bcp
2023.10.31
介護業界におけるBCPとは?メリットや策定のポイントについて解説
2021年の介護報酬改定に伴い、介護施設における事業継続計画(BCP)の策定が義務付けられました。
2024年4月までにすべての介護施設がBCPを策定する必要があります。
これは自然災害や感染症等の発生にも対応し、介護サービスの提供を継続するための重要な取り組みです。
この記事では、BCPの概要とその策定におけるポイントについて解説します。
BCPとはどのようなもの?
BCPは企業が緊急事態に対処し、事業を継続および早期復旧させるために策定される計画です。
これにより被害の最小限化と事業の回復が迅速に行われることを目指します。
BCPの意味
BCPはBusiness Continuity Planの略で「事業継続計画」と呼ばれるものです。
地震や津波、豪雨等の自然災害や新型コロナウイルス感染症のような感染症が頻繁に発生しています。
社員を守り、事業の復旧・継続をスムーズに行うためには、想定される被害に迅速に対応できるよう、事前に方針・体制・手順等の具体的な計画を立てることが不可欠です。
介護業界でのBCP
介護業界におけるBCPは、事業資産の損害を最小限に抑え、核となる事業の継続や早期復旧を可能にすることを目的としています。
特に、中小規模の法人は緊急事態が発生すると廃業や従業員の解雇といったリスクが高まります。
このため、平常時からBCPを整備し、緊急時に事業の継続・早期復旧を実現することが重要です。
また、BCPは利用者や家族の信頼維持や地域社会への安心感をもたらす効果もあり、法人価値の向上に寄与します。
介護業界ではBCPが義務化?
令和3年度介護報酬改定により、介護事業者にはBCPの策定が義務づけられました。
この背景には、パンデミックや大規模災害が発生する中、介護施設の感染症や災害への対応力を強化するねらいがあります。
ただし、2021年から2024年3月31日までの経過措置が設けられており、すべての介護事業者は2024年4月1日までにBCPを策定する必要があります。
介護業界にまつわるBCPのメリットとは?
BCPが義務化されたことで負担を感じる担当者もいるかもしれませんが、BCPを策定することで多くのメリットがあります。
以下に、主なメリットを5つ紹介します。
人の命と会社を守ることができる
BCP策定の大きなメリットとして、入居者や職員の命を守れることが挙げられます。
緊急事態の際は人命を守ることが第一であることはいうまでもありませんが、人命を守ることによって事業の早期回復につながることも押さえておきたいポイントです。
緊急事態が起こった際に迅速かつ適切な対応ができれば、経営面の被害も最小限に抑えられるでしょう。
税制に関して優遇してもらえる
BCPを策定し国の認定を受けると、「中小企業防災・減災投資促進税制(特定事業継続力強化設備等の特別償却制度)」という税制優遇措置を受けることができます。
この税制優遇は、防災・減災に関わる特定の設備を導入することによって、最大20%の特別償却が認められるというものです。
具体的には、災害時に事業継続が困難になるリスクを軽減するための設備やシステム、例えば非常用発電機やバックアップシステムなどを導入することで、企業の経費削減や安定した事業運営に寄与します。
また、この税制優遇を受けるためには、BCP(事業継続計画)を策定し、国の認定を受ける必要があります。
BCPとは、災害時における事業の継続性を確保するための計画であり、事前のリスク評価や対策の策定が求められます。
このBCP策定と国の認定を通じて、中小企業は災害時の被害を最小限に抑え、迅速な復旧・再開を図ることができます。
そして、税制優遇を受けることで、防災・減災対策の負担を軽減し、より効果的な投資が可能となるのです。
したがって、BCPの策定と国の認定は中小企業にとって非常に有益な取り組みであり、防災・減災への積極的な取り組みを促す重要な制度と言えるでしょう。
補助金制度がある
介護施設において、BCP(Business Continuity Plan)の策定や実践において必要なコンサルティング費用や設備導入費用を一部補助してもらえる補助金制度が存在しています。
この制度は、自治体によって異なる具体的な支援内容が提供されることもあります。
具体的には、再エネ(再生可能エネルギー)または省エネ(エネルギーの節約)に関連する設備を導入する場合、国からの補助金を受けることができます。
これにより、事業負担を軽減し、効果的なBCP策定や実践が進められるのです。
補助金を活用することで、介護施設はより環境に優しい施設運営を実現し、エネルギーの効率化やクリーンなエネルギー利用に取り組むことができます。
また、補助金制度は設備導入だけでなく、BCP策定や実践に必要な教育・研修費用の一部も補助してくれる場合もあります。
これにより、介護施設は災害時や緊急事態においても円滑な運営ができる体制を整えることができます。
補助金制度は介護施設にとって大変有益な支援策であり、積極的に活用していくべきです。
