COLUMN
2020.10.13
延焼を防ぐ!防火シャッターの設置基準と点検項目
【目次】
1. 防火シャッターとは
2. 防火シャッターの設置基準
3. 防火シャッターの耐用年数と価格
4. 防火シャッターはどんなところを点検するの?
1. 防火シャッターとは
防火シャッターとは、防火機能のついたシャッターのこと。
大きな建物の「防火区画」と呼ばれる耐火構造の壁や扉で囲われた場所や、
エスカレーター、階段など他の階につながっている延焼しやすい場所に設置されています。
煙探知器がついており、煙に反応して火事を察知すると、
自動でシャッターがおりる仕組みになっています。
停電が発生してもきちんとシャッターが降りるように
電気やモーター可動ではなく、シャッター自体の重さで開閉させるため
きちんと普段から点検・保守をしておくことで
シャッターで炎を閉じ込め、延焼を防ぎ、避難の時間も確保してくれます。
また、万が一、避難中に防火シャッターの内側に閉じ込められてしまった場合にも、
近くに非常扉を設置している事がほとんどなので、そこから脱出が可能。
防火、防災の面ではかかせない設備なんです。
2. 防火シャッターの設置基準
防火シャッターの設置基準は、「建築基準法」で定められています。
建築基準法で検査報告が義務付けられているのは「特定建築物」の「防火設備」です。
防火設備が必要な建物は、地域及び広さで規定されていて、
「防火地域」もしくは「準防火地域」に分けられます。
都市計画法第9条で定められていますが、
ざっくり、街の中心部や商業施設などが防火地域。
その周りが準防火地域というケースが多いですね。
その他、建物の階数、延べ面積などから防火設備の設置が必須かどうか判断をします。
※分類が大変細かいので、詳細は全国消防点検.comへお問い合わせください。
過去には防火シャッターのよる事故も・・・
2004年6月、防火シャッターに小学校2年生の男の子が、
降りてきたシャッターに首をはさまれる事故が発生しました。
この事故を受け、防火シャッター等の防火設備により人が挟まれるなどの重大な危害を防止するため、
翌年12月1日より閉鎖作動時の危害防止機構等の設置が義務化。
現在はシャッターが障害物を察知すると、挟んでしまわないよう、
開閉自体をストップするようになっています。
3. 防火シャッターの耐用年数と価格
防火シャッターの設置は、1箇所あたり約12万円~が目安となります。
耐用年数は一般的な重量シャッターの設計耐用年数を15年相当としていて、
耐用回数(シャッターをどれほど開け閉めしたかの回数)を10,000回としているので、
1日あたり約2回(開店/閉店)×365日=730回、定休日等も考慮して15年という計算ですね。
※製造メーカーにより若干異なるため、あくまで一般的な耐用年数です。
ただ、大切なのは耐用年数に関わらず、設置後1年でも2年でも、
「いざという時にきちんと機能をするか」です。
・防火シャッターがきちんと機能するか
・損傷などを早期に発見して正しくメンテナンスする
設置費用に点検費用にと、コストがかさむように感じるかもしれませんが、
メンテナンスを怠ったばかりに、火災が発生し、防火シャッターが機能せずに、
想像以上の被害を出してしまった、では困ります。
また、普段からのメンテナンスが行き届いていることで、
防火シャッターが寿命を迎えるその日まで正しく機能することも期待でき、
メンテナンス不足のせいで交換しなきゃいけないリスク等も考えると、
結局、「コスパが良いね」なんてお声が多いのも事実なんです。
4. 防火シャッターはどんなところを点検するの?
2013年の福岡市のある診療所で火災が発生し、その際、防火扉があったのに作動せず、炎と煙が広がって多くの死傷者が出てしまいました。
この事故をきっかけに、2014年に建築基準法が改正され、2016年からは防火シャッターをはじめとする防火設備を、一級建築士、二級建築士、防火設備検査員のいずれかに依頼して点検してもらいます。
そして、定期的な検査結果を特定行政庁に報告をするよう義務付けられました。
点検項目としては、主に以下があげられます。
・感知器作動時にきちんと連動するか
・防火シャッターが下まで閉まり切るか
・内部の劣化損傷
・危害防止装置が作動するか
実際に装置を作動させ、いざという時に正しく機能するかどうかを点検します。
この義務を怠り、特定行政庁からの是正命令を受けたにもかかわらず、それに違反した場合は、3年以下の懲役、300万円以下の罰金となります。
よくあるお問い合わせ:防火シャッターのバッテリー交換
全国消防点検.comへ寄せられる防火シャッターについてのお問い合わせで、
点検のご依頼の次に多いのがこのバッテリーの交換についてです。
防火シャッターに連動中継機と呼ばれる装置がついているのですが、
停電が起こった場合、この連動中継機がバッテリーにためた電気を使って危害防止装置を動かすので、
このバッテリーを交換しておかないと、火災時におりてくるシャッターに気づかず、
避難する人が下を通っていても危害防止装置が動かず、はさんでしまう危険性があります。
そのため、すぐに目に付く手動閉鎖装置に次回電池交換時期のラベルが貼り付けてあるんです。
もし、交換時期を過ぎてしまって交換されていない場合は手動閉鎖装置のランプが点滅・点灯するので、
「電池の交換時期がもうすぐくるんだけど、どうしたらいいの?」
「手動閉鎖装置のランプがチカチカしているんだけど、故障?」
なんて問い合わせが、全国消防点検.comにはたくさん来ています。
バッテリーの耐用年数は、シャッターの15年に対して4〜5年。
ビルのオーナーや管理担当者は資格者に依頼して定期点検を行い、
その後特定行政庁に報告する必要があります。
防火シャッターの点検は全国消防点検.comにご相談ください
全国消防点検.comでは、防火シャッター等の点検をお手伝いしています。
防火シャッターに限らず、
消防点検や消防用設備の設置など幅広いご相談が可能です。
「何をどうしていいのかもわからない」という場合にも、
現状をお伺いしながら、必要な点検等についてのご説明・ご相談も承っております。
建物を安心、安全にご使用頂けるよう、
まずはお気軽に全国消防点検.comへご相談ください。