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2022.11.28
消防設備士乙種6類を徹底解説!合格率や難易度もわかる
「消防設備士乙種6類」は全部で13種類ある消防設備士の資格の中で「登竜門」とされるほど、多くの受験者がいる資格です。
消防設備士乙種6類の免状を取得すると「消火器」の点検や整備が出来るようになることから、消火器というとても身近な消防用設備の専門家としても活躍可能です。
一発で合格するためにはどのような知識を身に付けておく必要があるのか、どんな勉強法をすればいいのかなどを把握しておくことが大切です。
この記事では、これから消防設備士乙種6類に挑戦しようと考えている人に役立つ情報をまとめて解説します。
【目次】
1. 消防設備士乙種6類とは
2. 消防設備士乙種6類の資格試験について
3. 消防設備士乙種6類の資格試験内容
4. 消防設備士乙種6類に合格するためのコツ
1. 消防設備士乙種6類とは
消防設備士乙種6類(通称おつろく)に関することについて見てみましょう。
消防設備士乙種6類とは、消火器の点検や整備が出来るようになる国家資格のことです。以下で詳しく解説します。
乙種とは
乙種とは、消防設備士の資格における種類のことで、甲種と乙種に分けられています。さらに、甲種と乙種の中で扱える設備ごとのカテゴリー(類別)があります。
甲種は第5類から特類までの6つ、そして乙種は第7類から第1類までの7つ、合計13の資格になっています。
甲種と乙種の違いは「工事が出来るか否か」で、甲種は工事が出来る資格であるのに対し、乙種は工事が出来ない資格です。
乙種の場合、あくまでも消防用設備の点検と整備に限定されます。一方で、直接工事をする訳ではないため、工事に関連する専門知識や経験が問われることはなく、誰でも受験できることが特徴です。
もし、消防設備士の甲種を受験したい場合は、実務経験や電気工事士といった資格、さらには学歴なども受験資格に含まれるため、誰でも受験できるとは言えません。
その点において乙種はハードルが低いため、消防設備士の資格と言えば、まずは乙種からスタートする人が多いようです。
第6類とは
消防設備士資格における第6類とは「消火器」の免状のことを指しています。消防設備士の資格は、扱える消防用設備ごとにカテゴリー分けされていますが、そのひとつが消火器の免状、つまり第6類です。
点検や整備といった需要が多く、有資格者が重宝される訳です。このような事情が背景にあることから、消防設備士乙種6類は人気の資格とされています。
ちなみに、第6類と第7類は乙種にだけあるカテゴリーです。その理由として、第6類は消火器が対象のため、そもそも工事を必要としないことにあります。(問題が起きたとしても消火器を交換するだけで解決する)
また、第7類の対象は「漏電火災警報器」であり、これに関する工事ができるのは電気工事士に限られます。
消防設備士の一覧表
消防設備士の資格は以下のように区分され、それぞれ扱える消防用設備が異なりますので、知っておくと便利です。
免状の種類 | 類別 | 扱える消防用設備等 |
甲種 | 特類 | 特殊消防用設備等(従来の消防用設備等に代わり、総務大臣が当該消防用設備等と同等以上の性能があると認定した設備等) |
甲種または乙種 | 第1類 | 屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、屋外消火栓設備 パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備、共同住宅用スプリンクラー設備 |
甲種または乙種 | 第2類 | 泡消火設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備、特定駐車場用泡消火設備 |
甲種または乙種 | 第3類 | 不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備 |
甲種または乙種 | 第4類 | 自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備 共同住宅用自動火災報知設備、住戸用自動火災報知設備、特定小規模施設用自動火災報知設備、複合型居住施設用自動火災報知設備 |
甲種または乙種 | 第5類 | 金属製避難はしご、救助袋、緩降機 |
乙種 | 第6類 | 消火器 |
乙種 | 第7類 | 漏電火災警報器 |
参考:消防設備士試験一般財団法人消防試験研究センター
2. 消防設備士乙種6類の資格試験について
次に、消防設備士乙種6類の試験について解説します。
合格率
消防設備士乙種6類の直近5年間の平均合格率は39.76%です。同じ国家資格でも合格率が10%に満たない資格も多くあることから、消防設備士乙種6類の合格率は高い部類に入ると言えるでしょう。
難易度
消防設備士乙種6類の難易度は「普通レベル」もしくは「易しい」とされています。この理由には、高い合格率や出題問題が暗記の範疇で回答可能(4択式)ということが挙げられます。
