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消防点検コラム

複合用途防火対象物とは?防火対象物なども合わせて解説します

皆さんは複合用途防火対象物とはどんなものなのか知っていますか?
複合用途防火対象物とは防火対象物の一つであり、内容を理解するためには最初に防火対象物がどんなものなのか知ることが大切です。
これから新規事業の開拓を検討していたり、テナントの開業を計画していたり、設備関係の仕事をしている人は、防火対象物について知っておきましょう。それでは、複合用途防火対象物やその他の防火対象物についてご説明しましょう。


【目次】

1. 防火対象物とは?
2. 複合用途防火対象物とは?
3. 複合用途防火対象物の中に特定防火対象物が存在する場合に必要な防火管理者と消防用設備等の種類について
4. まとめ

1. 防火対象物とは?

防火対象物とは?

複合用途防火対象物について解説する前に知っておきたいのが、防火対象物とはどんなものなのかどうかです。
防火対象物とは、山林または舟車、船きょ若しくは埠頭に繋留された船舶、建築物その他の工作物若しくはこれに属するものという内容で試験に出題されることが頻繁にあります。
簡単にいうと、防火対象物に該当するのは、以下の通りです。

・山
・森
・船
・車
・ドック
・停泊している船
・建物
・トンネル
・水路

以上に当てはまるものはすべて防火対象物となるので覚えておきましょう。

特定防火対象物と非特定防火対象物

防火対象物の中には、特定防火対象物と非特定防火対象物の2種類があります、
これらの違いは不特定多数の人が出入りするかどうかの違いであり、不特定多数の人が出入りする場合は特定防火対象物、出入りがない場合は非特定防火対象物に該当します。
しかし、これだけでは何が防火対象物になっているのか分からない人がほとんどかもしれません。
それでは、特定防火対象物と非特定防火対象物の違いについてご説明しましょう。

特定防火対象物とは?

特定防火対象物とは、たとえば店舗やホテルのように不特定多数の人が出入りするような場所を指します。
基本的に消防法上の令別表第一で建物用途が分類されていますが、中でも不特定多数の人の出入りがある用途は消防用設備等の設置基準が厳しくなっているのがポイントです。
消防法施行令別表第1における特定防火対象物に当てはまる用途は、以下の通りです。

 

用途
(1)イ 劇場、映画館、演芸場又は観覧場
ロ 公会堂又は集会場
(2)イ キャバレー、カフェー、ナイトクラブその他これらに類するもの
ロ 遊技場又はダンスホール
ハ 性風俗関連特殊営業を営む店舗
ニ カラオケボックス等
(3)イ 待合、料理店その他これらに類するもの
ロ 飲食店
(4)百貨店、マーケツトその他の物品販売業を営む店舗又は展示場
(5)イ 旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの
(6)イ 病院、診療所等
ロ 有床の福祉施設(特別養護老人ホームなど)
ハ 老人デイサービスセンターなど
ニ 幼稚園又は特別支援学校
(9)イ 公衆浴場のうち、蒸気浴場、熱気浴場その他これらに類するもの
(16)イ 複合用途防火対象物のうち、その一部が特定防火対象物の用途に供されているもの
(16の2)地下街
(16の3)準地下街

 

なお、準地下街とは建築物の地階((16の2)項に掲げるものの各階を除く。)で連続して地下道に面して設けられたものと当該地下道とを合わせたもの((1)項~(4)項まで、(5)項イ、(6)項または(9)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分が存するものに限ります。

非特定防火対象物とは?

非特定防火対象物とは、学校や工場のように不特定多数の人が出入りすることがない場所を指します。
消防法施行令別表第1における非特定防火対象物に当てはまる用途は、以下の通りです。

 

用途
(5)ロ 寄宿舎、下宿又は共同住宅
(7)小学校、中学校、高等学校、高等専門学校、大学など
(8)図書館、博物館、美術館その他これらに類するもの
(9)ロ イに掲げる公衆浴場以外の公衆浴場
(10)車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着場
(11)神社、寺院、教会その他これらに類するもの
(12)イ 工場又は作業場
ロ 映画スタジオ又はテレビスタジオ
(13)イ 自動車車庫又は駐車場
ロ 飛行機又は回転翼航空機の格納庫
(14)倉庫
(15)前各項に該当しない事業場
(16)ロ 特定防火対象物のイに掲げる複合用途防火対象物以外の複合用途防火対象物
(17)重要文化財など
(18)延長50m以上のアーケード
(19)市町村長の指定する山林
(20)総務省令で定める舟車

2. 複合用途防火対象物とは?

