消防点検コラム

ガス報知器

2023.06.26

ガス漏れ以外も検知できる!?ガス警報器の秘密

ガス警報器は物件の条件によって設置義務の有無が異なります。

そのため、住んでいる物件によっては見たこともないという方もいるでしょう。

義務はなくとも、毎年ガス漏れによる事故は発生しています。

その多くは

「ちゃんと火をつけてたはず」

「吹きこぼれしてたのに気が付かなかった」

などうっかりミスによるものがほとんどです。

自分はそんなミスはしないから大丈夫とお思いの方も多いでしょうが、日々の疲れやその慢心がミスを誘発してしまいます。

そんなミスをしてもすぐ知らせてくれるのがガス警報器です。

義務はなくとも日常の安全度を上げてくれる警報機のひとつですので、設置をおすすめします。

今回はガス警報器の特徴と賃貸における扱い方について解説します。

ガス警報器ってなに?

ガス警報器はその名の通り、ガス漏れを検知する警報機です。

ガスは本来無臭のため意図的に腐ったような匂いがつけられています。

しかし、人が近くにいなく、気づかない可能性も考慮して警報機の設置が推奨されています。

製品によっては火災も感知できますが、ガス漏れを検知するということもあり、キッチン付近に設置されているのが一般的です。

特徴

ガス警報器は「都市ガス用」と「LPガス」いわゆるプロパンガス用で大きく分けられます。

これは、ガスの種類によって重さが異なるためです。

都市ガスは空気よりも軽く、部屋の上の方に流れていきます。

そのため、ガス警報器は壁の高い位置に設置されます。

反対にLPガスは空気よりも重く、部屋の下の方に流れていくため、床付近に設置されます。

用途によっても製品に違いが出てきます。

引っ越しした物件で新しくガス警報器を設置したい場合は、しっかりと特徴を見極めて設置することが重要です。

また、ガス警報器には有効期限が設定されています。

都市ガス用は設置から起算して5年で、LPガス用警報機は製造してから5年と定められています。

ガス警報器には交換期限表示ラベルが必ず貼られています。

交換時期を過ぎてしまうと正常な動作ができない可能性がある上に、故意ではない故障でも有償での交換になってしまいます。

引っ越し前の内見をする際に交換期限が過ぎているのが分かったら、事前に不動産会社に伝えておくと対応してくれるでしょう。

種類

ガス警報器とCO(一酸化炭素)警報器と火災警報器は目的が異なるため、それぞれ別の製品です。

しかし現在では、3つの性能が一つにまとまった警報機も存在しています。

都市ガス用にもLPガス用のどちらにもガス警報器単体と住宅用火災・ガス・CO警報器の3種類が一体化したものがあります。

ガスとCO警報器の2役が一体化しているのは、都市ガス用のみ販売されています。

因みにCO警報器とは、換気をせずにガスを使用すると発生する一酸化炭素を検知するものです。

都市ガス・LPガスには臭いがついていますが、COは換気をしないとその場で発生してしまうため無色無臭です。

気が付かないうちに中毒症状に陥るためガスを使用するときは、必ずはじめから換気扇を回すなどして換気しましょう。

使用上の注意

ガス警報器のほとんどはコンセントに繋がれていないと作動しません。

そのため、常にコンセントに接続している状態にしておきましょう。

また、警報機の付近にものがたくさんあると正常に動作しなくなります。

警報機の周りにはものを置かずにしましょう。

もしガス警報器が鳴動した場合は、すぐさま換気が必要です。

しかし、換気扇を回してはいけません。

ドアや窓を開けて換気を行ってください。

これは、換気扇を回す際の極小の火花にガスが引火する可能性があるからです。

電気のスイッチなども例外ではなく、とにかく、電気が関係するものは全て触らずに手動で換気を行ってください。

普段普通にしている行為が、ガスが部屋に充満している状態だと危険な行為に変わってしまうんです。

ついてる・ついてない理由

冒頭でも紹介した通り、住宅用ガス警報器は物件の状態によって設置義務が異なります。

そもそも、都市ガスの住宅用物件の場合は設置義務がありません。

そのため、今まで見たことがないという方は、都市ガスの物件にだけ住んでいたのかもしれませんね。

反対にLPガスの場合は、集合住宅に3世帯以上ある場合は設置義務が発生します。

つまり、LPガスを採用している物件の多くに設置義務があります。

これは、ひとえに都市ガスよりもLPガスのほうが危険だからです。

しかしもちろん上記の条件に合致する場合でも例外があります。

例外条件は以下の通りです。

・そもそもガスコンロやガスを使用した湯沸かし器がない
・安全装置が組み込まれているビルトインコンロが設置されている
・ヒューズガス栓で接続され、安全装置が組み込まれている場合
・カセットコンロのような常時設置するガス燃焼器具しかない場合

