消防点検コラム

消防法

2023.01.27

不燃材料とは?一覧や防炎との違い、法令について解説

消防法や消防点検などに触れていると「不燃材料(ふねんざいりょう)」という言葉を耳にすることがあると思います。

不燃材料は建物の内装に用いられる建築材料のひとつで、建築基準法によって様々な材料が指定されています。

同時に、消防法でも不燃材料の使用が義務付けられている建物が決められており、建物管理者は不燃材料やそれに関連する法律についてよく理解いておくことが求められます。

この記事では不燃材料について、その一覧や法律上の定義、さらには不燃材料が義務付けられている防火対象物などについてわかりやすく解説します。

不燃材料とは

不燃材料とは、建築基準法が定める防火材料のひとつです。防火材料には、不燃材料の他に、準不燃材料と難燃材料があり、建築基準法によって合計3つの防火材料に分類されています。

不燃材料をはじめとする防火材料のいずれも、一般的な建築材料と比較して発火が遅いという特徴があります。

加えて、変形や融解、亀裂といった損傷が起きにくく、煙や有毒ガスが発生しないことも特徴です。

不燃材料が用いられる目的としては、火災被害の抑制、防火対策、そして難燃化などが挙げられます。

不燃材料は建築基準法に基づく告示で定められた材料、または国土交通省大臣によって個別に認定された材料があります。(不燃材料の一覧は後述)

不燃材料については、具体的な材料は建築基準法が定めている一方、不燃材料を使った建築物については消防法が関係するため、建築基準法と消防法のふたつを理解することが求められます。

防火材料とは

不燃材料は「防火材料」のひとつです。防火材料は不燃材料、準不燃材料、そして難燃材料の3つがあり、いずれも建築基準法の防火認定を受けた材料が該当します。

防火認定については建築基準法第百八条の二で以下のように定められています。以下3つの要件を満たすものだけが防火認定を受け、防火材料として認められるようになっています。

・一燃焼しないものであること。
・二防火上有害な変形、溶融、き裂その他の損傷を生じないものであること。
・三避難上有害な煙又はガスを発生しないものであること。

防火認定を受けた防火材料のなかで、さらに「性能を発揮する時間の制限」によって不燃材料、準不燃材料、そして難燃材料のいずれかに分類されます。

それぞれの時間の制限については次で詳しく解説します。

引用:建築基準法第百八条の二

防火材料の分類

不燃材料、準不燃材料、そして難燃材料の3つに分類される防火材料は、性能を発揮する時間によって以下のように分類されます。

不燃材料加熱開始後20分間
準不燃材料加熱開始後10分間
難燃材料加熱開始後5分間

従って、不燃材料とは、加熱開始後20分間にわたって燃焼しないもので、有害な損傷がなく、なおかつ煙やガスを発生しないものということが言えます。

不燃材料の一覧

不燃材料は加熱後20分間にわたり、先述した防火認定の要件を満たす材料のことです。建築基準法に基づく告示では以下の17種類が不燃材料として認められています。

・コンクリート
・れんが
・瓦
・陶磁器質タイル
・繊維強化セメント板
・ガラス繊維混入セメント板(厚さ3ミリメートル以上)
・繊維混入ケイ酸カルシウム板(厚さ5ミリメートル以上)
・鉄鋼
・アルミニウム
・金属板
・ガラス
・モルタル
・しっくい
・石
・せっこうボード(厚さ12ミリメートル以上、ボード用原紙の厚さが0.6ミリメートル以下)
・ロックウール
・グラスウール板

上記17種類の不燃材料に加えて、個別試験に合格し、なおかつ国土交通大臣が認定すれば、不燃材料として認められるケースもあります。

例えば、建築資材メーカーが独自に開発した材料で、それが個別試験に合格し、大臣が認定すれば上記17種類に該当しなくとも不燃材料として使用可能になる訳です。

実際に、ある建築資材メーカーは木材でありながら不燃材料または準不燃材料として認められる製品を開発販売しており、木材であっても不燃材料および準不燃材料として使えるケースもあります。

一方、個別試験および性能試験はコーンカロリーメータと呼ばれる防火材料の性能評価機器を用いて厳密に評価されることや、不燃材料として使用できるサイズや重量なども制限されるため、ハードルは高いとされています。

参考:不燃材料を定める件建設省告示第千四百号

準不燃材料の一覧

準不燃材料は以下のように告示されています。(不燃材料は準不燃材料を兼ねているため、以下の一覧に含まれている)

・不燃材料
・厚さが9ミリメートル以上のせっこうボード(ボード用原紙の厚さが0.6ミリメートル以下のものに限る。)
・厚さが15ミリメートル以上の木毛セメント板
・厚さが9ミリメートル以上の硬質木片セメント板(かさ比重が0.9以上のものに限る。)
・厚さが30ミリメートル以上の木片セメント板(かさ比重が0.5以上のものに限る。)
・厚さが6ミリメートル以上のパルプセメント板

