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2022.06.07
タイムライン防災とは?従来とは違う取り組みについて紹介!
タイムラインと聞いてみなさんは何を想像しますか?
各種SNSなどでタイムラインという言葉が使われて「投稿履歴」といったニュアンスで使われていることが多いかもしれないですね!
しかし、元々の英語の意味を調べてみると「予定表」や「年表」といったことを指しています。
項目が時系列に並んだものという意味合いがSNSでの「タイムライン」に通じているみたいです。
防災でもこのタイムラインという用語がしばしば使われています。
これも、同様で災害時の防災行動を時系列にまとめた計画のことを指しています。
では、防災におけるタイムラインとは一体どのようなものなのか見ていきましょう!
【目次】
1. タイムライン防災についての概要
2. 従来の取り組みと何が違うの?
3. この取り組みを行う効果
1. タイムライン防災についての概要
タイムラインとは、災害の発生を前提に、防災関係機関が連携して災害時に発生する状況をあらかじめ想定し共有した上で、「いつ」、「誰が」、「何をするか」に着目して、防災行動とその実施主体を時系列で整理した計画です。またの名を防災行動計画とも言います。
国、地方公共団体、企業、住民等が連携してタイムラインを策定することにより、災害時に連携した対応を行うことができます。
タイムラインの対象とする災害の設定
タイムラインの対象として捉えている災害は「進行型災害」を基本としますが、「突発型災害」も対象とすることもできます。また、タイムラインの策定にあたっては、災害対応時の想定外の災害自体を減らすため、最悪の状況を含む災害も想定することが大切です。
用語解説
進行型災害
災害時、雪害や遠地津波災害などの災害を進行型災害と定義します。
タイムラインでは新王型災害を基本とし、事前に起こりうる状況を想定し共有した上で、防災行動をタイムラインとして想定します。
突発型災害
地震などの突発型災害では、防災行動を実施することじゃ困難であるが、例えば、地震発生後の人命救助のためには重要な「72時間」を意識して、それまで何を行わなければならないかについて検討する等、地震発生後の行動をタイムラインとして策定する事例もあり、タイムラインは災害発生時の対応でも有効な手段の一つとなります。
経緯について
2012年10月29日、米国ニュージャージー州・ニューヨーク州に上陸したハリケーン・サンディは、大都市を直撃、地下鉄や地下空間への浸水をはじめ、交通機関の麻痺、ビジネス活動の停止など、近年発生した災害の中でも極めて甚大な被害をもたらしました。
ニューヨーク州知事らは、「被害の発生を前提とした防災」として事前にタイムラインを策定しており、タイムラインを元に住民避難に対する対策を行ったことで、ハリケーンによる被害を最小限に抑えることができました。
2013年に国土交通省は防災関連学会との合同調査団を結成し、米国での現地調査とヒアリング(米国ハリケーン・サンディに関する現地調査)を行い、2013年10月、最終報告書を作成しました。
この報告書では、米国の教訓などを活用しつつ、我が国の実情にあったタイムラインを策定・活用を進め、大規模水災害が発生することを前提とした防災・減災対策を進めることを提言しました。
2014年1月「国土交通省・水害時に関する防災・減災対策本部」を設置し、リードタイムを活用した災害前の活動に着目し、防災・減災に向けタイムラインの考え方を活かした行動計画を検討するため、防災行動計画ワーキンググループを設置しました。
近年、明らかに雨の降り方が変化していることなどを”新たなステージ”と捉えて対策をしていく必要があります。
2. 従来の取り組みと何が違うの?
従来までは各地域で台風など様々な災害に対し、地域の防災計画が検討されていましたが、これらは災害対策に関する基本方針や理念を列記したものでした。
一方で、「タイムライン防災」は、先に述べたように行動の内容とその役割を記述するなど、より詳細な防災行動要領が記されているのが大きな違いです!
つまり、従来の防災計画を補うような細かい行動計画になっていると捉えることができます。
具体的にはどんな取り組み?
では具体的にどのようなことを行っているかというと、「命を守る」、「社会経済の壊滅的な被害を回避する」の二つの柱でそれぞれ取り組まれています。
「命を守るための対策」
「行動指南型」の避難勧告に加え、「状況情報」の提供による主体的避難の促進、広域避難体制の整備を目指しています。
具体的な取り組み
①いざという時に的確な避難行動につながるよう、最大クラスの洪水・高潮などに関する浸水想定・ハザードマップを作成
②防災情報の時系列での提供、情報提供する区域の細分化による状況情報の提供
③個々の市町村による避難勧告などの現在の枠組み、体制では対応困難な大規模水害などに対し国、地方公共団体、公益事業者などが連携した、広域避難、救助などに関するタイムライン(時系列の行動計画)の策定
「社会経済の壊滅的な被害を回避する」
最悪の事態を想定・共有し、国・地方公共団体、公共事業者、企業などが主体的かつ、連携して対応する体制の整備を目指しています。
具体的な取り組み
①最大クラスの洪水・高潮などが最悪の条件下で発生した場合の社会全体の被害を想定し、共有
②応急活動、復旧・復興のための防災関係機関、公益事業者の業務継続計画作成を支援
③被害軽減・早期の業務再開のため、水害も対象とした企業のBCPの作成を支援
④国、地方公共団体、公益事業者などが連携して対応する体制の整備と関係者一体型タイムラインの策定
⑤TEC-FORCEによる市町村の支援体制の強化
3. この取り組みを行う効果
タイムラインの導入により多くの効果が期待されています。
①災害時、実務担当者は、「先を見越した早め早めの行動」ができます。
また、意思決定者は「不測の事態の対応に専念」できます。
②「防災関係機関の責任の明確化、「防災行動の抜け、漏れ、落ち防止」が図れます。
③防災関連機関間で「顔の見える関係」を構築できます。
④「災害対応の振り返り(検証)、改善」を容易に行うことができます。
こういったことにより、「命を守る」ことはもちろん、「社会経済の壊滅的な被害を回避する」ことができます。
タイムライン策定の現状
実際に平成27年9月関東・東北豪雨災害で氾濫危険情報が発表された市町村のうち、「避難勧告の発令等に着目したタイムライン」を策定した市町村における避難勧告または避難指示を発令した市町村の割合は72%、未策定市町村は33%となっており、タイムライン策定済みの自治体の方が、発令率が高い傾向となりました。
今後の防災のあり方
タイムライン防災の目的は、命を守ることや、被害の軽減をするといったところにあります。
タイムラインを策定することで、避難の遅れや判断の躊躇というものをなくし、災害対策に努めましょう。
また、災害に関わる様々な地域の経験や教訓が次なる災害の改善へと繋がっていくことが期待されています!
防災に関することは全国消防点検.comまで
私たちがまずできることは、お住まいの地域ごとの防災計画について確認をすることや、
災害に備えた防災グッズの確認や二次災害を防ぐための消防設備等の点検正しくを行っていくことです!
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