COLUMN
2023.03.30
「火事です火事です火災が発生しました」火災放送の仕組みや対処法
みなさんは消防点検などの際に「火事です火事です火災が発生しました」というアナウンスを聞いたことはありませんか?
この放送は消防用設備の自動火災報知設備の機能として存在しており、原則として「火災発生が確定」した時に流れる仕組みになっています。
この記事では自動火災報知設備による火災放送について、仕組みや止め方などを含め、掘り下げて解説してみたいと思います。
「火事です火事です火災が発生しました」放送の仕組み
はじめに「火事です火事です火災が発生しました」という放送が流れる仕組みについて理解しましょう。
自動音声アナウンスの仕組み
火災感知器が作動した際に流れる自動音声アナウンスは、自動火災報知設備が作動することで流れる仕組みです。(マニュアル操作も可能)
具体的には、建物内の天井や廊下などに取り付けられている熱感知器や煙感知器が作動することが起点となります。
熱感知器や煙感知器が作動すると、防災管理室や管理人室などに設置してある火災受信機が火災信号を受信し、警報ベルや放送などで警報を発します。
この際に流れる自動音声アナウンスの種類は3つに分かれており、次でそれぞれ解説します。
自動音声アナウンスの種類
自動音声アナウンスの種類は以下3つで構成されています。
・発報放送
・火災放送
・非火災放送
上記3つの放送内容などを含め、以下で詳しく解説します。
発報放送
ひとつ目の放送は、シグナル音と女性の声で「ただいま(○階で)火災感知器が作動しました。係員が確認しておりますので次の放送にご注意ください」といった趣旨のものです。
第一段階のアナウンスは「発報放送」と呼ばれ、メーカーごとで放送内容に僅かな差があるものの、英語などの外国語を流すことも可能です。
火災放送
ふたつ目の自動音声アナウンスでは、シグナル音の後に続いて男性の声で「火事です火事です(○階で)火災が発生しました。落ち着いて避難してください」という趣旨のアナウンスが流れ、スィープ音が発せられます。
第二段階のアナウンスは「火災放送」と呼ばれます。発報放送と同様で、メーカーによって放送内容が僅かに異なることもありますが、基本的には全メーカー同様です。
火災放送は「男性の声」であることが特徴です。どのメーカーも火災放送については男性の声を使うことが消防庁によって定められており、男性の声による放送が流れると緊急事態と判断できるようになっています。
非火災放送
第一段階の火災放送後、火災ではなかったことが確定した場合、シグナル音に続いて女性の声で「さきほどの火災感知器の作動は、確認の結果、異常がありませんでした。ご安心ください。」という内容のアナウンスが流れるようになっています。
これを「非火災放送」と呼び、安全の確認が取れた段階で流します。第一段階の発報放送後、非火災放送が流れれば何事もなかったと判断してよいでしょう。
自動音声アナウンスの目的
「火事です火事です火災が発生しました」などのアナウンスは、合計3種類の放送内容で構成されています。
それぞれの放送の目的は原則として以下の通りです。
・発報放送:火災感知器が作動したことを知らせる
・火災放送:火災が発生したことを知らせる
・非火災放送:火災がなかったことを知らせる
上記の原則に加え「ビルの何階で火災感知器が作動したか」を含むこともあります。
自動音声アナウンスが3つに区分されている理由
自動音声アナウンスが3つに分かれている理由には「パニックや混乱を抑える」という目的があります。
第一段階の発報放送では、あくまでも「火災感知器が作動したこと(火災とは限らない)」と「次の情報に警戒せよ」ということを伝えています。
仮に、発報放送がなく即座に火災放送が流れると、誤作動や誤報の度に建物内でパニックが起きてしまうかもしれません。
加えて、どうせ今回も誤作動だろうと思い込む可能性があります。
これに対し、第二段階の火災放送では「火災発生が確定したこと」と「落ち着いて避難を始めよ」ということを伝えています。
つまり「火事です火事です火災が発生しました」という火災放送が流れた時は「火災発生が確定している」ことになるため、いかなる状況においても、速やかに避難する必要があるということです。
一方で「ただいま火災感知器が作動しました。係員が確認しておりますので次の放送にご注意ください」という発報放送の段階では、火災発生が確定しておらず、よくある「誤報」の可能性があります。
多くの建物に設置されている自動火災報知設備は、火災発生を自動的に検知し警報する優れた消防用設備である一方で、様々な理由で誤報が生じてしまいます。
誤報や誤作動であった場合は「非火災放送」が流れ、異常がなかったことが周知されます。従って、非火災放送が流れるまでは決して油断してはいけません。
このような事態に備え、自動音声アナウンスは段階制を採用していることを覚えておくとよいでしょう。
自動音声アナウンス後の対応
自動火災報知設備が作動し、自動音声アナウンスが流れた場合、放送の内容ごとに以下のような対応が求められます。
・発報放送:避難に備え、落ち着いて次の放送(火災放送または非火災放送)を待つ
