消防点検コラム

消防点検

2024.03.04

工場・倉庫の消防設備点検の費用・相場について、事例を交えて解説します

工場や倉庫には、火災予防と被害軽減のため、消防法に従い警報」「消火」「避難の3種類の消防設備設置することが義務付けられています。これらの設備は建物の構造や大きさによって設置基準が異なり、3年ごとの定期点検と消防庁や消防署長への報告が義務付けられています。この記事では、これらの点検に関する費用や相場について、事例を交えて解説します。

工場・倉庫の消防設備点検の費用・相場

消防設備点検の費用を抑えるためには、点検の頻度や範囲を適正に管理することが重要です。

また、工場・倉庫の消防設備点検にかかる費用は、建築規模や点検項目によって大きく変動します。以下では、工場・倉庫の消防設備点検の標準的な費用・相場を紹介します。

費用・相場

工場・倉庫の消防設備点検に必要な費用は、依頼する業者によっても異なります。ここでは、延べ床面積を基準に複数社の費用を調査して、工場・倉庫の消防設備点検にかかる費用相場を表にまとめました。

延べ面積(単位:㎡)費用(単位:円)
300未満1万〜3万
300〜5002万〜4万
500〜1,0003万〜8万
1,000〜2,0005万〜15万
2,000〜3,00010万〜20万
3,000〜5,00015万〜30万
5,000〜1万20万〜40万
1万〜2万5,00030万円〜80万
2万5,000以上60万以上
諸経費
交通費50km~70km1万
70km~100km2万
消費税費用の10%
事例
工場・倉庫の規模点検項目費用相場
3階建て消火器8本、自動火災報知設備、誘導灯、避難器具2万5,000
4階建て消火器20本、自動火災報知設備4万8,000

※金額は2024年4月調査時点の参考価格となります。実際の金額は点検業者にお問い合わせ下さい。

※延べ床面積と点検項目が同じでも、工場・倉庫の戸数や点検項目が異なれば費用も異なります。

※定期的な点検を怠ると、30万円以下の罰金の対象になる可能性があります。

建物の規模と点検費用

工場・倉庫の消防設備点検費用は、建物の規模、特に延べ床面積によって大きく左右されます。小規模な工場や倉庫では費用が比較的低く抑えられる傾向にありますが、大規模な工場や倉庫になると点検にかかる費用が高くなります。

点検項目と費用の関係

点検項目が多岐にわたるほど、点検にかかる日数が長くなり、費用が高額になります。工場や倉庫では、自動火災報知設備、非常電源専用受電設備、非常ベル、消火器、スプリンクラー、連結送水管など、様々な消防用設備の点検が必要です。これらの設備は、消防法によって定期的な検査が義務付けられており、点検の範囲や内容に応じて費用が算出されます。

費用を左右する要素

特殊設備や緊急対応の有無も工場・倉庫における消防設備点検費用に影響します。例えば、特殊な設備がある場合はない場合に比べ、費用が高くなります。また、設備に不備があり、緊急対応が必要な場合は、追加費用が発生します。

工場・倉庫の消防設備点検とは?

そもそも工場・倉庫を管理する際、なぜ消防設備をこまめに点検する必要があるのでしょうか。ここでは、消防設備点検が重要である理由を解説した上で、法定点検と任意点検の2つの違いを紹介します。

消防設備点検の重要性

工場・倉庫における消防・防災設備点検は、火災から産業施設の安全を確保し、リスクを軽減するために不可欠です。消防法により、非常ベル、消火器や自動火災報知器 などの消防用設備は定期的な点検が義務付けられています。これにより、事故時に消防設備士が迅速に消火栓や排水設備、連結送水管を操作し、火災の損害を防止することができます。また、避難誘導灯や誘導標識、緊急報知設備の点検は、人々の迅速な避難を支援します。法規を遵守し、事業継続性を確保するためにも、工場・倉庫における消防・防災設備点検は重要です。

消防設備の点検は、消防法によって次のように義務付けられています。

第十七条第一項の防火対象物(政令で定めるものを除く。)の関係者は、当該防火対象物における消防用設備等又は特殊消防用設備等(第八条の二の二第一項の防火対象物にあつては、消防用設備等又は特殊消防用設備等の機能)について、総務省令で定めるところにより、定期に、当該防火対象物のうち政令で定めるものにあつては消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させ、その他のものにあつては自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。

消防法第十七条の三の三

 

法定点検と任意点検の違い

消防設備点検には、法定点検と任意点検の2種類があります。

法定点検とは、消防法によって定められた義務的な点検で、消防設備士あるいは消防設備点検資格者による専門的な検査が含まれます。これに対して任意点検は、法律で定められていないが、建物管理者が自主的に行うものです。