加えて、複雑な計算を必要とせず、難解問題が出ることがほとんどないことも難易度が低い要因です。
合格基準
消防設備士乙種6類の合格基準は以下のように定められています。
筆記試験において、各科目毎に40%以上で全体の出題数の60%以上、かつ、実技試験において60%以上の成績を修めた者を合格とします。なお、試験の一部免除がある場合は、免除を受けた以外の問題で上記の成績を修めた方を合格とします。
合格基準を理解するうえで注意したいのが「筆記試験の点数が合格基準に満たない場合は実技試験を採点しない」ということです。
後述しますが、筆記試験は大きく3つの試験科目に分けられており、それぞれの科目で40%以上の正解率でなければいけません。
つまり、各科目でまんべんなく合格基準を超えなければ合格できない仕組みになっています。
引用:消防設備士試験試験の方法一般財団法人消防試験研究センター
受験資格
消防設備士乙種6類は受験資格はありません。乙種第7類から第1類まで学歴や年齢、実務経験などは一切問われないため、誰でも受験可能です。
甲種は学歴や実務経験といった受験資格を必要とするので注意しましょう。
受験者数
消防設備士乙種6類は毎年およそ20,000人が受験しています。2021年4月から2022年3月までの1年間では25,634名が受検、10,240名が合格とあります。
25,634名の受験者数は、乙種第1類(2,143名)と比較すると、おおよそ10倍となり、消防設備士乙種6類が最も人気があるカテゴリーということがよくわかります。
参考:試験実施状況一般財団法人消防試験研究センター
試験時間
消防設備士乙種6類の試験時間は1時間45分です。この時間内に筆記試験全30問、実技試験5問に回答しなければいけません。
筆記試験は四肢択一式のマークシート、実技試験は回答を記述します。
3. 消防設備士乙種6類の資格試験内容
消防設備士乙種6類の具体的な試験内容について解説します。
筆記試験
消防設備士乙種6類の筆記試験は全30問、四肢択一式の回答による試験です。全30問の試験科目(出題範囲)の内訳は以下のようになっています。
・消防関係法令:10問
・機械に関する基礎的知識:5問
・消防用設備等の構造・機能・整備:15問
それぞれの科目で40%以上正解しなければ不合格です。また、実技試験の採点がしてもらえなくなります。
「消防関係法令」では法律に関する問題が出ます。「機械に関する基礎的知識」は、物理や化学に関する簡単な問題ですが、出題パターンは概ね決まっているためそんなに心配はいらないでしょう。
「消防用設備等の構造・機能・整備」については、消火器の構造や特性に関する問題が出ます。後述する「実技試験」と関連性が高いことから、暗記と記述が出来るようになった方がよいと言えます。
また、関連資格保有者には科目の一部免除制度があります。例えば、すでに消防設備士乙種5類を持っている場合、乙種6類の「消防関係法令の共通部分」と「基礎的知識」が免除になります。
実技試験
消防設備士乙種6類の実技試験は全5問、写真を見て設問に記述または選択肢から選んで記述回答する試験です。(別名で鑑別とも言う)
全5問中3問正解しないと不合格になります。
実技試験(鑑別)とは名称だけで、筆記試験になっています。 「実技」と聞くと消火器の操作が必要なように聞こえますが、実際は「筆記」も「実技」も座学の試験です。
多くの場合、消火器本体や部品の写真を見て名称を記述する問題です。また、写真の消火器にどのような特徴があるかを記述するパターンもあります。
実技試験(鑑別)は暗記で乗り切れないことが特徴です。理由としては「記述回答」が求められることにあり、写真の消火器について名称や特性が思い浮かんだとしても、正しく記述できなければいけません。
4. 消防設備士乙種6類に合格するためのコツ
消防設備士乙種6類に合格するためのコツは以下の通りです。
・過去問を使って繰り返し勉強する
・実技試験の記述はミスがないよう正確に書く
・わからない場合でも部分点を狙う
消防設備士乙種6類の筆記試験は暗記することや出題パターンを把握することがコツです。とりわけ、筆記試験では有効な方法と言えるでしょう。
これを実現するには「過去問」を繰り返し解くことがとても有効です。なかには過去問を一夜漬けで勉強してから挑む人もいるほどですから、過去問を通して暗記と出題パターンを把握するのがおすすめです。
一方、実技試験(鑑別)は1問あたりの配点が高いため、ミスは命取りになります。 そして、試験では空白がないようにしましょう。筆記試験は選択式のため必ず回答し、実技試験では何か記述しないとゼロ点になってしまいます。したがって、実技試験のパートはとにかく慎重に、落ち着いて取り組むことがコツです。
例えば、特性が分かるのに名称が出てこないといった時は、諦めるのではなく、分かる範囲の言葉で回答すれば部分点がもらえるかもしれません。
まとめ
消防設備士乙種6類は、消防設備士の登竜門と言われるだけあってとても人気がある資格です。合格率は40%程度と高く、過去問を使ってしっかり対策すれば十分に合格できるでしょう。
試験に挑戦する際には、試験の内容や得点配分などをよく理解したうえで勉強するのがおすすめです。