解説
2019.06.19
日本における火災の実態
こんにちは!日本全国の消防点検・施工を行っております、全国消防点検.comです!
前回は消火器の正しい使い方をお送りしましたが、
今回は日本における火災の実態を詳しく勉強していきましょう!
まずは火災の発生状況です。
かつての日本では大規模な火災が頻発していました。
時代は江戸の1657年、推定6万人もの死者が出た「明暦の大火」など、時代柄木造建築が密集し、一度火が起きれば一瞬で燃え広がってしまうといった江戸の町を襲う火事は数多くありました。
これらの火事を受けて、江戸時代には火消(ひけし)と呼ばれる現代の消防団のような存在が組織されました。火消の中でもとりわけ有名である「め組」という言葉を目にしたことがある方も多いかもしれません。
その時代には消防車や消火器などありませんから、火災が起きた家に隣接する民家を壊して延焼を防ぐといった破壊消火で火を消していたそうです。
こんな方法は今では考えられないですが、火災から身を守るための働きは古くからあったんですね~
さてここでクイズです!
当時の火消は現代でいう消防団のようなものでしたが、どんな職業の人々が多く参加していたでしょうか?
1 米屋
2 とび職
3 魚屋
答えは・・・2番のとび職です。お気づきの方もいるかとは思いますが、延焼を防ぐために「破壊消火」を行っていたこともあり、建物のプロであるとび職が多く携わっていたようです。
打って変わって消防車や消火器、消防設備が充実した現在に話を戻しましょうか。
現在では大規模な火災の発生は少なくなりましたが、未だに火災による惨事や被害のニュースを目にする機会は多いですよね。
火災って、それほど私たちの生活の近くに潜んでいるんです。
消防白書によると、平成29年中の火災は39,373件で、火災による死者数は1456人です。一日におよそ107件の火災、4人の死者が出ていることになります。
もちろん冬のほうが火災は多いですが、私たちの身の回りに火災の危険が潜んでいることがよくわかりますね。
火災死者のうち65歳以上の割合は71.6パーセントと大きな割合を占めており、高齢者が火災から逃げ延びることがいかに難しいかがわかりますね。全火災の死亡理由のうち、50.7%が逃げ遅れです。逃げ遅れやすい高齢者ですが、今後高齢社会が進むことによって、ますます被害者が増えていくことが予想されます。
出火原因は、放火及び放火の疑いが14.8%で、9.4%がタバコです。残念ながら放火が出火原因の一位となっています。これは15年以上変わっておらず、都市部での放火が多い傾向にあります。その中でも放火自殺のケースが多いですが、殺人を目的に行われる放火もあり、建物の周りに火の付きやすいものを置かないなどの対策が必要となります。
また、個室ビデオ店や老人ホーム等での火災により大きな被害が出たことを受け、新たな建築形態に対応した防火安全対策が求められています。
防火を目的に、一定規模以上の不特定多数の人が集まる、デパートなどの特定防火対象物にはスプリンクラーなどの消防設備の設置が義務となっています。
高層マンション上階では火災から逃げ延びることが難しくなってしまうため、被害を最小限に抑えるために11階以上でも設置が義務付けられています。
消防法は深刻な火災が起こるたびに、規制を厳しくするといった対策を取っています。平成18年にグループホームで大きな火災があったことを受けて、自力で非難することの難しい利用者が多い老人ホームや社会福祉施設などでは、従来は延べ面積1000㎡以上の建物のみの設置義務であった法令が、基本的には延べ面積275㎡以上の建物に設置が必要というように規制を強化しました。
また一般住宅のお話をすると、比較的規模の大きな建物などに特定防火対象物に設置が必要な自動火災報知設備だけではなく、一般住宅用の住宅用火災警報器は、すべての住宅に設置が義務付けられました。現在、こちらの普及率上昇の活動が進められています。「ホーチキツケテー」というCMを見たことがある方は多いですよね!
このようにまだたくさん発生してしまっている火災を減らすために、さまざまな取り組みが行われていることがわかります。