もちろん、どちらのガスを使用していても不完全燃焼による事故の可能性はありえます。

都市ガスの場合でも義務がなくてもガス警報器の設置が推奨されているので、余裕がある方は導入をおすすめします。

他の警報器との違い

ガス警報器は、もちろん、ガス漏れを感知する警報器です。

近年では火災やCOも一緒に感知できるタイプも発売されていますが、それぞれの用途は大きく異なります。

似たような場所に設置され、似たような形状をしていることもあり、混同されやすいですが、別物ですので、この機会に違いについて学んでおきましょう。

・火災報知器

火災報知器は火災を感知するもので、大きく分けて煙を感知するものと熱を感知するものに分けられます。

ガス警報器とは異なり、2006年以降に建てられた、どんな物件でも設置が義務付けられており、多くの人が目にしたことがある天井に設置された丸い形状のものです。

キッチンや居室など、場所によって熱式か煙式か選ばれています。

キッチンやお風呂場は湯気や煙が立ち込めやすく、熱式を設置するのが一般的です。

・CO警報器

実際、COだけの警報器はなかなかありません。

その多くはガス警報器や火災警報器に付属の機能として存在しています。

前述した通り、CO警報器は換気をせずにガスを使用した際に発生する一酸化炭素を感知するものです。

性質上、ガス機器を使用した際に副次的に発生する可能性が高いものなのでガス警報器の付属の機能としてあるのかもしれません。

ガス警報器の設置基準とは

住宅におけるガス警報器の設置基準は、前述の通り、ガスの種類によって異なります。

空気より軽い都市ガス物件でガス警報器を設置する場合は、検知部が天井面から30cm以内かつ燃焼器具から水平距離で8m以内になるように設置しなければいけません。

空気より重い都市ガス物件やプロパンガス物件でガス警報器を設置する場合は、検知部が床から30cm以内かつ燃焼器具から水平距離で4m以内になるように設置しなければいけません。

また、設置してはいけない場所というのもあります。

これは、主に誤作動や故障を防ぐためのもので、以下は抜粋です。

・油や湯気・排気が直接当たる所
・風通しの良い場所
・周囲温度が-10℃以下又は50℃以上になる恐れのある場所

実際に取り付ける際は、ガス会社などに確認しつつ適切な位置に設置しましょう。

住宅と異なり、公共施設や人の出入りが多い学校や商業ビルなどは、それぞれの法律に沿ってガス警報器も設置しなければいけないと規定されています。

住宅は利用する人が限定的なので少し規定が緩めに設定されているんです。

退去時の扱い

ガス警報器は物件のガスの種類などによって設置されているかどうかが異なります。

元々設置されているものは賃貸の所有者のものなので、そのまま放置で構いませんが、新しく自身で設置した場合には、リース品か購入品かによって異なります。

購入した場合は、まだ交換時期を過ぎていなければ使用できますので、新しい物件に持ち込みが可能です。

リースの場合は、退去時に行うガス閉栓の作業の際に同時に解約の手続きもしてくれるのが一般的のようです。

因みに、リースする場合には一般的に月々数百円のようです。

購入すると、だいたい8000円から1万数千円までの価格帯で、性質上長くても5年しか使用できないため、割高に感じますが、リースするよりは合計金額が安く済みます。

自身で設置する場合は、状況に合わせた選択が必要です。

 

まとめ

物件によっては設置されていないガス警報器でしたが、現在ではガス以外の危険な状態も感知できる高性能なものもたくさん発売されています。

ガスやCOは目に見えなく、危険性も高いため、安全確保のためにできることはしておくべきだと言えるでしょう。

また、実際に発生している事故を見てみても、防ぎきれないうっかりミスによるものが大半です。

ガス警報器があるだけで、うっかりミスをしたとしても事故を未然に防げる可能性も高まりますので、お悩みの方は一度自宅に導入することを検討してみてはいかがでしょうか。

 

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