消防点検コラム

【停電後は要注意】通電火災とは?原因を把握し、正しい対策を。

近日の火災に関するニュース

日本では毎年のように大地震や台風などの風水害などの自然災害による停電からの復旧によって通電火災が発生したことがニュースとなり、出火防止対策に関心が集まっています。そのため増えているのが「通電火災」です。

通電火災とは停電後に電気が復旧したときに起きる火災をいいます。
最近起きた通電火災の実例としては…

・地震の揺れにより電気配線の被膜に傷がつき、通電後に配線がショートして火災発生
・通電時に火花が発生し漏れたガスに引火
・水害時はコンセントに水分が付着するためトラッキングが発生し発火
・分電盤が濡れたことに気づかす、通電後にショートして出火

など、地震や水害などの災害の後に思わぬ原因で火災が発生しています。

通電火災は地震や水害が起きたその瞬間に起きるものではなく、
住民が避難した後の無人の建物から発生するため気付きにくいのが特徴。

知らないうちに自宅が炎上し、周囲の建物に延焼する可能性があると思うと本当に恐ろしいですね。

通電火災とは通電が再開される際に発生する火災

アイロン

通電火災は通電が再開されてから発生するもの
出火の原因は電気ストーブやアイロンに可燃物が触れていた、
電気コードが損傷、断線していた、水没した家電を使用したなど原因はさまざまです。

通電火災は災害発生時からタイムラグがあるため注意を怠らないようにしましょう。
水害では屋内配線や家電製品がダメージを受けることも多々あり、長時間経過してから突然出火することもあります。

地震後も家電の電気コードに傷がないかブレーカーの損傷や水没の有無をしっかり確認する必要があります。

通電火災の原因

コンセント

では、通電火災が起きるメカニズムについてご説明しましょう。
よく聞くトラッキング火災やショートは以下のようなメカニズムで起こります。

トラッキング

コンセントなどの金属製金具部分に水分が付着し、
さらに通電することによりプラグ両極間に火花放電が発生します。

この現象をトラッキング現象と呼びます。
さらに火花がプラスチックでできたコンセント部分に引火すると、火災が起こる可能性があります。

また、コンセントに直接水分が付着しなくてもコンセントとプラグの隙間にホコリが溜まり、
そのホコリが空気中の湿気を吸収することで、漏電し発火することも。
冷蔵庫やテレビ、洗濯機などの大型家電は常にコンセントを刺しっぱなしにすることが多く、
コンセントが家電や家具で隠れてしまう事も多いため、ホコリが溜まりやすくなりトラッキング現象を
引き起こす危険性があります。

ショート(短絡)

地震などの災害により電源コードや屋内配線が傷ついたときに発生する可能性があります。
そもそも電源コードや屋内配線には許容電流があり、流せる電流の量があらかじめ決められています。

ところが配線が傷つくと通常の電流であっても過電流となりコードが過熱され被膜が溶け落ちることも。

放置すれば火災に発展する可能性があります。

これら火災はブレーカーを入れた瞬間に発生するわけではなく、時間が経過してから起こることもあり注意が必要です。

注意が必要な場所と電化製品

通電火災は一度停電し電力が復旧した後に起こります。そのため注意が必要な場所は以下のようになります。

・ブレーカー周辺(とくに水害後)
・大きな家具が転倒していた場所(電源コードの状態チェック)
・使用中だった電気ストーブやアイロン、こたつ周辺

大きな家具が転倒すると電源コードだけではなく、家電そのものが損傷していることがあります。

見た目ではわからなくても内部回路が損傷していると、それが原因でショートにより発火する可能性もあり、
しばらく使用して様子をみるなどの対策が必要です。

例えばこたつでいえば、

こたつの電源

①こたつの電源コードが破損、水没することによりショートし出火
②こたつの中に座椅子を押し込んだため掛け布団とこたつヒーター部が接触し加熱、出火
③こたつのヒーター部分を掃除せず放置したためホコリが加熱され出火
などが起こる可能性がありますので、

✔︎ 電源コードの状態をしっかり確認し、破損、水没しているときは新しいものと変える。
✔︎ こたつの中には座椅子を押し込まない、こたつ内部で洗濯物を乾かさない。
✔︎ 地震や水害の有無にかかわらず、こたつのヒーター部分はマメに掃除する。

などの対策をしましょう。

過去の災害に見られる通電火災の恐ろしさ

地震

日本では過去に多くの災害に見舞われてきました。とくに大規模地震のあとは通電火災が起こりやすくなっています。
ここでは過去に起きた大規模地震の後に実際にどのような通電火災が起きたかをまとめました。

阪神淡路大震災

1995年に発生した阪神淡路大震災では多くの家屋が火災(神戸市内157件)に見舞われました。
そのうち出火原因が特定されたものの6割は電気火災であったと言われています。

1995年は古い耐震基準の建物が多く崩壊しやすいこと、
さらに建材が燃えやすかったことなどで火災による被害が拡大しました。

このとき起きた通電火災は真冬であったため電気ストーブやこたつなど暖房器具を原因とする火災、
電源コードの破損、水槽などが転倒しヒーターが可燃物に着火するなどの原因で発生しています。

「通電火災」は時間差で発生することが多く、阪神・淡路大震災では最長で8日後に火災が発生しました。地震発生直後には発生していないところがポイントです。

東日本大震災

東日本大震災で発生した火災は111件でしたが、そのうち出火原因が特定されたものの5割が電気火災でした。
阪神淡路大震災でも指摘されていた通電火災ですが、東日本大震災でも発生してたのです。

原因は地震によって損傷した電源コードから出火、電気ストーブが通電しカーテンに引火、
水槽用ヒーターが空焚きになって出火などが原因で起きています。

通電火災の防止策まとめ

知らない間に発生してしまう通電火災を防ぐには、避難する前にブレーカーを落とす、家電
製品の電源をコンセントから抜くといった防止策が有効です。

災害時に行うべきこと

災害時はあわてて避難するのではなく、避難前にブレーカーを落とせば漏電火災を防ぐことができます。

避難所で停電が復旧して自宅が電気火災に遭う可能性があります。

また、停電になったときは家電のコンセントを抜く、
可燃物が電気ヒーターに接触していないことを確認するなどの行動が必要です。

さらに復電時はガス漏れがないこと、水に濡れた電化製品は使用しない、
煙が発生しているのを発見したらすぐに消防署に通報するなどの対応が必要です。

普段からできること

災害時に冷静にブレーカーを落とす、電源プラグを抜く、使用中の電気器具のスイッチを必ず切り、コンセントを抜いておきましょう。個々の電気器具のスイッチがオフになっていても、コンセントなどの屋内配線は通電しています。
電気ヒーターや水道などのヒーターを確認するのは口で言うほど易しいことではありません。

災害後はパニックになり電気を切るのを忘れがちなため、
災害時に自動的にブレーカーを遮断する感電ブレーカーを設置すると、通電火災を防ぐことができます。

防災・防火に正しい知識を

大規模災害で起こることは通電災害だけではありません。

車などから流出したガソリンに引火する津波火災もありますし、
地震発生直前にガスや石油ストーブを使っていれば普通火災も起こりえます。

さまざまな災害に備えて、出火防止対策をお願いします。懐中電灯を身近なところに置いて停電に備えましょう。

全国消防点検.comでは防災、防火に関する適切なアドバイスや具体的な対策を提供しています。
ぜひお気軽にお問合せください。

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