消防点検コラム

消防用設備

2022.10.11

カットリレーは二次被害を防ぐために重要?設置条件や仕組みについて解説!

お店を作る上で案外欠かせないのがBGM。あるときはそこまで気になりませんが、BGMがないと少し寂れた印象すら感じます。

そのため多くの施設でBGMを流していますが非常時にはどうなるのでしょうか。

火災などが発生した場合、アラート音や緊急放送で避難を促します。

しかしBGMが流れている場合、その音がBGMにかき消され聞こえないかもしれません。

そんな二次被害を防ぐために役に立つのがカットリレーです。

今回はカットリレーについてやその点検項目などを解説していきます。

【目次】

1. そもそもカットリレーって?
2. カットリレーの仕組み
3. カットリレーの種類は2つある
4. 注意!カットリレーの設置には基準がある!?

1. そもそもカットリレーって?

カットリレーとは非常放送設備のひとつで、火災信号を受信すると業務放送設備への電源供給を遮断する設備です。

「電源カットリレー」「カットリレーコンセント」「電源制御装置」など複数の名称で呼ばれることもあります。

工事や点検の際には何を依頼されているのか確認することが重要です。

 

カットリレーも含まれる非常放送設備とは、火災時の熱を感知する感熱機などから火災信号を受信した際に、非常ベルや非常放送を流すための装置全般のことです。

しかし、館内音楽を業務で使用している施設やカラオケルームなどの大音量で音楽が流れているような環境では、そのままだと非常を知らせる避難放送が聞こえずに避難が遅れる可能性があります。

そのような二次被害を防ぐためにカットリレーが存在しているんです。

カットリレー設備が火災信号を受信した際に、通常時の放送設備の電源供給をストップしてくれるおかげで迅速な避難行動が見込めます。

ここが大事!カットリレーの重要性

カットリレーは非常にコンパクトな機械で、ただ通常放送の音を止めるだけなので有事の際でもあまり有用性が見えてきません。

放水スプリンクラーほど非常事態時の活躍が分かりやすくないですが、カットリレーは非常に重要な設備です。

カットリレーがあるからこそ人的被害を減らせる可能性が高まります。

非常事態に店舗内音楽が継続して鳴っている場合、非常放送や非常ベルの音が聞き取れないかもしれません。

さらに、人間は非常事態に遭遇してもまさか自分が実際にそんな危険に出くわすわけがないという意識もあります。

これは不注意による交通事故などが未だにあることからも推察されます。

そのためカットリレーを設置せずに非常ベルがBGMの奥の方で小さく鳴っていた場合

「遠くでイベントでもやってるのかな」

「聞き違いかも」

「訓練でもしてるのかな」

となってしまうケースがありえます。

しかしカットリレーを設置さえしていれば、緊急時はBGMがいきなり止まり、緊急放送がしっかりと流れます。

いきなり音楽が止まる違和感やすぐ流れる緊急放送により、利用している人々に危機意識を持たせ、避難を呼びかけることが容易になるんです。

またカットリレーがあるおかげで自動的に音楽から緊急放送に切り替わるため、緊急放送に人手を割かなくてよく、緊急時に無駄なことをする必要がないというのもメリットです。

2. カットリレーの仕組み

それではカットリレーの仕組みについて簡単に解説していきます。

まず非常事態が発生すると非常放送が起動します。

するとカットリレー用コンセントへ信号を送信。

この信号がカットリレー用のコンセントに流れている電圧をシャットアウトし、BGM等に使用しているアンプの電源がオフになります。

ここで店舗内音楽が消え、非常用放送が流れるようになります。

大規模施設の場合、自動火災報知機設備と連動する非常放送設備が必要です。

自動火災報知機が火災を検知した場合は

「一定時間経過した場合」

「二個以上の感知器が発報した場合」

「スプリンクラーが作動した場合」など、

火災であると明確に判断された瞬間に非常放送が流れるという方式が採用されています。

しかしせっかく機械が火災を早期に感知しても、館内音楽等で聞こえないことがあれば防災設備の意味がありません。

非常放送が設置される規模の大規模施設では、非常放送が鳴った場合に強制的に館内音楽等を停止させ、非常放送のみが聞こえるような環境を作らないといけないと定められています。

(消防法施行規則第二四条五のイより)

注意しておきたいのがカットリレーコンセントの電源容量です。

カットリレーコンセントは15Aコンセントよりも電源容量が小さく、8A~10A程度の製品がほとんどです。

使用できるワット数がカットリレー本体に表記されており、それ以上の電源容量をもつ放送設備は接続できません。

電源容量を超える放送設備を接続すると、接点の融着・異常発熱などが発生しカットリレーから発火したり、緊急時に正常動作しないといった問題が発生するおそれがあるため、過負荷にならないよう接続する必要があります。

