建造物や大きな建造物は、従来どおり配管などの設置が必要な屋内消火栓を設置しなければいけない場合があります。
詳細な設置条件については次の項で紹介します。
設置できる条件
パッケージ消火設備は、屋内消火栓の代替品ですが、一部条件下では設置ができません。
これは、パッケージ型消火設備が水源を持たないことが主な理由で、大きな被害が起きる可能性の高いところでは設置ができません。
設置するための大前提として、1項〜12項までと、15項の防火対象物に限られます。
つまり、駐車場や地下街、アーケードなどには設置ができません。
その上で、さらにⅠ型とⅡ型で条件が分かれています。
イメージ的にはⅠ型は適用範囲が広く、限定的なものがⅡ型になります。
主に重要な点は
・耐火建築物かどうか
・階層
・延べ面積
の3点でそれぞれが型と耐火建築物かそうでないかによって変動します。
Ⅰ型
耐火建築物の場合、地階を除く階が6以下であり、かつ、延べ面積が3,000平方メートル以下のもの。
耐火構造でない場合は、地階を除く階が3以下であり、かつ、延べ面積が2,000平方メートル以下のものの場合に使用が可能です。
Ⅱ型
Ⅱ型はⅠ型よりも更に限定的で、耐火建築物は、地階を除く階数が4以下であり、かつ、延べ面積が1,500平方メートル以下のもの。
耐火建築物以外のものにあっては、地階を除く階数が2以下であり、かつ、延べ面積が1,000平方メートル以下のものの場合のみで使用が可能です。
設置できない場所
パッケージ消火設備は設備の特性上、消火薬剤に限界があります。
だからこそ、配管などの大掛かりな設備を設置しなくて済むのですが、その分使用できる範囲は限定的です。
パッケージ消火設備は、以下の場所で設置ができません。
・駐車場
・航空機の格納庫
・倉庫
・地下
・文化財
・アーケード
更には、火災が発生した場合に煙が著しく充満する恐れのある場所も同様に設置ができません。
これはパッケージ消火設備だけでは消火に間に合わない可能性があるためです。
また、以下のような場所には設置できない可能性もあります。
広い空間: パッケージ消火設備は特定の領域内の消火に特化しているため、広い空間では適切に機能しません。
湿った場所: パッケージ消火設備は水によって損傷する可能性がありますので、湿った場所や湿気が高い場所では設置してはいけません。
具体的には、40℃以下で温度変化が少ない場所かつ、直射日光や雨水のかかるおそれの少ない場所への設置が必要です。
風の影響を受けやすい場所: 風が強い場所や、風が吹き込む場所などでは、パッケージ消火設備が効果を発揮することが困難になります。
これらの場所では、別のタイプの消火設備を選択するか、他の消火手段を利用することが必要になります。
設置基準
上記で見た通り、パッケージ消火設備は型式や防火対象物かどうかによって設置できる条件がありました。
設置できるかどうかとは別に、どのように設置するかというのも問題です。
パッケージ消火設備にもほかの消火設備と同様に詳細な設置基準が設けられています。
水平距離
防火対象物の階ごとに、その階の各部分からホース接続口までの水平距離がⅠ型は20m以下、Ⅱ型は15m以下となるように設置しなければいけません。
防護面積
1台の包含(防護)する面積は、Ⅰ型は850平方メートル以下、Ⅱ型は500平方メートル以下にしなければいけません。
防護面積とは、一つのパッケージ消火設備につき警戒できる面積のことです。
Ⅰ型の場合、水平距離が最大20メートルなので、最大の包含面積は約1256平方メートルですが、それを大幅に下回る範囲で防護面積が設定されているので注意が必要です。
水平距離と防護面積どちらの基準もクリアしないといけません。
ちなみに1型の屋内消火栓と比較すると、約6割ほどしかカバーできる面積しかありません。
そのため、1型の屋内消火栓と比較して価格が安いからとパッケージ消火設備を導入すると設置しなければいけない個数が増えて、結果的に費用が増加する可能性があります。
設置場所
地階・無窓階または火災の時、煙が著しく充満する恐れのある場所には設置ができません。
あくまで屋内消火栓の代替品であり、消火薬剤量にも制限があります。
そのため消火活動がうまくいかなかった場合は、迅速な避難が必要です。
設置をする場合は無窓階や地下、火災時に著しく煙が充満する場所以外の場所に設置しなければいけません。
また、40℃以下で温度変化が少ない場所かつ、直射日光や雨水のかかるおそれの少ない場所に設置しなければいけません。
ほかの屋内消火栓と異なる設備であることをわかりやすくするためにも、見やすい場所に赤色の灯火およびパッケージ型消火設備である旨を表示した標識を設ける必要があります。
間違っても机や観葉植物といった施設内設備で隠すようなことはしてはいけません。
耐用年数
厳密には設置基準ではありませんが、耐用年数も合わせて紹介します。
一般にパッケージ消火設備の耐用年数は約10年程度です。
耐用年数を経過すると経年劣化が起きる可能性もあり、有事の際に十分に使用できない可能性があります。
そのため耐用年数を経過したパッケージ消火設備はすぐに交換しましょう。
点検方法
パッケージ消火設備は、消火設備ということもあり、定期的に点検を行う必要があります。
点検は、第1種・第2種・第3種の甲種又は乙種消防設備士のほか、第1種消防設備点検資格者の資格を持つ人のみが行なえます。
点検の際は、消火設備の機能の確認や、消火剤の残量の確認などを行います。
他の消防設備と同じように、目視での検査や認定合格証が貼付されているか、表示灯が正常に点灯しているかを確認します。
パッケージ消火設備は一体型の設備のため、全ての設置箇所で消火薬剤貯蔵庫の点検や加圧用ガス容器、バルブ類の確認をする必要があります。
まず、消火設備の機能の確認を行います。
これは、消火設備を操作して、消火剤が正しく使える状態かどうかの確認です。
次に、消火剤の残量を確認します。
消火剤が不足している場合は、すぐに補充する必要があります。
また、消火設備の外観の確認も行います。
外観に問題がある場合は、すぐに修理しましょう。
最後に、点検記録を作成します。
点検結果を記録することで、今後の点検の参考にすることができます。
まとめ
消防法は、現行法で実際に防げなかった事例や新しい設備の開発などにより随時変化していきます。
パッケージ消火設備も消防法改定に伴い、従来屋内消火栓設備の代替設備として認定されるようになりました。
設置やメンテナンスも簡単で、従来設備よりも大幅にコストを削減できますが、消火性能が
限定的なこともあり、設置できる規模や面積、使用用途により制限されています。
パッケージ消火設備は主に、屋内消火栓の設置が任意だった防火対象物などを増改築して、消火栓設備の設置が必要になった場合に使われます。
大規模な防火対象物には設置する個数が多くなったり、そもそも規定的に設置できない場合もあります。
そのため小規模な防火対象物に向いている消火設備と言えます。
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