消防点検コラム

消防用設備

2022.11.28

火災報知器が誤作動を起こす原因や対策を徹底解説

火災報知器が頻繁に誤作動を起こして困っている、なぜ火災報知器が誤作動を起こしてしまうのかといったお困りや疑問を持つ人は多いと思います。

 

とくにマンションやビルの管理者である場合は、その責任は非常に大きくなるでしょう。火災報知器は万が一の時に正常に機能しなければ意味がありません。

 

ましてや、頻繁に誤作動を起こしてしまうようでは、緊急時に「どうせまた誤作動だろう」と思わぬ気の緩みを生み出す可能性さえあります。

 

この記事では、火災報知器が誤作動を起こす原因や対処法、誤作動を起こさないようにするために出来ることについて詳しく解説します。

 

 

火災報知器が誤作動を起こす原因

 

はじめに、火災報知器が誤作動を起こす主な原因を見てみましょう。

 

火災報知器が誤作動を起こす主な原因は以下の通りです。
・火災感知器の経年劣化や故障
・受信機の経年劣化や故障
・タバコやバルサン、料理による煙
・天候や気象条件
・物理的な破損
・雨などによる水漏れ
・エアコンの風
・ねずみなどの小動物
・不適切な工事や施工不良

上記の原因について、それぞれ解説します。

火災感知器の経年劣化や故障

 

火災報知器が誤作動を起こす原因としてよくあるのが「火災感知器の経年劣化や故障」です。

 

天井に取り付けてあるような一般的な火災感知器は「熱感知器」と「煙感知器」のふたつに分類されます。

 

熱感知器とは、火災時の温度上昇を感知するもので、感知器内の温度差や熱膨張を利用します。熱感知器は、温度差に反応する「差動式」や、空気の膨張に反応する「空気管式」があります。

 

熱感知器のいずれも、誤作動を防ぐためにリーク孔と呼ばれる空気を逃がすための穴が開いていますが、この穴が長年の埃やチリなどで塞がれることで誤作動や故障を起こしやすくなります。

 

もうひとつの、煙感知器は火災時に感知器内に一定量以上の煙が充満することで作動する仕組みになっています。

 

煙感知器も熱感知器同様に煙の吸込み口に埃やチリが溜まることで誤作動を起こしやすくなります。

 

煙感知器が誤作動を起こす場合「反応が早くなってしまう」パターンと「反応しなくなる」という2つのパターンがあります。

 

前者は誤作動を機会にメンテナンスすることで解決されやすいものの、後者の場合は火災感知器として機能しないため非常に危険と言えます。

 

火災感知器に埃やチリが溜まることで配線がショートして故障することもあるため、長年使用している場合は注意しなければいけません。

 

受信機の経年劣化や故障

 

火災報知器の受信機部分が経年劣化または故障することも誤作動の原因です。

 

火災感知器が異常を感知した場合、その信号を制御している受信機へ信号が送られます。この受信機が埃や湿気などによって故障していることでも誤作動が起こります。

 

とくに火災受信機は地下室や制御室といった湿気が溜まりやすい場所に設置されていることが多く、基盤が結露してショートしてしまうことがよくあります。

 

火災報知器の誤作動は、感知器だけが問題視されがちですが、受信機が原因になっている場合もあることを覚えておきましょう。

 

タバコやバルサン、料理による煙

 

タバコやバルサン、料理などで生じる煙が原因で火災報知器が誤作動を起こすこともあります。

 

この場合は「煙感知器」がタバコやバルサンなどから出る煙を、火災の煙として判断し誤作動を起こします。

 

煙に反応するという意味では誤作動とは言えないかもしれませんが、煙感知器は火災ではない煙にも反応するため誤作動が起きやすいとされています。

 

一般的に、煙感知器は煙が生じやすいキッチンなどには設置されませんが、タバコやバルサン、料理から出る煙が一定量以上になると火災報知器が作動する可能性があることを覚えておきましょう。

 

同時に、リーク孔によって少量の煙は排出されるため、すぐに作動することはないこと、さらにリーク孔に埃が詰まらないようにすることも覚えておいてください。

 

天候や気象条件

 

火災報知器が誤作動を起こす原因には「天気や気象条件」も挙げられます。

 

具体的には、台風や雨といった低気圧の時に起こりやすく、大気圧が下がった時に熱感知器が誤作動を起こしやすくなります。

 

誤作動を起こすメカニズムとしては、気圧が低下した時に熱感知器の空気室が引っ張られるようにして膨らむことで報知器が作動します。(一定の空気量を超えるとON状態になる仕組み)

 

ただし、このような現象が起きる背景には「リーク孔の詰まり」があるため、天候や気象条件は間接的な原因と言えるかもしれません。

 

物理的な破損

 

火災報知器が誤作動を起こす原因には物理的な破損もあります。

 

例えば、天井を清掃中に火災感知器の表面を変形させてしまったり、内部の接点がONになるほどの強い衝撃を与えてしまったりするケースです。

 

とりわけ、煙感知器のドーム部分が凹むようにして変形してしまうと、リーク孔が潰れたり、すぐに煙が充満して誤作動を起こしたりします。

 

強い衝撃の事例としては、本棚や食器棚といった大型家具を運び入れる引っ越しの際にぶつけてしまうケースや、室内でゴルフスイングの練習中にぶつけてしまうケースなどがあります。

