消防点検コラム

消防法

2021.04.14

【店舗管理】避難訓練が義務付けられてる施設について

防火管理の上でかかせない避難訓練。
毎年9月の防災の日にあわせて避難訓練を行う幼稚園・小学校も多く、
避難の時の鉄則「お・か・し(お・か・し・も)」や、
防災頭巾を被って机の下に隠れる事を思い出す方も多いのではないのでしょうか。

実は避難訓練は建物の用途等により、
年間で実施する回数や内容が決められています。

今回は避難訓練について解説します。

【目次】

1. 避難訓練は義務!対象となる施設は?
2. 避難訓練の種類・頻度・回数
3. 避難訓練実施までの流れ

1. 避難訓練は義務!対象となる施設は?

消防計画に基づいて避難訓練の実施が必要

建物の規模や用途等、一定の基準を満たした建物は防火管理者を選出する必要があります。
(消防法第8条)

この防火管理者の大切な業務として「消防計画の作成」があり、
その計画に基づき、消火、通報及び避難の訓練を定期的に実施することが義務付けられています。

消防計画に基づく避難訓練等の実施がない場合や、
その他防災管理上必要な業務を怠った場合は、
1年以上の懲役もしくは100万円以下の罰金という罰則もあります。

義務だから、罰則があるからしなければいけないということではなく、
消防計画は万が一が起きてしまった時に、
建物利用者が全員無事に避難を完了できるよう、
それぞれの役割やルート等を再確認するためのものです。

実際、東北にある大手ショッピングモールでは、
普段からの避難訓練をしっかり実施していたことが幸いし、
東日本大震災で大きな被害を受けながらも、
死者を出すことなく避難を完了することが出来たというエピソードもあります。

※防火管理者/消防計画について詳しく知りたい方はこちら

避難訓練が義務となる”防火対象物”

避難訓練が義務となる防火対象物は、
ざっくり言うと「不特定多数の人の出入りがある建物」が多く該当します。
詳細は以下のとおりです。

具体的用途例具体的用途例
(1)劇場、映画館等(6)(1)老人デイサービスセンター
公会堂、集会場(2)更生施設
(2)キャバレー等(3)保育所等
遊技場等(4)児童発達支援センター等
風俗営業店舗(5)ロ(5)以外の障害者支援施設
カラオケボックス等(7)学校等
(3)待合、料理店等(8)図書館、博物館等
飲食店(9)上記・熱気浴場
(4)物品販売店舗、展示場イ以外の公衆浴場
(5)旅館、ホテル等(10)停車場等
寄宿舎、共同住宅等(11)神社、寺院等
(6)(1)病院(12)工場、作業場
(2)有床診療所映画スタジオ等
(3)(1)(2)以外の病院、有床診療所等(13)車庫、駐車場
(4)無床診療所等飛行機等の格納庫
(1)特別養護老人ホーム等(14)倉庫
(2)救護施設(15)(1)~(14)以外
(3)乳児院(16)網掛けを含む場合
(4)障害児入所施設イ以外の場合
(5)障害者支援施設

※防火対象物について詳しく知りたい方はこちら
※当てはまるかどうか不明な方は全国消防点検.comへお問い合わせください。

2. 避難訓練の種類・頻度・回数

避難だけじゃない?3つの訓練が必要!

実は一口に避難訓練とは言っても、
厳密に言うと3種類の訓練があり、複合的に行われていることも多いです。

①消火訓練

消火器や屋内消火栓設備の使い方を覚えたり、
実際に使用する訓練のこと。

場所がなく放射訓練を行うのが難しい場合は、
最寄りの消防署にある訓練用の消火器や屋内消火栓設備の放水訓練が出来る場合も。
※設備により対応できる消防署、できない消防署があるため、最寄りの消防署への相談が必要です。

②通報訓練

119番通報の方法や放送設備の使い方を覚えます。
内線電話を活用してロールプレイング的に電話の応答を行ったり、
非常ベルの操作、非常放送の練習等を行います。

③避難訓練

階段などあらかじめ決めておいた避難経路を使って、
安全な場所まで避難を行います。
その他、避難器具の使い方などを覚えます。

この3つの訓練は個別に行う事も可能ですが、
消防計画に定めた回数をこなすためには、
年6回~など回数が増えてしまうため組み合わせて行われる事が多いです。

会社の人数や規模によって変わる?必要な回数

建物が特定防火対象物に該当するかどうかで回数が変わります。

自衛消防隊訓練必要回数
訓練の種類必要な訓練実施回数
特定防火対象物(上表黄色の部分)非特定防火対象物(それ以外)
消火訓練年2回以上消防計画に定める回数
避難訓練年2回以上消防計画に定める回数
通報訓練消防計画に定める回数消防計画に定める回数

※非特定防火対象物(事務所、向上、倉庫、学校、神社など)の場合は、
「消防計画に定める回数」となっていますが、
最低でも年1回以上実施する必要があります。

※どちらに該当するか不明な方は全国消防点検.comへお問い合わせください。

3. 避難訓練実施までの流れ


それでは実際の訓練実施までの流れを追ってみましょう。

①訓練の計画を立てる

防火管理者を中心に、訓練の内容や役割分担を決めていきます。

・出火場所の設定
・出火時間の設定
・災害/火災発生時の役割分担
(通報、初期消火、お客様の誘導役・・・etc.)
・避難経路
・避難場所

などあらゆる事態を想定して、
非常時の対応を決めておく事が大切です。

②日程が決まったら消防機関へ通知

特定用途防火対象物で訓練を実施する場合は、
あらかじめ消防機関へ連絡する必要があります。

消防法施行規則 第3条第11項
前項の防火管理者は、同項の消火訓練及び避難訓練を実施する場合には、
あらかじめ、その旨を消防機関に通報しなければならない。

「消防訓練事前通知書」を作成して、消防署へ提出をします。

③訓練実施・記録の作成

特定/非特定を問わず、訓練を実施した場合は、
「消防訓練実施記録書」を作成し、3年間保存する必要があります。
(こちらはとくに届け出は必要ありません)

訓練実施後、避難にかかった時間はどうだったか、
避難経路に問題はなかったか、改善すべき点はあるか…など、
様々な観点から訓練を振り返り、検討し、消防計画の見直しを行います。

避難訓練実施の必要のある店舗管理者様へ

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