いよいよ本題に入りますが、複合用途防火対象物とは、2つ以上の使用用途を含む防火対象物を指します。
本来、建物を使用する際の用途は1つだけですが、1つの建物で2つ以上の使用用途がある場合は複合用途防火対象物になります。
どんな建物が当てはまるのかというと、一例として雑居ビルが挙げられます。
たとえば1つのビルですべての階層を事務所として利用していた場合は不特定多数の人が出入りしないので非特定防火対象物に該当するのがポイントです。
しかし、1階が眼鏡店、2階がヨガ教室、3階以上が住宅用の物件として利用されている場合、3つの使用用途で1つのビルを使用しているため、複合用途防火対象物になります。
もちろん複合用途防火対象物の中にも特定防火対象物か非特定防火対象物かどうかで消防法の基準も変わります。
たとえば1つの建物の中に不特定多数の人が出入りする階層があった場合、複合用途防火対象物の中の特定防火対象物に該当するため、消防法の基準が一気に厳しくなるのがポイントです。
一方で1つの建物の中に不特定多数の人が出入しない階層しかない場合、複合用途防火対象物の中の非特定防火対象物に該当するため、消防法の基準が緩和されます。

3. 複合用途防火対象物の中に特定防火対象物が存在する場合に必要な防火管理者と消防用設備等の種類について

複合用途防火対象物で消防設備等を設置する場合、防火管理者と消防用設備等を設置する要件を満たす必要性があります。

それでは、複合用途防火対象物の中に特定防火対象物が存在する場合に必要な防火管理者と消防用設備等に必要な要件についてご説明しましょう。

防火管理者

防火管理者に求められる要件は、以下の通りです。

 

収容人数30人以上

(6)項ロに掲げる防火対象物の用途に供される部分が存在する場合は10人

甲種防火管理者300㎡以上

(6)項ロに掲げる防火対象物の用途に供される部分が存在する場合はすべて

乙種防火管理者300㎡以上

 

自衛消防組織

 

自衛消防組織に求められる要件は、以下の通りです。

 

階数が11以上、または5以上10以下、または4以下(地階を除く) 延べ面積イ 地階を除く階数が11以上で、次に掲げるもの

(1) 自衛消防組織設置防火対象物の用途に供される部分の全部又は一部が11階以上の階に存する防火対象物で、当該部分の床面積の合計が一万平方メートル以上のもの

(2) 自衛消防組織設置防火対象物の用途に供される部分の全部が10階以下の階に存し、かつ、当該部分の全部又は一部が5階以上10階以下の階に存する防火対象物で、当該部分の床面積の合計が二万平方メートル以上のもの

(3) 自衛消防組織設置防火対象物の用途に供される部分の全部が4階以下の階に存する防火対象物で、当該部分の床面積の合計が五万平方メートル以上のもの

ロ 地階を除く階数が5以上10以下の防火対象物で、次に掲げるもの

(1) 自衛消防組織設置防火対象物の用途に供される部分の全部または一部が5階以上の階に存する防火対象物で、当該部分の床面積の合計が二万平方メートル以上のもの

(2) 自衛消防組織設置防火対象物の用途に供される部分の全部が4階以下の階に存する防火対象物で、当該部分の床面積の合計が五万平方メートル以上のもの

ハ 地階を除く階数が4以下の防火対象物で、自衛消防組織設置防火対象物の用途に供される部分の床面積の合計が五万平方メートル以上のもの

消火設備

消火設備に求められる要件は、以下の通りです。
・消火器具

 

一般延べ面積当該用途の基準による
地階・無窓階または3階以上当該用途の基準による
少量危険物等1.少量危険物(指定数量の1/5以上~指定数量未満の危険物)危険物政令別表第四で定める数量以上の指定可燃物

2.変圧器、配電盤又は、これらに類する電気設備のある場所

3.鍛造場、ボイラー室、乾燥室その他多量の火器を使用する場所

 

・屋内消火栓設備

 

一般・地階・無窓階・4階以上当該用途の基準による
指定可燃物危険物政令別表第4の数量の約750倍以上の数量を貯蔵し、または取り扱うもの

 

・スプリンクラー設備

 

一般延べ面積3,000㎡以上
地階・無窓階1,000㎡以上
4階以上10階以下1,5000㎡以上
階数が11階以上のもの(地階を除く)すべて
11階以上の階すべて
指定可燃物危険物政令別表第4が定める数量の1,000倍以上の数量を貯蔵し、または取り扱うもの

 

・動力消防ポンプ設備

 

  1. 屋内消火栓設備の設置対象物に必要。ただし地下街は除く(屋外消火栓又は1階若しくは2階の屋内消火栓、スプリンクラー、水噴霧、泡、不活性ガス、ハロゲン化物、粉末の各消火設備を設置したときは設置免除)
  2. 屋外消火栓設備の設置対象物に必要。(ただし屋外消火栓又は1階若しくは2階にスプリンクラー、水噴霧、泡、不活性ガス、ハロゲン化物、粉末の各消火設備を設置したときは設置免除)

警報設備

警報設備に求められる要件は、以下の通りです。
・自動火災報知設備

 

一般延べ面積300㎡以上
特定一階段防火対象物すべて
地階、無窓階又は3階以上床面積300m²以上の階
地階又は2階以上駐車用に供する部分の階で当該部分の床面積200m²以上
11階以上の部分11階以上の階すべて
道路の用に共される部分床面積が屋上にある場合は600m²以上、それ以外の部分にある場合は400m²以上
通信機器室床面積500m²以上
指定可燃物危険物政令別表第誌四の数量の500倍以上を貯蔵し、または取り扱うもの

 

4. まとめ

複合用途防火対象物は特定防火対象物と非特定防火対象物の中の要項に当てはまるものであり、2つ以上の使用用途がある防火対象物のことです。

特定防火対象物や非特定防火対象物について知る過程で複合用途防火対象物について知ることになるため、自然と覚えるのに苦労することはないでしょう。
複合用途防火対象物の中で不特定多数の人が出入りするかどうかで特定防火対象物かどうかが違ってくるため、使用用途を把握することが大切です。

 

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