参考:準不燃材料を定める件〔平成12年5月30日建設省告示第1401号〕

難燃材料の一覧

難燃材料は以下のように告示されています。(不燃材料および準不燃材料は難燃材料を兼ねているため、以下の一覧に含まれている)

・不燃材料
・準不燃材料
・難燃合板で厚さが5.5ミリメートル以上のもの
・厚さが7ミリメートル以上のせっこうボード(ボード用原紙の厚さが0.5ミリメートル以下のものに限る。)

参考:難燃材料を定める件建設省告示第千四百二号

防火材料の認定コード一覧

不燃材料をはじめとする防火材料は「認定コード」と呼ばれるアルファベットの組み合わせで管理されています。

不燃材料かどうかを見極める際に役立つかもしれませんので、参考程度に知っておきましょう。

防火材料の名称認定コード
不燃材料NM
不燃材料(外部仕上げ用)NE
準不燃材料QM
準不燃材料(外部仕上げ用)QE
難燃材料RM
難燃材料(外部仕上げ用)RE

例えば、ある建築材料に「NM-****」と記載されていれば、それは不燃材料であることがわかります。(****部分は数字)

また「RM-****」の記載がある場合は、難燃材料であることから不燃材料として用いることはできません。

このように「NM-****」といったコードと数字の組み合わせは「大臣認定番号」または「認定番号」と呼ばれ、防火材料の識別に用いられています。

不燃材料の使用が義務付けられる防火対象物

不燃材料の使用が義務付けられている主な防火対象物は以下の通りです。これらの防火対象物の壁、天井、柱、扉以外の内装には不燃材料を使わなければいけません。(除外規定あり)

・劇場、映画館、演芸場又は観覧場
・公会堂又は集会場
・キャバレー、カフェー、ナイトクラブその他これらに類するもの
・遊技場又はダンスホール
・風俗営業施設
・カラオケボックス等
・待合、料理店等
・飲食店
・百貨店、物品販売店、展示場等
・旅館、ホテル等
・病院、診療所等
・特別養護老人ホーム等
・保育所、障害者支援施設等
・幼稚園等
・蒸気浴場、熱気浴場等
・映画スタジオ、TVスタジオ

上記に加えて「11階を超える高層建築物」そして「地下街および準地下街」も不燃材料を使うことが義務付けられています。

不燃材料の使用について注意すべき点として、各市町村で定められている条例も考慮しなければいけないことがあります。

例えば、消防法では不燃材料を用いなくてもいいはずなのに、町の条例で不燃材料を用いなければいけないというケースも考えられます。

従って、不燃材料を用いるかどうかについては、建築担当者や消防点検の専門家、さらには行政担当者と前もって協議することが求められます。

参考:消防法施行令第四条の三

不燃材料を用いるメリット

不燃材料を用いることは、火災被害を抑えることだけでなく、建築物に関連する法律の緩和措置や保険料優遇といったメリットがあることを知っておきましょう。

建ぺい率の緩和

不燃材料を用いることで「建ぺい率の緩和」が受けられる可能性があります。2019年の建築基準法改正によって、不燃材料を用いた耐火建築物と延焼防止建築物の場合、10%建ぺい率の緩和が受けられるようになりました。

建ぺい率の緩和が受けられることで、容積率の範囲内で土地を活用できるようになります。つまり、同じ土地や建物であっても部屋数の増加や部屋の広さ拡大など、活用方法の幅が広がるということです。

火災保険の減額

不燃材料を用いた防火性能が高い建物の場合、火災保険料を減額できる可能性があります。火災保険を取り扱う保険会社は「建物の構造等級」を定めており「省令準耐火構造」に認定されることで火災保険料が安くなるかもしれません。

とりわけ、火災保険料が高い木造建築においては、保険料の差が大きくなる傾向があります。

不燃と防炎の違い

不燃材料と混同しやすい言葉に「防炎」があります。不燃と防炎は「燃え方の違い」と「法律上の違い」2つがあることを知っておきましょう。

不燃とは「燃え抜けない」ことを指しています。具体的には、不燃材料に火を付けた際に、火が裏面まで貫通しないことです。

これに対し、防炎とは「燃え広がらない」ことを指しています。防炎材には自己消火性があり、容易に着火することなく、焦げる程度で延焼しません。

不燃は建築基準法で定められていることで、国土交通省が管轄であるのに対し、防炎は総務省消防庁により消防法で定められています。

つまり、不燃材料は国土交通省が建築基準法で定義している用語で、燃え抜けない材質(防火材料)を指していると解釈できます。

このふたつは混同しやすいため、不燃と防炎の違いを知っておくことをおすすめします。

まとめ

不燃材料は、準不燃材料や難燃材料といった防火材料のひとつであることがわかったと思います。

また、人が多く集まるような施設で、火災時に人命危険が想定されるような建物では、不燃材料を用いることが義務付けられています。

一方で、不燃材料を用いる必要があるか否かについては、建築基準法や消防法、さらには市町村毎に異なる条例も考慮しなければいけません。

従って、不燃材料に関することは建築家や行政、そして消防点検の専門家に相談するようにしてください。

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