法定点検では、非常ベル、消火器や自動火災報知器 などの消防用設備の他、非常照明や非常電源専用受電設備、自家発電設備などの機能チェックが行われます。任意点検は、これらに加えて建築設備全般の状態を確認し、防火対象物の安全性をさらに向上させるためのものです。両方の点検は、火災による被害の拡大を防ぐために、工場・倉庫の管理において極めて重要です。

工場・倉庫に必要な消防設備、点検対象

工場・倉庫の火災事故を予防するためには、適切な消防設備の設置と定期的な点検が必要です。点検が求められる消防設備には、次のようなものが挙げられます。

自動火災報知器 ・消火器・避難設備と誘導灯・連結送水管

ここでは点検対象となる消防設備を詳しく紹介します。

自動火災報知器 

工場・倉庫内の自動火災報知設備は、火災の初期段階で警報を鳴らす重要な役割を果たします。これには火災報知器 が含まれ、定期的な点検とメンテナンスが不可欠です。点検時には、感知器の作動確認と清掃、誤作動防止の検討が行われます。警報による火災の早めの段階での発見を可能にするため、消防法により設置が義務付けられています。

消火器

工場・倉庫に設置される消火器とスプリンクラーは、火災発生時の初期消火に欠かせない設備です。これらは定期的に点検し、消火性能を確保する必要があります。消火器の圧力が規定の範囲内であることや外観の損傷に注意が必要です。

避難設備と誘導灯

工場・倉庫の避難設備として、防火扉や避難経路の確保があります。また、避難誘導灯や誘導標識の点検は、火災時の安全な避難経路を確保するために不可欠です。点検では、誘導灯の照明機能とバッテリーの寿命確認が行われます。これらの設備は、火災時の迅速な避難を支援し、安全を確保します。

連結送水管

連結送水管は、消防隊が迅速に消火活動を行うために不可欠な設備です。消防車から工場・倉庫の消火栓まで水を供給するために使用される連結送水管は、定期的な負荷試験や点検が欠かせません。

消防法では設置後10年が経過した連結送水管を対象に、屋内消火栓、屋外消火栓、連結送水管設備等のホース、配管などの耐圧性能点検の実施を義務付けています。初回の点検が済んだ後も、3年が経過するごとに耐圧性能試験が必要です。

消防設備点検業者の選び方

工場・倉庫の消防設備点検を行う業者の選定は、安全性を確保する上で極めて重要です。ここでは業者選びに失敗しないためのポイントを3つ紹介します。

資格と経験

選定する消防設備点検業者は、適切な資格と豊富な経験を持っていることが重要です。消防設備士あるいは消防設備点検資格者は、非常ベル、消火器、自動火災報知設備、非常電源専用受電設備、排水設備、連結送水管など様々な消防用設備の点検において専門知識と技術を有しています。また、実際の火災事例への対応経験も、業者選定の際の重要な判断基準となります。

費用の透明性

点検業者を選ぶ際には、費用が透明であるかも考えるべき点です。見積もりを取る際は内訳が「費用一式」と記載されている業者ではなく、具体的で分かりやすく記載されている業者を選ぶことで、追加費用が発生して割高になることを防げます。費用の内容には点検作業だけでなく、消防設備の修理や交換に関する費用も含まれることがあります。これらの費用が具体的に記載されているかどうかを確認しましょう。

緊急時の対応能力

工場・倉庫の消防設備点検業者は、火災時に迅速かつ効果的な対応が可能であることが求められます。非常ベル、火災報知器 やガス漏れ警報設備スプリンクラーなどの警報装置が作動した場合や、消防署からの立ち入り検査時に、早い対応が可能な業者を選ぶことが重要です。また、火災時における追加のサポートやアドバイスを提供可能な業者であれば、さらに信用が高まります。

消防設備点検の法的義務と罰則

工場や倉庫の消防設備点検は、所有会社や管理会社に法的な義務と責任が伴います。ここでは、消防設備点検の義務を怠った場合の罰則について具体的に解説します。

消防法に基づく義務

消防法により、工場や倉庫などの防火対象物は定期的な消防・防災設備点検を受ける義務があります。法令によるこの義務には、自動火災報知設備、非常電源専用受電設備、非常ベル、消火器、排水設備、連結送水管などの消防用設備の点検が含まれ、これらの機能が正常であることを確実にします。この点検は、消防設備士やあるいは消防設備点検資格者によって実施される必要があります。また、防火対象物のオーナーや管理会社は消防用設備の点検結果について、所在地を管轄する消防長又は消防署長に報告する義務があります。この報告義務は、上掲の消防法第十七条の三の三で定められています。

点検を怠った場合の罰則

消防設備点検を怠ったり、虚偽の報告をしたり、規約違反をした場合、管理組合や物件所有者は法的な罰則を受ける可能性があります。

具体的には、消防法では次のように定められています。

次のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金又は拘留に処する。

(中略)

十一 第八条の二の二第一項(第三十六条第一項において準用する場合を含む。)又は第十七条の三の三の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

