消防点検コラム

COLUMN

2020.11.10

蓄電池設備の点検は法令で定められています!

蓄電池設備の法定点検について

蓄電池設備とは、なんらかの原因で停電した場合に非常用電源として蓄電池から電力を停止することなく供給するシステムです。
地震や水害などの影響で停電してしまうと都市機能や消火設備などがマヒしてしまうため、蓄電池を設置して停電に備えています。

太陽光発電システムとの併設であればより災害に強いシステムとして機能します。電力会社の電力網から直接電気を貯めていくことができるので、停電時にも家全体で電気を長時間使いやすく、また電気代を節約しやすくなるという利点があります。

この蓄電池設備ですが、永遠に稼働するものではなく耐用年数があり、定期的なチェックが必要です。(リチウムイオンを使用した家庭用蓄電池については、検査・報告義務はありません。 ただし、鉛蓄電池、非常用電源、容量が20KWhを超える蓄電池は検査とその報告が必要です。)

そのため以下の3つの法律により法定点検が義務付けられています。

電気事業法
…600V以上の電力を受電する蓄電池設備に対して実施し、
保安規定による期間は関係者が日常巡視や日常点検、定期点検、精密点検を行う必要があります。

点検報告は不要です。

建築基準法
…特定行政庁が指定する蓄電設備に対し、建築設備定期検査業務基準仕様書で定められた基準により約半年から1年のスパンで検査、検査報告書を提出する必要があります。

検査員は建築士、または建築設備検査資格者が行わなければなりません。

消防法
…消防用設備の非常電源が点検の対象です。

建物の延べ床面積や消防長、消防署長の指定などによる3つの区分対象に応じて、消防設備点検資格者か蓄電池設備整備資格者が機器点検、総合点検を行います。

機器点検は半年に一度、総合点検は一年に一度のスパンで点検します。

すべての法律に共通することとして、
選任された電気主任技術者」が監督し、その監督のもとで有資格者が点検を実施する決まりがあります。

蓄電池設備の点検、報告を怠るとどうなる?

蓄電池設備の寿命は一般的に15~20年と言われています。

もちろん使用環境や室温、湿気、換気の有無、充電電圧の管理有無などで蓄電池の寿命が短くなってしまうこともあります。

もし蓄電池設備の点検、報告を怠り蓄電池を放置するとどうなってしまうのでしょうか?

緊急時に発電機が動かせない、非常用照明が点かない

・蓄電池の周囲温度が使用範囲外である(温度が10℃高くなると蓄電池の寿命は半減)
・停電回復後の回復充電が十分に行われていない
・寿命末期(充放電のサイクル回数)
・不良蓄電池が混入している
などの理由で、緊急時に本来の性能を発揮できなくなる可能性もあります。

発熱の恐れがある

端子、接続板、接続線、ナットなどが発熱する場合、過大電流が流れている、締付け不良、接触不良などの原因が考えられます。

この場合はボルトやナットの増し締め、接続板、接続線の電流容量不足などの対策が有効的です。

放置するとどんどん加熱され蓄電池の破損、機能停止につながりますので早めの対処を推奨します。

火災発生の恐れがある

経年劣化により蓄電機内の電解液が漏れることで漏電が発生し、まれに火災につながることがあります。

蓄電池はメンテナンスをしなくても非常時に自動的に作動するものではありませんので、
適切なメンテナンスや点検を実施しないと故障や事故につながることがあります。

蓄電池設備の点検には資格が必要

蓄電池設備の点検には資格が必要です。

電気事業法では点検者は無資格でも構いませんが、選任された電気主任技術者の指導、監督のもとで作業しなければなりません。

消防法では蓄電池設備整備資格者と消防設備点検資格者などが点検可能となっています。

蓄電池の点検項目と方法

引用:東北電子機器株式会社
http://www.touhokudenshikiki.co.jp/maintenance/

蓄電池の1年点検では制御弁式据置鉛蓄電池の場合、蓄電池本体・整流装置・直流電源装置の3つを点検します。

蓄電池本体

点検項目内容
外観電槽や蓋などの外観にヒビが入っていないかどうか、錆の有無など
電圧浮動充電中の総電圧やの各蓄電池の電圧を所定の機器で計測
表面温度所定の機器で計測
周囲温度所定の機器で室温を計測
接続部チェックトルクレンチでトルク値が正常であるか確認

 

整流装置

点検項目内容
箱,計器,表示灯,スイッチ損傷や汚れの有無確認
内部部品確認汚れや損傷、異音、発熱などの有無確認
電圧チェック交流入力電圧・浮動充電電圧・負荷電圧を所定の機器で計測
電流チェック

出力電流・負荷電流を電流計にて測定

接続部チェック各接続部の錆の有無、緩みの有無、変色などを確認
総合点検盤面直流電圧計を使いチェック

 

直流電源装置

点検項目内容
耐震措置耐震性をもたせるためのアンカーボルトの損傷、変形の有無
保守用具や予備品きちんと完備されているか確認
取扱説明書や銘板の有無書類や銘板、注意ラベル、合格証の有無確認
設置場所確認

換気状況や周囲温度、保有距離(操作、点検、換気面)確認

総合点検停電試験・警報操作・絶縁抵抗の点検

上記の点検を手順通り終え問題がなければ報告書を作成、異常があれば管理者に報告し部品の取り換えなどを勧めます。

蓄電池設備の点検、報告は全国消防点検.comにお任せください

蓄電池は災害時の非常用電源として非常に役に立ちますが、現状、蓄電池を導⼊するにあたり最⼤のネックは設置コストが⾼いという点です。蓄電池の価格は機種や容量によって違いはありますが、4kWhクラスの蓄電池でも設置⼯事費を含めると100万円以上になることが多く、10kWhクラスの⼤容量になると200万円を超える場合もあります。国や各自治体で補助額が1kWhあたり決まっていますので、ご確認ください。

また、蓄電池設備は点検の義務があり、メンテナンスをしないまま使い続けていると蓄電池の寿命を縮める可能性もあり、充放電回数の上限を超えると、交換となります。充放電サイクル回数の限度は、メーカーや商品によって異なり、また設置する場所の温湿度などによっても左右されます。「充放電のサイクル回数」を工夫して減らすことも寿命を伸ばすポイントですね。

全国消防点検.com47都道府県に広がるネットワークで、迅速に現地確認、見積もり作成、有資格者により施工、監督、報告書の作成をおこないます。

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