3. カットリレーの種類は2つある

カットリレーの裏側にはAC100VとDC24Vにつなぐ2つの端子がついています。

AC100Vのほうに分電盤やコンセントから分配された電源が繋がり、DC24Vの方に非常放送から送られてくる信号線をつなぎます。

上記の部分は共通ですがカットリレーには電気の流れ方が異なる2種類があります。

A接点

非常時に放送アンプから24Vが送られるもので、24Vが入力されるとAC100Vがカットされます。

通常時はDC24Vに通電しておらず、非常事態を感知すると通電。AC100Vが通電しなくなります。

B接点

A接点とは異なり常時DC24Vを通電しており、非常時に0Vに切り替わります。そのためDC24Vの通電が確認できなくなるとAC100Vの方がカットされます。

 

注意が必要なのはB接点方式。

点検で不具合が見つかり交換する際や、新しくカットリレーを設置する際に誤ってショートさせてしまうと大変です。

B接点方式は通常であれば流れているはずのDC24Vが0Vになると非常事態であると認識します。

つまり非常事態でなくてもショートさせてしまうとDC24Vが0Vになってしまい、非常事態であると誤認識してしまい、カラオケ機器やライブハウスの音響設備などが停止してしまうんです。

そのため工事をする際は慎重に施工する必要があります。

カットリレーの復旧方法

間違ってカットリレーが作動してしまったときはどうしたらいいのでしょうか。

カットリレーには復旧ボタンがついています。

基本的には復旧ボタンを押せば自動的に100V電源も復旧するはずです。

4. 注意!カットリレーの設置には基準がある!?

カットリレーコンセントを業務放送設備に組み込むことで、通常放送に火災放送を割り込んで流すことが可能になります。

しかしカットリレーの設置は必須ではありません。

カットリレーができることはあくまで警報音をしっかりと聞こえる状況を作る。ということ。なので警報音がしっかりと聞き取れる環境では不要な場合も。

消防法には「当該場所において他の警報音又は騒音と明らかに区別して聞き取られるように措置されていること。」とも明記されており必須ではないことがわかりますが、カットリレーを利用した場合の安全性の高さや手続きなどの外的要因も相まって、カットリレーを用いる方法が採用されるケースが多いです。

カットリレーの設置が必須なケース

具体的にカットリレーが必須なケースをみていきます。

(1)「室内又は室外の音響が聞き取りにくい場所に設ける場合については、当該場所において他の警報音又は騒音と明らかに区別して聞き取ることができるように措置されていること。」

引用元:(消防法施行規則:消防法施行規則 | e-Gov法令検索) 

加えて、暗騒音が65デシベル以上ある場合も設置が義務付けられています。

65デシベルとはだいたいの人がうるさいなぁと感じる程度です。

その場合は以下の通りに規定されています。

(2)地区音響装置等の音圧が、暗騒音よりも6dB以上強くなるよう確保されていること。

自動火災報知設備、非常警報設備の地区音響装置等の作動と連動して、地区音響装置等の音以外の音が自動的に停止するものであること。

必ず暗騒音よりも大きい音の非常用音響を用意した上で、音楽等も自動で止まるようにカットリレーを設置しなければいけません。

カットリレーの設置が不要なケース

たとえ店舗内音楽を利用していてもカットリレーを設置する必要がないケースもあります。音楽が非常に静かな場合や館内放送をそもそも利用していない場合です。

音楽が規定以下の音量であればカットリレーの導入は不要。

また、館内放送でない方法で非常事態を伝える場合や、店舗関係者が即座にBGMの操作が可能な場合も設置が不要です。

いずれにせよカットリレーが不要なケースは、その他の手段で非常事態を明確に伝える手段が整っていることが重要となっています。

しっかりとカットリレーの設置が必須かどうかを管轄の消防と協議することが大切です。

カットリレーの法的規則

カットリレーを設置する場合は消防法によって規定されています。

大音響施設(ライブハウスやカラオケ店等)を有する特定一階段等防火対象物については「自動火災報知設備、非常警報設備の地区音響装置等の作動と連動して、地区音響装置等の音以外の音が自動的に停止すること。」

引用元https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=336M50000008006

と定められています。通常カットリレーとはこの基準をクリアしているモノのことを指します。

つまり、カットリレーの設置が必須になるのは、室内で自動火災報知設備または、非常警報設備の地区音響装置等の音を容易に聞き取ることができない場合や、特定1階段等防火対象物でカラオケボックスやライブハウスです。

まとめ

カットリレーは非常事態に館内放送や音楽を止め、緊急放送をクリアに聞ける環境を作り出す装置のことです。

施設の規模や人員配置などによりBGMの操作が容易な場合は設置が不要ですが大音量で音楽が流れたり、大規模な施設は設置が必須です。

装置も小さく、非常時にも活躍が見えにくいカットリレーですが、実は縁の下の力持ち。

非常時に非常時であると明確に分かる環境を準備し二次被害を防ぎましょう。

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