 

多少の凹みなら平気と思い込んでいても、わずかな煙で誤作動を起こすことも考えられますので、物理的な破損には注意しましょう。

 

雨などによる水漏れ

 

火災報知器が誤作動を起こす原因として雨や水漏れも挙げられます。

 

雨や上階からの水漏れが原因となって、火災感知器の配線や端子部分がショートすることで誤作動を起こします。

 

とくに天井階や屋根裏で配線を剝き出しの状態で設置しているようなケースは注意が必要で、室内まで浸透してこない(人が気付かない)水分が火災感知器や配線部分に留まる可能性があります。

 

また、雨や水漏れによって水気を帯びた埃が付着することも誤作動の原因になるため、あらゆる水気に注意しなければいけません。

 

エアコンの風

 

火災報知器が誤作動を起こす原因としてエアコンの風も考えられます。

 

消防法ではエアコンの吹き出し口から火災感知器までの距離は1.5メートルと定められています。

 

この理由は、エアコンの風によって正確な動作を妨げてしまうこと、埃が溜まることを防ぐ、結露を防ぐ、そして急激な温度差によって熱感知器が作動することを防ぐ目的があるためです。

 

既定の距離が取られていたとしても、エアコンの風が感知器に直接あたるような場合は、埃や温度差などに注意が必要です。

 

とくに、エアコンの風が人に直接当たらないようにする「エアコン風よけカバー」や「風よけフラップ」を取り付けている場合は気をつけましょう。

 

参考:住宅用火災警報器を今すぐ設置しましょう!愛媛県庁

 

ねずみなどの小動物

 

火災報知器が誤作動を起こす原因には、ねずみなどの小動物も考えられます。

 

とくに、一般家庭でも住みつく可能性が高いネズミやハクビシンといった小動物が火災感知器の配線や回路をかじってショートしてしまうことで誤作動が起こります。

 

屋根裏や天井裏に設置してある配線をかじられると大掛かりな修理が必要になるため、誤作動を防ぐための対策以前に、小動物が住みつかないようにする対策が求められます。

 

不適切な工事や施工不良

 

火災報知器が誤作動を起こす原因には、不適切な工事や施工不良もあります。

 

火災感知器の配線がいい加減だった、しっかりはんだ付けがされていなかった、必要以上に感度が高い感知器が設置されていたなど様々です。

 

施工不良については素人では判断できないため、施工実績が豊富な会社や、長年の評判がある会社に依頼する必要があります。

 

火災報知器が誤作動を起こした時の対処法

 

次に、火災報知器が誤作動を起こした時の対処法は以下の通りです。

・停止ボタンや引き紐
・電池交換
・119番への通報

停止ボタンや引き紐

 

火災報知器が誤作動を起こした際には、火災受信機の制御盤にある停止ボタン(非火災時に警報を止めるボタン)や、感知器に付いている「引き紐」を引いて警報を止めます。

 

電池交換

 

火災感知器の種類によっては電池切れの間際に警報を鳴らすタイプもあります。非火災時に警報が作動する際は電池交換をするとよいでしょう。

 

一般的に感知器の耐久寿命年数は10年ですので目安にしてください。

 

119番への連絡

 

一般家庭や集合ビルなど、環境によっては火災警報器が作動した時点で、自動的に最寄りの消防署に通報される自動通報装置が付いている場合があります。

 

自動通報装置が付いている場合に誤作動が起きたら、119番通報で非火災の旨を伝えましょう。自動通報装置が付いていない場合でも、近隣住民が通報しているかもしれないので、非火災であることを伝えるべきです。

 

火災報知器が誤作動を起こさないようにすべきこと

 

火災報知器が誤作動を起こさないようにするためにすべきことは以下の通りです。
・定期的な点検
・蓄積機能付きの火災報知器を設置する
・火災感知器の種類を見直す

上記3つについて解説します。

 

定期的な点検

 

火災報知器が誤作動を起こさないようにする最も基本的な対策が定期的な点検です。感知器および受信機の動作確認をはじめ、外観点検、そして各装置の耐用年数や型式確認をしましょう。

 

蓄積機能付きの火災報知器を設置する

 

火災報知器が誤作動を起こさないようにするためは「蓄積機能付きの火災報知器を設置する」ことをおすすめします。

 

蓄積機能付きの火災報知器とは、感知器または受信機が火災信号を発信または受信してから一定時間が経過してから作動するものです。

 

感知器または受信機に蓄積機能が搭載してあれば、誤作動を防ぎやすくなります。なお「蓄積機能付の受信機」と「蓄積機能付の感知器」の組み合わせは機能しないので注意しましょう。

 

火災感知器の種類を見直す

 

火災報知器の誤作動を防ぐためには感知器の種類を確認しましょう。例えば、煙が生じやすい喫煙室や台所に煙感知器が設置してあると誤作動が起こりやすくなるため、熱感知器に変えるべきです。

 

火災感知器の種類については、定期的な点検と合わせて見直しすることをおすすめします。

 

まとめ

 

火災報知器が誤作動を起こすのには必ず原因があります。まずは、主な原因を把握し、それぞれの環境に合った対策を講じるようにしましょう。

 

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