消防点検コラム

建物内にたくさんあるあの四角いやつの正体とは

火災が発生したときに一番重要なのは、何と言っても初期における迅速な行動です。

避難するにしても、消火活動にしても一番最初の行動が鍵となります。

実際に令和2年度の消防白書によると、火災の原因は下記取扱いの不注意や不始末が7割以上を占めています。

つまり、迅速な行動が、大きな火災を防ぐ重要なファクターということです。

総合盤は大きなビルの至る所に設置されており、火災時の初期活動に大いに役に立ちます。

総合盤はとある3つの消防設備のオールインワンパッケージのため、総合盤としての設置基準はありませんが、建物の至るところに設置されています。

今回は日常でもよく目にする総合盤について詳しく解説いたします。

総合盤とは?

総合盤とは機器収容箱とも呼ばれる、発信機、音響ベル、表示灯の3つからなるボックスのことです。

タイプにもよりますが、現在一般的に多く設置されているものは、非常ボタンとなっている発信機を押すことで音響ベルが作動するというメカニズムです。

火災などの非常事態に簡単に危険を知らせることができるため、状況の把握に一役買っているんです。

設備の特徴

発信機

発信機は、白い縦長のボックスの赤く丸い部分で、真ん中に「強く押す」と書かれたアクリル板があります。

発信機には、P型、T型の2種類がありますが、現在ではP型が主流となっています。

主流のP型にも1級と2級があり、警戒区域の大きさにより設置できる等級が異なります。

設置している建物が大きく、自火報設備がP型の1級を使用しなければならない場合は発信機も同じく1級を使用しなければいけません。

自火報設備がP型の2級を使用している場合は、発信機は1級も2級も使用が可能です。

なかなか見ないT型の場合は、押しボタンではなく設置されている受話器を操作することで火災信号を送信します。

音響ベル

音響ベルは地区音響装置、非常ベルなどさまざまな呼び方がありますが、共通して大音量の音響装置であることは変わりません。

発信機から火災信号が発されると、一度受信機まで情報が伝わり、ベルを鳴らす信号が送られ、音響装置が作動します。

これにより、周囲の警戒区域に危険を知らせ避難を促す役割があります。

非常放送設備を設置しなければいけない大きなビルなどだと、非常放送設備で同様の効果が得られるため、ベルがない総合盤もあります。

表示灯

特別な機能はありませんが、総合盤がどこにあるかを知らせるために赤く光っているランプのことを指します。

もともと表示灯の形状は小さな三角コーンのような飛び出ている形状でしたが、近年では飛び出ていないフラット型や発信機の周りを囲むように光るリング型の商品も発売されています。