・火災放送:落ち着いて避難をはじめる
・非火災放送:周囲に異常がなければ行動は不要
発報放送が流れた時点では「火災発生が確定していない」ことから、慌てて行動することは控えた方が良いでしょう。
混乱やパニックを起こさずに、避難に備えて、次の放送を待つようにしてください。
火災放送が流れた場合、結果的に誤報であったとしても避難しましょう。火災放送は「火災発生が確定」した場合のものですので、緊急事態だと思ってください。
非火災放送が流れたら、周囲の状況を再確認したうえで日常に戻ってよいでしょう。場合によっては、消防車や消防隊が駆けつけるケースも想定されますが、決してパニックを起こさず、冷静になることがポイントです。
自動音声アナウンスの止め方
自動火災報知設備が作動して自動音声アナウンスが流れた場合、仮に誤作動だったとしたら「火災受信機」を操作して止めることになります。
火災受信機は、大型ビルなどの場合、防災センター室や管理人室に設置してあるため、火災受信機にアクセスできる人が手動で止めなければいけません。
また、住宅用火災警報器で自動音声アナウンスや警報音が流れた場合は「引き紐」や「警報停止ボタン」を押すことで止められます。
発報放送や火災放送などは原則として「火災受信機」や「操作盤」で止めることになるのを覚えておきましょう。
このような事態にも備えて、建物管理者や防災管理者、住居者は火災警報音や自動音声アナウンスの止め方についても理解しておく必要があります。
「火事です火事です火災が発生しました」がマンションで聞こえた場合
「火事です。火災が発生しました」という内容の火災放送は、自動火災報知設備を設置しているマンションや集合住宅などでも流れる可能性があります。
マンションは多くの人が集まって生活する環境のため、料理の煙や湯気、タバコの煙、エアコンの風などが原因で感知器が作動してしまうことも考えられます。
このような事態に備えて定期的な点検や感知器の交換が推奨されているものの、多くの人が暮らす環境では必ずしも問題ないとは言い切れません。
なかには、感知器を破損させてしまう人や、感知器が正常に作動しないほどの環境(埃や異物)で暮らす人がいないとは言えません。
従って、マンションでも発報放送や火災放送に対する備えは必要です。とくに火災放送が聞こえた場合は、結果的に誤報であったとしても避難するようにしてください。
自動火災報知設備を巡るマンションでのよくあるトラブル
自動火災報知設備はマンションのような集合住宅で作動すると混乱や問題が生じやすくなります。
例えば、発報放送を聞いたマンションの住人が自らの意思で消防署に通報し、消防車や消防隊が駆けつけた時には誤報だった、ということがあります。
この場合、結果として火災ではなかったものの、同じマンションの住人や近所を混乱させてしまうことになるかもしれません。
このような事態が起きた時、管理人や管理会社、自治会員などによっては、通報者の住人を咎めたり、叱責したりするトラブルがあるようです。(当然ながら通報者が責められるいわれはない)
火災による被害よりも近所迷惑の方が大きな問題と考えるような管理人や自治会役員もいるかもしれません。
このようなトラブルに備え、マンションの住人そして管理人や管理会社は、自動火災報知設備が作動した場合、どのような対応を取るべきかを決め、さらにそれを継続的に周知徹底する努力が必要です。
マンションの住人に限らず、発報放送や火災放送を耳にしたら、あらかじめ定められている手順に沿うよりも、状況に合わせた対応を優先するようにしましょう。
手順やルールを守ろうとするがために火災被害が広がったのでは本末転倒です。虚偽通報は罪に問われますが、誤報に終わった際の通報は罪にはなりません。
もし、マンションの管理人や自治会員らによってマンションの住人に対して、このような時であってもルール順守を要求し、結果的に被害が広がるような事態になると、管理人らは業務上過失致死傷に該当する可能性があります。
まとめ
「火事です火事です火災が発生しました」という自動音声アナウンスは火災放送と呼ばれるもので、火災発生が確定した場合に流れるものです。
火災放送の前には「発報放送」そして火災ではなかった場合には「非火災放送」が流れます。
これら3つの自動音声アナウンスの違いを理解すると同時に、放送が流れた際には決して慌てず、冷静に行動できるように努めましょう。
また、非常警報設備とは、火災が発生したことを建物内の人に知らせるための非常ベルや放送設備などのことです。自動火災報知設備の作動に連動させる、または放送設備を人が操作することで、建物内に設置されたスピーカ・ベルなどを通して災害の発生やその状況を知らせます。多数の者がいる防火対象物に設置が義務付けられています。
そして、消防用設備が正常に作動しているかどうかの点検を半年に一度以上行うように定めているのが消防法第十七条の三の三です。
点検を行わなければ、消防法の規定で処罰を受けることがありますので、
消防設備点検を行いましょう。
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