消防法第四十四条

これには拘留や罰金が含まれることがあり、消防法に違反した場合は、最大で300万円以下の罰金または拘留の対象になる可能性があります。また、点検の不備が火災などの事故につながった場合、より重大な賠償責任を負うことになります。

所有会社と管理会社の責任

工場・倉庫の所有会社や管理会社は、消防法に従って、産業施設の安全確保と火災リスクの軽減のために定期的な消防・防災設備の点検を必ず行う責任があります。この責任には、適切な点検業者を選ぶこと、点検のスケジュールを管理すること、そして点検の結果を報告し、その報告書を保管することが含まれます。さらに、消防法では「多くの人が利用する建物では防火管理者を指名することが必要」と規定されており、通常は所有会社や管理会社から防火責任者が選任されます。

工場・倉庫の消防設備点検に関するよくある質問

消防設備点検に関して、工場・倉庫の所有会社や管理会社の担当者からよく寄せられる質問を3つ紹介します。

点検頻度とスケジュール

工場や倉庫の消防・防災設備点検は、消防法に基づき定期的に行われる必要があります。点検の頻度は設備の種類によって異なり、一般的には年に1回の総合点検が求められます。この点検には、自動火災報知器 、非常ベル、消火器、スプリンクラーなどの消防用設備の確認が含まれます。予定は所轄消防署や管理会社から通知されるため、管理組合は点検日を住民に知らせる責任があります。

機器点検と総合点検の違い、および点検頻度は次のとおりです。

点検の種類点検内容点検頻度
機器点検建物の外観を目視で確認する、消防設備の配置確認および簡易操作をする半年に一回
総合点検消防設備の全部もしくは一部を実際に作動させて、正しく機能するかどうか確認する1年に一回

 

費用の支払い責任者

工場・倉庫の消防設備点検にかかる費用は、一般的に、所有会社や管理会社が負担します。費用には、点検作業の他に必要に応じた設備の修理や交換費用も含まれることがあります。費用の具体的な金額や内訳は点検業者によって異なるため、相見積もりを取ることが重要です。

点検報告書の提出

点検が完了した後、消防設備士あるいは消防設備点検資格者は点検報告書を作成し、消防庁、消防署長や管理組合に提出します。この報告書には点検の結果と、必要に応じて修理や交換が必要な設備の詳細が記載されます。管理組合はこの報告書を保有し、所轄消防署、消防署長への報告など法令による義務に則るために使用します。また、工場や倉庫の利用者への透明性を確保するために、報告書の内容を共有することも推奨されます。

なお、点検結果の報告頻度については、管理する建物が特定防火対象物かどうかによって異なります。特定防火対象物は次の2つの条件に該当する建物を指します。

延べ床面積が1,000㎡以上

地下または3階以上の階に特定用途があり、屋内階段(避難経路)が建物内に1ヵ所しかない(特定用途とは、飲食店やホテルなど不特定多数の人が出入りする建物を指します)

特定防火対象物の場合、1年に一回の頻度で管轄の消防長または消防署長へ点検結果を報告しなければなりません。特定防火対象物でない建物については、3年に一回の頻度で報告が義務付けられています。

これらの質問に対する理解と適切な対応は、工場や倉庫の消防・防災設備点検をスムーズに行い、産業施設の安全を確保し、火災リスクの軽減する上で非常に重要です。

まとめ

消防設備点検の重要性の再確認

消防設備点検は、工場や倉庫の安全を確保するために不可欠です。消防法に基づいて定期的に行われるこの点検は、火災報知器 やガス漏れ警報設備、非常ベル、消火器、スプリンクラーなどの機能や設置場所を確認し正常に保つことで、万が一の火災時に迅速かつ効果的な対応を可能にします。

適切な業者選びのポイント

消防設備点検業者を選ぶ際は、資格と経験を考えることが重要です。消防設備士あるいは消防設備点検資格者が行う点検は、設備の適切な管理と安全性を確実にします。また、費用の透明性と火災時の対応能力も重要な尺度です。業者選びは、工場・倉庫の安全管理において重要な役割を果たします。

法的義務と安全の確保

消防・防災設備点検は、消防法により法的に義務付けられています。この義務を怠ると、罰則を受ける可能性があります。管理会社や所有会社は、定期的な点検を実施した後は、点検報告書を適切に作成・保有し、必要に応じて所轄消防署へ報告することが求められます。これにより、工場・倉庫の危機管理が可能となり、産業施設の安全を確保できます。

工場・倉庫の消防設備点検は、単なる法令の義務を超え、防災により産業施設の安全を守るための重要な措置です。適切な業者選定と定期的な点検実施により、安全な利用環境を確保しましょう。工場・倉庫の消防設備点検は人命を守るために不可欠な施策であり、利用者と管理会社双方の協力が必要です。適切な点検と管理により、安全で快適な工場・倉庫を実現できます。

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