消防点検コラム

消防法

2020.12.28

特殊建築物ってなに?定期報告や定義について解説します!

「特殊建築物」と聞くとどんな想像をしますか?
構造が特殊とか、デザインが変わっているとか、
用途が変わっているとかでしょうか。

実は「特殊建築物」は身近なところにたくさんあるんです。
今回は特殊建築物について解説します。

特殊建築物とは


特殊建築物とは、ざっくり言うと不特定多数の人が利用する建築物のこと。
建築基準法2条1項2号で規定されています。

建築基準法2条1項2号

特殊建築物 学校(専修学校及び各種学校を含む。以下同様とする。)、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途に供する建築物をいう。

「特殊」という言葉がつくため、特別なものと誤解されがちですが、
実は戸建の住宅と事務所意外はほとんどが該当します。
(住宅の中でも共同住宅は特殊建築物に入ります)

基準はあくまで「不特定多数の人が利用する」なので、
毎日同じ従業員が出勤してくる事務所や、
戸建てのように家族だけで住んでいる場合は特殊建築物には該当しません。

逆にアパートやマンションは、
「一つの建物の中に不特定多数の人が就寝している」状態のため、
特殊建築物とされています。

特殊建築物一覧


以下が特殊建築物の用途、条件です。

用途階数面積
劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、
集会場その他これらに類するもの
地上3階建て
以上
200㎡以上

(屋外観覧席にあっては、1000㎡)

病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る)
ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎
その他これらに類するもの
地上3階建て
以上
300㎡以上
学校、体育館その他これらに類するもの地上3階建て
以上
2000㎡以上
百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、
ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場
その他これらに類するもの
地上3階建て
以上
500㎡以上
倉庫その他これに類するもの200㎡以上
自動車車庫、自動車修理工場その他これらに類するもの地上3階建て
以上
150㎡以上

こうして一覧にしてみると、たしかに大体の建物が対象になります。

「耐火建築物等としなければならない特殊建築物」ってなに?


法改正前は建築物の用途、階数又は面積等によって、
耐火建築物又は準耐火建築物としなければならないと一律に規定されていましたが、

火災発生時、特殊建築物にいた人全員がその建物から地上までの避難を終了するまで、
建物の倒壊や延焼を防止するための主要構造部に求められる性能を避難時間などで明確に規定されました。

例えば地上3階建て以上の共同住宅は、
火災が起きたとしても、1時間倒壊等せずに耐えられる「準耐火構造」と規定されています。

特殊建築物の定期調査について

特殊建築物の定期調査は以下の4種類があります。

①特定建築物調査(この記事)
建築設備検査
防火設備検査
昇降機等検査
(各項目をクリックすると詳細記事に遷移します)

特定建築物調査

特定建築物調査では、以下の項目を点検します。

調査する項目調査方法基準
敷地/地盤地盤の状況・地盤沈下等はないか
・傾斜等の状況
・目視・建物周辺に陥没などがないか
建物外部土台(木造)・劣化/損傷状況・目視
・打診
(ハンマー等)
・木材に著しい腐食がないか
・金属部分に錆等がないか
屋上/屋根屋上の状況・パラペットの劣化や
損傷の状況
・目視
・打診
(ハンマー等)
・モルタルにひび割れがないか
・白華(白い綿状の斑点)が
発生していないか
建物内部天井・天井部材や仕上げ材等の劣化・損傷状況・目視
・打診
(ハンマー等)
・浮きやたわみ等の
劣化、損傷、剥落等がないか
避難施設
非常用進入口
避難経路・物品等の放置状況・目視・避難の支障になる物が
放置されていないか

新たな定期報告制度の施行


2012年5月に広島県福山市のホテルで7名が死亡した「福山ホテル火災」が発生。
違法な増改築を繰り返し、当時の建築基準法に違反した状態のまま運営をしていた上に、
防火設備の作動状況などの報告を38年前に一度行っていただけであったり、
火元責任者の死亡を消防署に届け出ていないなど杜撰な管理状況であったことがわかっています。

その翌年2013年には長崎県のグループホームで高齢者4人が死亡する火災が発生、
このグループホームも当時の建築基準法に不適合、防火対策・消防訓練等もされていませんでした。

どちらも被害が拡大した原因の一つとして、
建築物が適法な状態で管理されていなかったことが掲げられており、
こうした事態を踏まえ、2016年6月1日に建築基準法が改正され、
現行の定期報告制度が施行されました。


※国土交通省HPより引用

変更になったポイントは、以下の3つです。

①定期報告の対象の強化

・不特定多数の人が利用する建築物やこれらの建築物に設けられた防火設備
・高齢者等の自力避難困難者が就寝用途で利用する施設やこれらの施設に設けられた防火設備
・エレベーター、エスカレーターなどの昇降機
・その他地方自治体が地域の実情に応じて指定をした建物、設備

②防火設備の定期検査の導入(詳細はこちら

・防火扉
・防火シャッター
・耐火クロススクリーン
・ドレンチャー

③資格者制度の導入(点検を行う事が出来る人)

・一級建築士
・二級建築士
・建築物調査者証の交付を受けている者
(定期検査に関しては建築設備検査員資格者証、防火設備検査員資格者証、昇降機等検査員資格者証)

特殊建築物の定期報告にかかる相場

特殊建築物定期報告のための点検・報告費用の相場は以下の通りです。

※建築物の敷地及び構造は3年以内ごとに点検、昇降機(エレベーター等)、
昇降機以外の建築設備は1年以内と点検頻度が定められていますが、
自治体によって別途定めているケースもあるため、
詳細は全国消防点検.comまでお問い合わせください。

面積費用相場
500㎡以下5万円~
1000㎡7万円~
2000㎡10万円~
3000㎡以上12万円~

特殊建築物の定期報告は全国消防点検.comにご相談ください。


全国消防点検.comでは、特殊建築物の調査、定期報告のお手伝いをしています。

今回はざっくりと特殊建築物の大枠について解説してきましたが、
多くの建物が該当するにも関わらず、自治体によって点検対象や頻度が異なるため、
「正直ちょっと面倒・・・」と感じてしまう方も多いかと思います。

全国消防点検.comでは、その他消防設備点検なども承ることが可能なため、
様々な点検をまとめてコストダウン、一元管理が可能です。

まずはお見積りからでも大歓迎です!
どうぞお気軽に全国消防点検.comまでお問い合わせください。

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