消防設備点検
2023.11.30
あなたの民泊は大丈夫?消防設備には点検義務があります!
民泊は、これまで旅館業法(簡易宿所営業)にて規定されており、運営が困難でした。
しかし住宅宿泊事業法(民泊新法)が成立してから格段と運営しやすくなりました。
民泊を運営するためには、消防法や建築基準法に則って運営する必要があります。
消防法に準じた消防設備を設置するだけで終わりではありません。
消防設備は、定期的に点検・報告が義務付けられています。
今回は、民泊のスタイルに応じた点検や報告の流れについて解説します。
民泊と消防設備点検
一口に民泊と言っても、宿泊する物件がどんな物件なのかによって、建物の法的区分が異なります。
消防設備点検について解説したあと、それぞれのスタイルについて簡単に紹介します。
消防設備点検とは?
消防法17条3の3に規定されており、消防設備などを設置した場合は年2回の点検が求められます。
また点検したという報告も行う必要があり、報告の頻度は物件により異なります。
消防設備点検は機器点検と総合点検に分けられ、有資格者しか行えない場合もあります。
機器点検とは
機器点検とは、消防用設備の機器の設置位置の確認や故障・損傷の有無、外観から目視で判断できる機能などを設備に応じて確認する点検のことです。
消防設備の点検が義務付けられている場合、半年ごとに1回しなければいけません。
総合点検とは
総合点検とは、消防用設備の全部や一部分を実際に動かしてシステムがきちんと動作するかどうか確認したり、非常警報がきちんと作動するか確認する点検のことです。
消防設備の点検が義務付けられている場合には、一年に1回しなければいけません。
点検結果の報告
点検した結果は、防火対象物の関係者が管轄の消防長や消防署長へ提出する必要があります。
防火対象物の区分により、報告の期間もしっかりと定められています。
点検は誰ができるの?
消防設備の点検は、建物の規模により、消防設備士または点検資格者への依頼が必要になります。
特定防火対象物・複合用途防火対象物の場合は、以下の2つのどちらかに該当すると有資格者への依頼が必要です。
・延べ面積が1000平方メートル以上のとき
・地階または3階以上の階に特定用途があり、階段が屋内にひとつだけ(屋外に設けられた階段はある場合免除)
非特定防火対象物の場合は、以下の条件の際に消防設備士または点検資格者への依頼が必要となります。
・延べ面積1,000平方メートル以上で消防長または消防署長が指定するもの
上記以外は無資格でも点検が可能です。
しかし、具体的なメンテナンスや修理は有資格者でないと行えません。
更に、消防設備は有事の際に人命や機械を守るための重要な設備です。
無資格者が点検を行い、不具合に気づかずに重大なインシデントが発生する可能性があるため、資格を有した者へ点検を依頼することをおすすめします。
民泊タイプによる点検・報告期間
民泊とは?
民泊とは、住宅を活用して宿泊室として提供するサービスのことです。
これまでは、旅館業法(簡易宿所営業)に基づいて運営をしなければいけなかったため、違法にならざるを得ませんでした。
民泊はこれまで、敷居が高い存在でしたが、住宅宿泊事業法、通称民泊新法により、民泊としての開業がより容易になりました。
更には、特定の自治体では、特区民泊として旅館業法の許可も不要で運営ができるようになりました。
各民泊の運営スタイルによって消防法上の建物の取扱いが異なるため、それぞれの区分に分けて紹介いたします。
一般住宅に区分される場合
一戸建てでかつ、当該住宅に家主が常駐しており、宿泊室の合計が50平方メートル以下の場合は、一般住宅に分類されます。
一般住宅に分類される場合、消防法による制約は殆どありません。
そのため、法定点検を行う義務はありません。
しかし、一般住宅でも設置が義務付けられている住宅用火災警報器などには、耐用年数が設定されています。
義務付けられていないとはいえ、民泊の利用者の安心感に繋がるため、定期的な点検をおすすめします。
共同住宅に区分される場合5項ロ
マンションの一室などの共同住宅で民泊を行う場合に、全ての住戸が一般住宅扱いの場合は共同住宅に区分されます。
住戸単体で見ると一般住宅でも、関係ないので注意が必要です。
また、共同住宅は非特定防火対象物に区分されるため、法定点検・報告が義務付けられています。
点検は半年に1回、1年で計2回となり、報告は3年に1回必要です。
共同住宅は、非特定防火対象物のため、以下の条件の際に消防設備士または点検資格者への点検依頼が必要となります。
・延べ面積1,000平方メートル以上で消防長または消防署長が指定するもの
宿泊施設に区分される場合5項イ
一戸建て型の民泊では、家主が不在の場合や不在でなくても、宿泊室の床面積の合計が50平方メートルを超える場合、宿泊施設(5)イに該当します。
また、マンションの一室を利用した民泊などで、住戸が入っている棟の9割以上が(5)イの場合も該当します。
消防法において宿泊施設は特定防火対象物に当たり、法定点検・報告が義務付けられています。
非特定防火対象物よりも不特定多数のものが出入りする可能性が高いため、より短期間での報告が求められます。
具体的には、点検が年2回、報告が年1回です。
宿泊施設は特定防火対象物のため、点検は以下の2つのどちらかに該当すると有資格者への依頼が必要です。
・延べ面積が1000平方メートル以上のとき
・地階または3階以上の階に特定用途があり、階段が屋内にひとつだけ(屋外に設けられた階段はある場合免除)
複合用途に区分される場合16項イ
マンションの一室を利用した民泊などで、住戸が入っている棟の9割未満が(5)イの場合は、複合用途(16)イに該当します。
複合用途に区分されると、複合用途防火対象物となり、不特定多数の人物が出入りする可能性もあるため消防法における基準は、他の民泊方式よりも厳格です。
ただし、消防点検設備の観点からは、上述の宿泊施設に区分される場合と同様です。
点検が年2回、年1回の報告が義務付けられています。
複合用途の民泊の場合、特定防火対象物扱いのため、点検は以下の2つのどちらかに該当すると有資格者への依頼が必要です。
・延べ面積が1000平方メートル以上のとき
・地階または3階以上の階に特定用途があり、階段が屋内にひとつだけ(屋外に設けられた階段がある場合免除)
まとめ
民泊の運営をしている方でも消防設備の点検は必要です。
運営している民泊スタイルによって点検・報告の期間や有資格者への依頼が必要かどうかは異なりますので、一度確認されることをおすすめします。
また、無資格者でも点検ができる場合がありますが、点検方法を誤ったり、見落としてしまうと、最悪の場合人命を失ってしまう可能性もあります。
消防設備の点検は消防整備士や消防設備点検資格者へ点検を依頼することをおすすめします。
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