優先的にワクチン接種を受けることができる
BCP対策を行っている介護事業者は、感染症が拡大した場合にワクチン接種を優先的に受けることができます。
この優遇措置は、新型インフルエンザ等対策特別措置法の第28条によって明確に規定されており、介護事業者もその対象となっています。
この制度によって、介護施設やサービス提供機関は、感染症リスクを最小限に抑え、安全な環境を維持することができます。
ワクチン接種が優先されることは、利用者と職員の健康を確保し、業務の継続性を向上させるために非常に重要です。
介護事業者は、高齢者や身体的に弱い人々と密接に接するため、感染症のリスクが高まります。
しかし、ワクチン接種によって、職員は充分な免疫を獲得し、感染拡大のリスクを軽減することができます。
また、利用者への感染を防ぐことで、彼らの健康状態を守ることも可能です。
さらに、感染症が拡大した場合にワクチン接種を優先的に受けることは、介護事業者の業務の継続性を向上させる上でも重要です。
感染症の発生や拡大は、施設の運営に大きな影響を与える可能性があります。
しかし、ワクチン接種により、職員の感染リスクを低下させることで、施設内でのサービス提供を安定化させることができます。
これにより、利用者のケアや支援を継続することができ、利用者自身の安心感も向上します。
BCP対策を行っている介護事業者がワクチン接種を優先的に受ける制度は、介護サービスの質と安全性を確保する上で重要な役割を果たしています。
感染症リスクが高まる中で、利用者と職員の健康を守るために、継続的な取り組みが必要です。
様々なリスクを回避できる
BCP対策を実施することで、様々なリスクを回避できます。
例えば、緊急時に問題が発生した際、法的・社会的な責任を追求されたり、賠償を負うことになったりするリスクも軽減できます。
BCP対策は、災害や事故などの予期せぬ出来事に備えるための計画であり、それを実践することで事業の継続性が確保されます。
従業員の健康と安全に配慮するための安全配慮義務を果たすことは、企業の信頼性やイメージ向上にもつながります。
BCP対策は、そのために必要な手段として不可欠です。
BCP対策の一例としては、災害時の避難経路や避難場所を明確化し、従業員や関係者に周知徹底することが挙げられます。
また、重要なデータや情報のバックアップを定期的に取ることも重要です。
さらに、従業員に対して緊急時の対応方法や連絡手段の確認を行い、適切な訓練を実施することも重要なポイントです。
これらの対策が実施されることで、災害や事故が発生した場合でも迅速かつ適切な対応が可能となります。
企業がBCP対策を実施することは、危機管理の観点から非常に重要です。
リスクを予測し、それに備えることで、被害を最小限に抑えることができます。
また、BCP対策の実施は法的な規制や顧客からの要望にも応えることができます。
そのため、企業は可能な限りBCP対策を早期に策定し、徹底的に実践することが求められています。
適切なBCP対策が実施されることで、企業の持続的な成長と安定性が確保され、信頼性の向上にも繋がります。
介護事業所別のBCP策定のポイント
介護事業所別のBCP策定では、業務の継続や緊急時の対応力の向上を目指すことが重要です。
具体的には、利用者のニーズに応じたサービス提供の維持、職員の安全確保、施設内の危機管理体制の整備などがポイントとなります。
また、災害発生時の適切な対応や感染症対策の取り組みも求められます。
これらのポイントをふまえ、各事業所はBCPを策定し、運用に取り組むことで、事業継続力の向上が図られます。
居宅系サービス事業所
居宅系サービス事業所では、通所系サービスで利用者が施設にいる際の人命安全確保や避難経路の確保が重要です。
また、家族に引き渡した後や訪問系サービスの場合は、利用者を分類し優先順位を決めることで、重要な業務の継続を図ります。
要介護度や家族の支援の程度によりサービスの優先順位を決め、必要に応じて一部業務の中断や頻度の減少も検討します。
新型コロナウイルス感染症の蔓延時には、家族等による見守りが可能な場合、デイサービスの利用を一時停止する事業所も多く見られました。
施設系サービス事業所
施設系サービス事業所では、利用者が入居していることから、災害時の人命安全確保とその徹底が最重要です。
特に全面的な介助が必要な利用者が多いため、避難経路や方法の確保も重要です。
また、感染症蔓延時には利用者の重症化リスクが高く、集団感染が発生した場合、深刻な被害が生じる恐れがあります。
そのため、健康や生命の保護がサービス継続の主眼となります。
まとめ
BCPは、事業の継続・早期復旧を図るため不可欠です。
義務化から3年間の経過措置がありますが、早期対応が重要です。
十分なディスカッションを経て、利用者や家族の信頼を維持し、地域社会に安心をもたらすためにも、本記事の内容を参考にBCP策定に取り組んでください。
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