リング型の表示灯はデザイン性が上がっただけではなく、突出もしていないので、破損リスクの減少や省スペース化が実現されているのも特徴です。

総合盤の仕組みと構造

総合盤は、火災発生を広く知らせるための設備であり、消火器のように、知識も何もない一般人でも簡単に使用できる品物です。

しかし、世間一般では総合盤がどういうものなのか、建物内でよく見るけど何のためにあるのか、よく分からないというのが現状です。

ここでは、簡単に総合盤の仕組みについて解説いたします。

前述の通り、総合盤は火災信号を送る「発信機」と火災を周囲に伝える「音響ベル」と災害時でもどこに総合盤があるか判別するための「表示灯」とで構成されています。

総合盤は自火報設備のうちの一つで、発信機のボタンが押されると、特定の位置にある受信機に火災信号が送られます。

受信機は発信機からの火災信号を感知した後に、音響ベルを鳴動させる信号を出したり、消火栓のポンプを稼働させたりします。

天井に広く設置されているような感知器からでも火災信号は送信されますが、施設の利用者が能動的に火災信号を送れるのは発信機だけです。

そのため火災を発見した場合に初期消火活動ができない場合でも総合盤の発信機を押すことは非常に重要です。

みなさんもよく利用する建物の総合盤の位置を確認してみてはいかがでしょうか。

総合盤の設置基準

防災設備には安全度を担保するためにも厳格な設置基準が設けられています。

そもそも総合盤は3つの機能が一体化した、便利なボックスです。

なので総合盤に対しての設置基準が無いため、ベルが付属していない商品もあります。

発信機は、有事の場合に誰でも押下できる状態になっていることが重要です。

そのため多くの人の目につきやすく、すぐに操作できる場所に設置することが義務付けられています。

また押しボタンは床か地面から0.8m以上1.5m以内の位置に設置する必要があります。

更には、各階ごとそれぞれで歩行距離50m以下の間隔で設置しなければいけません。

間隔基準は体感だと短めに設定されておりよく見かける理由の一つとなっています。

忘れてはいけないのが、発信機は赤色でなければいけません。

そのため、内装にそぐわないからと言って別の色に塗り替えたりしてはいけません。

音響ベルが付属している場合は、ベルの設置基準にも注意が必要です。

音響ベルには、階ごとに水平距離が25mになるように設置するという基準があります。

発信機と音響ベルで混同しては行けないのが、距離の算定方法の違いです。

発信機は歩行距離で50m以下ごとに設置する必要があり、音響ベルは水平距離で25m以下の間隔で設置しなければいけません。

歩行距離とは、壁などの障害物を避けて該当箇所までたどり着ける距離のことです。

反対に水平距離とは、壁などの障害物を無視して直線的に計算する距離のことです。

地図で例えると、目的地までの距離を道なりで計算するか、出発点と目的地を直線で結んで計算するかといった違いです。

こういった距離の算定方法に違いがあるため、距離の数字が異なっていても多くの場合総合盤のように、音響ベルと発信機を1箇所にまとめて設置することが可能なんです。

設置基準や設置個数などの詳細は建物によっても異なりますので、新しく設置する場合は必ず所轄の消防に確認をとりましょう。

配線関係について

総合盤の配線は受信機と感知器をつなげる中継機のような形で接続する必要があります。

それぞれの総合盤から感知器までの配線が伸びているため、どの感知器が作動したのかと言うのが分かる仕組みになっています。

総合盤から送られている配線は役割によって色が分けられており、現場によって設定された色のルールによって総合盤の配線も行うことになります。

因みに、総合盤から感知器までの配線方式は2心と4心がありますが、増設する可能性がある場合は4心で接続するのが一般的で、総合盤内の発信機に終端抵抗を持ってくるケースが多く見受けられます。

 

使い方

火災を発見した場合は、人命の保護・救助・避難が最重要事項です。

防災のプロ以外でも火災に対して安全のためにアプローチできる手段の一つが、総合盤から火災信号を送ることです。

総合盤に設置されている発信機のボタンを押すことで、火災信号が自火報設備の受信機に届き、早期沈静化に向けたシステムを起動する手助けになります。

ボタン式のため、いたずらの対象になることもしばしばある発信機ですが、強く押すとかかれた部分を押下すると、へこんだままの状態になります。

復旧するためには、ボタンの付近にあるパカッと開閉する別の蓋を開け、その中にあるボタンや突起部分を操作する必要があります。

発信機自体の復旧は以上ですが、ボタンを押した時点で、火災信号が送られてしまっています。

そのため、受信機側の復旧作業も必要となります。

まとめ

日常でよく見るけど、使い方やどんな意味があるのか分からないというのが総合盤の立ち位置でした。

しかし、その中には防災上重要な設備が内包されており、火災発生の初期対応に非常に役に立ちます。

火災を発見した場合は、近くで赤く光っている表示灯を探し、発振器の「強く押す」ボタンを押下しましょう。

押すと音響ベルが作動し、近くの人や建物内の防災設備に火災を知らせることができます。

この機会に使い方を覚え、危険な事態に遭遇した際にしっかりとした判断ができるようにしておきましょう。

 

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